磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

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密告者ステラ-ヒトラーにユダヤ人同胞を売った女-

2010年06月03日 | 読書日記など
『密告者ステラ-ヒトラーにユダヤ人同胞を売った女-』
   ピーター・ワイデン(著)/
     小松はるの、米沢美雪(訳)/原書房2010年

表紙の裏に書かれてあります。下「」引用。

「理想的なアーリア人のルックス--ブロンドヘアと青い瞳をもつユダヤ人、それがステラ。少女のときから美貌を誇り、溺愛されながら育った。ベルリンで長く暮らす一家はナチの騒動を楽観視していたが、ユダヤ人一掃は現実になる。両親の収容所送りを免れるため、ゲシュタポからの許可書と銃を持ち、ベルリン在住のユダヤ人を容赦なく摘発していく彼女は、同胞を裏切る悪魔なのか、歴史に翻弄されただけなのか。ブロンドの誘惑するローレライと呼ばれた美女の、衝撃の実話。」



ユダヤ人で商売するナチス。

新聞は報道した。下「」引用。

「ベルリンのある新聞は、上機嫌に大見出しを書いた。「ユダヤ人を大売り出し--誰が買うか? 誰も」
 不愉快な真実が表面化した。どの政府もどの有力者も、ドイツのユダヤ人を救おうとしなかった。ユダヤ人は、ステラの家族を含めて、誰が何とでもできる格好の人々だと断じられてしまったのだ。-略-」

セントルイスの叔父をたよるアメリカ移住計画をたてたが、無理だったステラの家族。

苦役……。下「」引用。

「ステラは、ジーメンス社エルモ工場「ユダヤ人部門」の一つである一三三セクションで、機械の上に身をかがめて立ち、電気モーター部品を磨いていた。-略-」

外人房に入れられたステラ。

「保護ユダヤ人」リスト。下「」引用。

「ステラは以前のグローセ ハンブルク通りの集合所で、あるとき三百名の名前がタイプされたいわゆる「保護ユダヤ人」リストを見た。それは大部分、芸術、映画、演劇分野の著名人リストで、彼らの免責はヘルマン・ゲーリング個人から出ており、華やかな印象がついていた。-略-」

戦後のタブロイド紙。下「」引用。

「ベルリンの卑猥なタブロイド紙は、「毒のブロンド」とか「ブロンドの幽霊」とか、戦時中のあだ名を再び復活させ、例の大きな見出しを飾って、よくある加熱した報道合戦を始めた。「ナハト デペシェ」紙は、第一面を「ユダヤ女が自分の友人全員をガス室に送った」と全段大見出しで吠えたてた。」

「あなたは私のお母さんじゃない、あなたは人殺しよ」と実の娘にいわれるステラ。

リフトン「集団殺戮の精神性」 下「」引用。

「リフトン博士はさらに広島の爆弾の加害者と犠牲者、ナチの医者と患者について何が彼らの行動を可能にしたのか考えるために心理学の実験を進めた。彼はその答えを「集団殺戮の精神性」と呼んだ。」

リフトン「怒りは悲しみの一部」と乖離。下「」引用。

「「お葬式でその人ちはよく怒っています。それは感情に欠陥があるのです。彼らは自分自身の悲しみに触れることができないのです」
 乖離が働いており、そして、それは大量殺戮の精神性であり、リフトン博士がずっと「精神的無感覚」と呼んだもの、感情の衰弱と同様のものだった。圧力と苦痛の下で善悪が停止している。」

激怒した遺族……。下「」引用。

「僕の本から、ステラがうつ状態で孤独であるにしても、生きて安楽に暮らしていることを知って、彼は激怒していた。-略-」

戦争などを単純にみる人たちもいますが、そんなわけがありませんね……。

そして、戦争がおわれば、ハッピーエンドなんてこともありませんね。





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