磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

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わたしの八月 天国の子どもたちへ

2008年01月02日 | 読書日記など
『わたしの八月 天国の子どもたちへ』
    松柳須磨子・著/新風書房1996年

家族の写真などが何枚か掲載されていました。幸せなころがわかると、よけいにそれを奪われた悲しみや、怒りを感じられるように思います……。



表紙の絵の説明。下「」引用。

「平和公園の絵は弟の「石田静人」の作品です。サラリーマンを定年退職してから趣味で画き始めた水彩画です。
 平成八年一月、ステーションギャラリーで個展を開きました。「本の表紙に一枚」と話しますと「どれが良いのを」とたくさん出してくれました。どれも捨てがたく、それぞれの項目ごとに扉を設けて入れることにしました。」

「天国の兄ちゃんへ送る言葉」(この文は広島RCCへの応募作品です。昭和59年8月6日、渡辺美佐子さんがRCCで朗読。)


義勇隊で活動しているとき、被爆されたようです。
その中で幼い子供も抱えた人もおられたようです。下「」引用。

「防空壕には義勇隊の人達が、暗がりのなかで息を潜めていた。背の赤ん坊を降ろして抱いてる母親がいた。赤ん坊はひっそりしていた。生きているのか死んでいるのかわからない。
 なぜ、こんな人達まで義勇隊の名のもとに、駆り出さなねばならないのか。」

鏡を渡してくれないご主人。下「」引用。

「「鏡を見せてよ」私は夫に何度も言った。「うん そのうち手でも全壊したら自分でみるといいよ」夫は面倒くさそうに看護づかれした蒼白い顔で、私の顔を見ないで言った。」

軍医が治療をしていたという。下「」引用。

「午後軍医さんが「今日重患六名に新しい治療をする。ぼくの指名した人に注射して」兵隊さん達は、慌ただしく用意を始めた。
 私は誰と誰だろうと思った。男五人、女一人と決まった。
 学校の先生が使う机を二つ並べ、その上にゴム布を敷いたすこぶる簡単な治療台とリゾールが、二つ金だらいに用意された。強い消毒の匂いが、むしろ部屋を爽やかにする。
「大の男でもうんうん唸っているよ」と妹は首を上げて見ている。」

化膿した傷の上をそいでいったという……。

神様であった天皇。下「」引用。

「私が小学生のころ、天皇様は見るものではなく、拝む神様と教えられた。」

これは地域差などがあるだろうなあーと思うが、国家神道がすすめた偽の神道といっていいと思う。伝統ある神道とは一線を画す。明治神宮も、吉田神社も国家神道と一線を画したそうです……。

しかし、個人的には一線を画すだけでよいのか? と思う。


ガンについて書かれてありました。下「」引用。

「原爆の落ちた当時、ガンなどという病気があったのだろうか。戦前は、ガンという病気は聞いたこともなく、死んだ人も知らなかった。」

こんな宗教の治療もあったそうです。下「」引用。

「「この病気を治すには、千枚通しのお札を一日三枚ずつ冷水で飲んでください。さすれば必ずよくなります」
 透き通ったオブラートのような紙に、南無阿弥陀仏洗忍と印刷されたもので、横一センチ縦三センチのそのお札は百円だった。
 夫の給料は一か月五百円。百円のお札は生活にこたえたが、病気が快くなればと貰って帰った。効能があったのか、三月も過ぎるころには、頭痛も吐き気もなくなった。」

現代も霊感商法という悪徳商法は続いています……。

早く取り締まる法律を!

8月7日に、次男の死、10日には長男の死……。
--庶民的な一冊でした。









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