磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

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悪と正義の政治理論

2007年07月28日 | 読書日記など
『悪と正義の政治理論』
   太田義器・谷澤正嗣(編)/ナカニシア出版2007年

絶対悪も絶対正義も人間にはありませんね。神でもないのに、神の立場になる人たち……。神のつもりでも第三者から見れば、まるで悪魔のようなことをされているとしか思えませんね……。



幼児万能感をもっている大人が、それも一国の大統領や総理大臣になってもらっては非常に困ったことになるだろうとボクも思います。下「」引用。

「本書のねらいは、「悪(あく)」と「正義」の対決図式のなかで、正義ではなく、悪が増大している、あるいは一向に減らないと思われる現状を前にして、われわれの多くが抱いているある種の当惑に応えることである。それは、政治の現実と理論の双方に対する違和感から生じてくるものであり、悪と対決する正義を自称する政治を前にらしたときの、理論の無力さに対する反省から生まれたものである。」

テロ=悪と簡単に決めつけています。下「」引用。

「現実を見るならば、テロリズムや戦争といったあからさまな悪が存在し、さらにはもっと些細で日常的な悪も確かに存在する。」

彼らテロリストは正義といっている……。
そして反対の立場も……。
立場が入れ替わっても成立する普遍性などない正義……。
主観だけの正義は、どちらも悪といっていいと思うが……。
--このような表現では公平ではないように思える……。

しかし、後にはこんな文章も。下「」引用。

「むしろ理論の言うように、正義と悪とは直接対決するものではないかもしれず、われわれは主たる関心をまず正義の探求に傾注すべきなのではないだろうか。」

正義と悪は直接対決しない……。
ミイラ取りがミイラに……。
--アメリカの現状はこのようなものという人がいても否定できないと思う。


レイプのことが書かれてありました。下「」引用。

「戦争被害者のほとんどが一般市民であったことがこの内戦の特徴でもある。セルビア人準軍事組織は、ムスリムやクロアチア人の男性を殺戮し、女性を「キャンプ」に収容して家族や親族の前でレイプした。それは妊娠が確認されるまで続くことすらあった。だが、セルビア人のみがこの犯罪を行ったわけではなく、ボスニアの住民虐殺には、ムスリム、セルビア、クロアチアのすべての民族主義的軍事組織が各々関与した。クロアチア人民兵もまた同じようなやり方で敵の女性をレイプしたのである」

この本ではありませんが、日本人も韓国人に、敗戦国民だからとレイプされていたとも……。
韓国人はベトナム戦争でもレイプしていたことが国際問題になっているらしい……。

また、インドでも、イスラム原理主義者とヒンズー・ナショナリズムの衝突が暴力の連鎖を呼び、地域コミュニティへの攻撃がなされるつど、女性に対するレイプ・身体の破壊などが生じているという。


暴力の被害は女性だけではない。下「」引用。

「もちろんレイプという女性への性暴力は、戦争下にあるところや植民地といった社会の周辺部に歴史的につきまとった現象である。こうした「極限状況」ではあらゆる暴力が起こり、女性のみならず男性もまた暴力の対象になった。」

レイプの恐怖によって、つくりだされるようとするもの。下「」引用。

「レイプへの恐怖が〈敵〉への憤怒を掻き立てる起爆剤となり、同時にその共同体を持続させる燃料ともなる。メディアを通じてのレイプ犯罪の報道は、まさにこの目的に資するものでもあった。」

レイプ被害者のことより、より政治的なことになっているのも異常だというものだとボクは思う。
--他のことに利用されているから、こんな状況に陥るのだろうとも思う。

奢侈に対する社会の悪影響。下「」引用。

「しかも奢侈は、ひんじゃの心まで蝕んでいく。奢侈が広まると人々は虚栄心から、「財産をもたない者までもが、もっている振りをして金を使う。そのためには借金、ペテン、どんな汚い策略でも用いるようになる」(ibid.,524,二二○)。こうして悪徳は悪徳を呼び、習俗はますます堕落していく。」

エコノミーの暴力、暴力のエコノミー-(脅しの)の政治-など、意味深いことが書かれてありました。

ボクは貧乏人ですが、ほんま将来が怖い……。
まあ、死んだらしまいや!
ケ・セラ・セラと母親ゆずりに生きていきたいものです。











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