磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

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PHP文庫 人間というもの  司馬遼太郎

2007年07月01日 | 読書日記など
『PHP文庫 人間というもの』
   司馬遼太郎・著/PHP研究所2004年、2004年8刷

表紙の裏に書かれてあります。下「」引用。

「人は、その才質や技能というほんのわずかな突起物にひきずられて、思わぬ世間歩きをさせられてしまう。」



司馬遼太郎の小説には名言が豊富ですね。
その名言をテーマごとにわけて取り上げられた本といっていいかと思います。

輝ける竜馬、くすむ現代の政治家。下「」引用。

「「日本では、戦国時代に領地をとった将軍、大名、武士が、二百年数十年、無為徒食(むいとしょく)して威張りちらしてきた。政治というものは、一家一門の利益のためにやるものだということになっている。アメリカでは、大統領が下駄屋の暮らしの立つように政治をする。なぜといえば、下駄屋どもが大統領をえらぶからだ。おれはそういう日本をつくる」
 竜馬のこの思想は、かれらの仲間の「勤王の志士」にはまったくなかったもので、この一事のために、竜馬は、維新史上、輝ける奇蹟といわれる。『竜馬がゆく 三』」

世襲制のような政治家を生み出す体質として、今もくすんでいる政治家。
われわれ庶民とは大きく意識も違うよう……。
今も竜馬が愛されるのは、この点も大きいと思う。

猥談で、西郷を誉める竜馬。下「」引用。

「猥談の節度がかんじんだ。その節度の感覚のある男ならなにをやっても大事を成せる男だ。わしのみるところ西郷は達人だな、と妙なことで西郷をほめた。」

節度がない中高年男性が多い時代ですね。
とくにエリートほどひどい気がします……。

勝が人斬り以蔵にいいたかった。下「」引用。

「勝がいいたかったのは、一人の生命と一国の生命とはおなじ重さだ、ということだったのだが、以蔵はついにわからずじまいで、そのみじかい生涯をおわった。『竜馬がゆく』」

格差社会で、人を切り捨てていくだけの政治家もわかっちゃいない。
しかし、以蔵ほどの人気もあるまい。
まだ、以蔵の方が夢や愛情がある……。
だけど、そんな夢を見たら、テロリストとかわらないかも?

資本主義について書かれています。下「」引用。

「資本主義は本来、物をつくつて売って利潤を得ることなのに、しっかり者の社長たちが企業を引きずって、それ以外のことでもうけはじめた。それが日本の経済をめちゃくちゃにし、人心をも荒らしてしまったということがある。 『土地と日本人』(「現代資本主義を掘り崩す土地問題」)」

司馬遼太郎にとって、資本主義はよいもののようであったようです。
モラルを大切にする珍しい作家・司馬遼太郎。
モラルがないというのが特質のエロ・グロ・ナンセンスの多い業界のなかで、特筆されるのは当然のことでしょうね。


外交についても名言ですね。下「」引用。

「繰り返すようだが、外交は一国の利害で割りきられた政治技術の範囲を出ることがないのである。
 が、孤絶した環境のある日本においては、外交は利害計算の技術よりも、多分に呪術性もしくは魔術性をもったものであった。」

どうも、いまだに日本は奇妙なもの。
いや、奇妙をこえて気色が悪いものになっていると司馬遼太郎ならいいそうな事態になっています。
魔術にかかわっている人たちは何をしているかも理解できないようです。









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