磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

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科学 2012-1

2012年03月23日 | 読書日記など
『科学 2012-1』
    田中太郎・編/岩波書店2011年

特集名 リスクの語られ方



「やっかいな放射性ストロンチウムの測定」小豆川勝見。下「」引用。

「2011年10月号の本コラムでも指摘したが、放射性ストロンチウムの中でも最大の収量を有する90Srは、ベータ崩壊する際にガンマ線を放出しない特徴である。そのため90Srを含む放射性ストロンチウムの分析を行う場合には、まず、試料内に含まれるすべてのストロンチウム(放射性、非放射性を問わない)をイオン交換樹脂によって分離、精製する。その後、分離されたストロンチウムから放射性ストロンチウムを測定する装置(ガスフロー式ベータ線カウンターや液体シンチレーションカウンターを用いるのが一般的)によってベータ線の測定を行う。しかし、イオン交換樹脂で分離・精製されたストロンチウムは同位体まで分離することができない。そのため、イオン交換樹脂を通しただけの溶液ではね、89Srと90Srの半減期の違いを利用して、娘核種(89Y)とのある程度の放射平衡を持ってから分離作業を行う必要があり、その行程には1カ月程度がかかる計算になる。この方法は福島第一原発事故以前から定められていた手法であり、放射性ストロンチウムの公定法として考えても差し支えない。しかしこの手法は非常に手間がかかることから、簡略化した実験によって求められる場合もある。そのため、測定をどのレベルまで行うのかによって示される値がまったく変わってくることから、これらの値を考察するときにどのような分析手法で計測されたのかを詳細に把握しておく必要がある。」

「いま、水俣病が示唆すること」原田正純。下「」引用。

「水俣病原因究明には総合的研究が必要であった -略-」

「水俣病は終わったとされた」が……。下「」引用。

「人類至上初めての経験である水俣病の解明に、時間がかかったとはいえ成功した熊本大学医学部研究班の功績は大きい。しかし、1959年の有機水銀が確立されることによって水俣病はあたかも終焉したかのように捉えられてしまった。原因究明が“昇りの研究”とすれば原因が明らかになった後の被害の程度や拡がりを明らかにする“下りの研究”が必要であった。しかし、なぜか“水俣病は終わった”とされてしまうのである。確かに水俣病(メチル水銀中毒)の解明に医学が中心になることは異論なしに当然であり、水俣病の主症状は神経症状であった。
 しかし、水俣病は極めて高度技術的、社会的、政治的事件であり、人類が初めて経験した環境汚染による食物連鎖を通じておこった中毒であった。-略-水俣病という人類史上初の中毒事件を医学の分野、それも神経学という狭い分野に閉じ込めてしまったことがその後の水俣病の全貌解明に問題を残したといえる。-略-」

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「低線量被ばくとどう向き合うか」石田葉月(福島大学共生システム理工学類)。

意図が読み取れない「除染か避難か」 下「」引用。

「繰り返すが、一般人の追加線量限度は年間1mSvである。したがって、これを当面達成できない地域には、本来、一般人が住むべきではない。少なくとも、子どもだけでも即刻避難させるべきである。除染活動の効果も不確実なのに、「除染するから避難の必要なし」とでもいわんばかりの除染計画からは、住民の被ばく量を少しでも減らすという意図が読み取れない。」

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「原子力をめぐるリスクと倫理--ドイツ倫理委員会報告におけるリスク認識」吉田文和、吉田晴代。下「」引用。

「福島の事故を受けて、ドイツは世界に先駆け脱原発とその代替となる新しいエネルギー政策を決定した。その決定において大きな役割を果たしたのが、安全なエネルギー供給に関する倫理委員会とその報告「ドイツのエネルギー転換--未来のための共同事業」である。その報告のなかで、ドイツの脱原発は可能であるという同委員会の最終判断を支えたリスク論に焦点をあてる。-略-」

【ドイツ】専門家にまかせられない。下「」引用。

「福島の事故の何よりも深刻な影響は、原子力発電の安全性に関する専門家の判断に対する信頼を揺るがしたことである。これまで専門家の判断を信頼してきた人々、「制御不可能な原子力の大事故が原理的に発生しうるのであれば、そのリスクにどう対処すべきなのかという問題の答えを、もはや専門家に任せたくない」と考えるようになったのである。すなわち、こうした問題の解決には、専門家の判断を超えた社会的倫理的判断が必要であり、そのために徹底的な議論を通じて合意を形成することで、責任ある社会的決定と提案を行なうことが倫理委員会の使命とされた。」

日本も世界各国も同様でしょうね……。
現実を理解されたら……。








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