磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

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井伏鱒二の文学

2008年05月08日 | 読書日記など
『井伏鱒二の文学』
   大越嘉七・著/法政大学出版局1980年

文学というのも、いろいろありますね。
それで、井伏鱒二の文学とタイトルされたのでしょうか?



この表現がわからなかった。下「」引用。

「井伏鱒二の文学は、よく「庶民」の文学などと言われてきた。」

高級落語だと書いている人もいましたが、そちらは理解可能です。

熱心なファンがおられるものです。下「」引用。

「しかし一方では、かつて臼井吉見氏が井伏鱒二の『さざなみ軍記』と志賀直哉の『暗夜行路』とを対比したことに対して、桶谷繁雄氏が、「飛んでもない事であると思う。『さざなみ軍記』には『暗夜行路』の父ちゃんや小僧的青臭さなど微塵もない」。「『暗夜行路』などは消えてなくる時期は遠くないとしても、『さざなみ軍記』いや井伏鱒二氏の文学は、文学史上に残り得るものだと思うのである。」」

神のように、未来の歴史を語られる人たち……。
--将来が不安で、生きているボクとは大きな違いがあるなあー。

今、『蟹工船』が売れているという。
多くの人を幸福にする本だろうとボクは思う。
--『我が闘争』が広がらないことを願う……。

無名の被爆された人たちの愛情深い文章も人を幸福にするとボクは思っています。

『山椒魚』の評がある……。下「」引用。

「『山椒魚』において宣言せられた井伏文学の世界である。(そこにはもはや「転向」も「革命」もあり得ない。)」

ブラックユーモアだろうか?

ジョン・レノンのように宗教的境地なら理解できるが……。

--井伏鱒二の『鐘供養の日』は抵抗文学だという。
しかし、日本にはフランスのような抵抗文学運動はなかったという。
--『山椒魚』も外国の作品をヒントにされたようですし、そのエッセンスがあったのかもしれませんね。

『黒い雨』は、昭和41年、第19回野間文芸賞を受賞。

しかし、評価は……。下「」引用。

「『黒い雨』に対しては決して高い評価は与えられていない。

 つづめて言うなら、『黒い雨』の勝利は、それら圧倒的な事象を、しかし井伏的世界をはみ出すまいとする--個を通じて普遍的な人間にいたり、小状況の集積により大状況に対置するという--その節度の誠実さとを、作品内にとどめ得た、そのことにあるといえよう。」*『原爆文学史』より

洗脳力があるそうです? 下「」引用。

安岡章太郎が「井伏文学の洗脳力」(筑摩書房版全集第十巻「月報6」)と言い、「私は井伏鱒二氏の文章を読んだあとでは、じはらく自分の頭がすつかり“井伏化”されて、ふとヒトリゴトをつぶやいても、気がつくとそれは井伏氏の文章の一句に似てゐたり、ものの見方や考へ方が、みんな井伏的になつてしまふのである。」という「洗脳力」もこの性格に由来している。」

もし、こんなことがあったら、マンガよりマンガですね……。
--ボクにはこんなことはありませんでした……。

例の大田洋子批判「原爆を書くならもう少しちゃんとしなければいかんと思った」というのは、〈中央公論社『日本の文学53』付録〉に掲載されたようだ。

中央公論社は今では読売新聞の子会社ですね……。

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恐怖であるという。下「」引用。

「広島の原爆で亡くなった人は、二十万及至三十万にも及ぶと言われている。その残虐性に加えて、問題は、まさに「黒い雨」が象徴するように、その後遺症「原爆病」の恐怖である。それは次の世代の原爆症の問題をも含む黒い恐怖である。」

何度か、原爆関連の文献をみていて、この作品に対する酷評がある。
それは、この点である……。すべての人が白血病になったわけではないと書く人もいる。被爆者は迷惑したと語られている……。

司馬遼太郎のように登場人物によりそうように書かれていたら、こんな批判は受けなかっただろう。
結婚して、子供も生れた友人などもいるのだから、その対比も司馬なら描いたことだろう……。

--もちろん、残念なことに司馬遼太郎は小説にしていない。

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