磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

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放射能汚染-どう対処するか-

2011年12月22日 | 読書日記など
『放射能汚染-どう対処するか-』
   宮川彰、日野川静枝、松井英介・著/
     首都大学東京宮川研究室・企画/花伝社2011年



「汚染の実被害と「風評被害」」 下「」引用。

「汚染が農産物におよぶと、消費者の側で摂食による内部被曝の不安が増大する一方、農水産業者の側では出荷停止(3月21日)による損害といわゆる「風評被害」とが広がりました。決め手になったのは、ホウレンソウ、かき菜、牛乳の放射線量のサンプリング調査に基づく「暫定規制値」超えです。しかし、この出荷停止の措置は、消費者の疑心暗鬼を呼び覚ますことになりました。まっさきに人びとの脳裏をかすめたのは、一つのサンプリング調査という部分抽出による検査法、もう一つは「規制値」の信びょう性です-略-。
 ここに挙がった3つのサンプル産物の背後には、“ブラックリスト”または“灰色リスト”に相当する候補産物が数多くひかえているのではないか。たまたま検査対象にならなかっただけの、潜在的な、汚染候補産物がたくさんひかえているのではないか。またまた検査対象にならなかっただけの、潜在的な、汚染候補産物がたくさんひかえているのではないかという猜疑が、日本中を駆けめぐりました。ホウレンソウやかき菜が汚染されたなら、そうであるなら、同じ葉もの野菜である小松菜やキャベツや春菊等々も免れないだろう。牛乳が汚染されたなら養鶏のタマゴ等々だって同然、また、小魚のコウナゴが汚染されたならシラスや同じ海域にすむ食物連鎖上位の大中の魚介類だって同然であり、例外であるとは考えにくいでしょう。」

実被害もわからず、「風評被害」も妙なものです……。

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「ECCRの外部被曝モデルと内部被曝モデル」

トロトラスト問題。下「」引用。

「一般の人はあまり知らないかもしれませんが、医療関係者ならある程度知っているのがトロトラストです。肝臓などの血管をX線で描出するために、血管の中にら造影剤を入れます。今はヨード造影剤を使うことが多いのですが、それはX線をよく吸収するので「陽性」の造影剤と言います。
 戦前、戦中から戦後の一時期、陽性造影剤として使われました。トロトラストで問題なのはトリウムです。身近な医療の場で診断用に使われたのですが、あとになってトリウムが原因の肝臓がんが出てきます。これも内部被曝のモデルに入ります。」

東京都民の水道水……。下「」引用。

「東京都民が毎日飲んでいる水道が汚染されたということは、放射性物質が200km以上離れたところまで移動したということです。野菜から検出されたものは、その野菜が汚染された土からセシウムを取り込んだためでした。放射性物質の小さな粒を離れたところまで運ぶのは空気と風と雲です。海の魚も例外ではありませんでした。茨城沖でとれたコウナゴからセシウム137が検出されました。これを運んだのは主に海の水でした。」

「沖縄の「ビキニ事件」」 下「」引用。

「この水爆実験の被害の広がりが特に問題になるのは沖縄です。沖縄は実験海域に近いこともあり、アメリカの占領下で一番深刻な被害を受けたと考えられます。その実態は、きちんとした調査もなされないままに隠蔽されてきました。沖縄県の人たちは、一番深刻な影響を受けたにもかかわらず、ほとんどの日本人の知らないままに現在にいたっています。
 当時、沖縄では住民の約80%が雨水をためて利用していました。飲み水と一緒に身体に入ってくる放射性物質もかなりあったと思われます。しかし、アメリカ軍の化学班は、雨水をためた容器にガイガーカウンターを差し出して、低い数値を占めているところに映像で撮らせ、「こんな安全だ」というメディアコントロールをしたことがわかっています。ガイガーカウンターで調べるときは、水を蒸散させて、あとに残った灰のような沈渣するものなのですが、知らないことをいいことに、水のところにガイガーカウンターを持ってきて、「大丈夫」とやったのです。
 当時、琉球気象台がいろいろ調べていますが、その記録を見ても、17万カウント、16万5000カウントト、高いカウントが雨から検出されています。
 高地のグループが調べた記録をみると、56日間、2000カウント以上の放射能雨が降っています。その中に、放射能で必ずしも同定されていない面もありますが、半減期の非常に長いストロンチウム90やセシウム137があったことから、「それが、今でも沖縄の土の中に蓄積されていると見たほうがいい」と書かれています。」

韓国の被害。下「」引用。

「水爆実験による被曝の影響は韓国にも及んでいます。日本の汚染されマグロ漁船は、全部廃船にして台湾に売られ、それが回り回って韓国のマグロ漁に使われていくという流れがありました。また、アメリカのマグロ缶詰工場がサモアの辺りにあって、その工場の原材料を韓国の漁民に取らせました。サモアは、赤道より南なのでビキニからは少し離れていますが、実験海域に出漁させられたのです。明らかになっていませんが、「韓国の漁民にも被害は当然あったと思われる」と高地のグループは書いています。」

マーシャル諸島でも広島・長崎でのABCC同様、治療は一切しなかった。

日本人漁民への対応より少しよいかもしれないマーシャル諸島住民。下「」引用。

「しかし、アメリカが被曝した島として認めているのは、ロンゲラップとウトリック、ビキニ、エニウェトクの4島です。しかも、補償されるのはその中のごく限られた人だけです。その補償の対象は、白血病とか、固形がんには胃がんや肝臓がんなどいろいろありますが、「35種類の病気と診断された場合には補償する」としています。
 日本人漁民への対応よりは少しよいかもしれません。日本の場合は、第五福竜丸の乗組員は別にして、あの海域にいて被曝したそれ以外の漁民に対しては何の補償もありません。大石又七さんも、「アメリカのほうがまだいい」と書いています。ただ、深刻な問題として、被災地域を非常に狭く取っていることと、認定対象を非常に絞り込んでいることが挙げられます。-略-」

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ICRPと原子力産業界【内部被曝委員会審議打ち切りの真相】。下「」引用。

「翌1951年には、内部被曝に関する委員会審議を打ち切ってしまいました。この内部被曝に関する委員会の初代委員長を務めたカール・モーガンがその著書の中で次のように述べています。
「ICRPは、原子力産業界の支配から自由ではない。(中略)この組織がかつて持っていた崇高な立場を失いつつある理由がわかる」(『原子力開発の光と影--核開発ものからの証言』2003年、昭和堂、153頁』
 内部被曝の基準値を厳しく設定すると、原子炉の保守・点検・修理、燃料棒の交換など現場作業に携わる作業員の安全確保が困難になり、その結果原子炉の運転ができなくなる。その結果、プルトニウムの生成もできなくなり、世界核戦略に支障をきたすというのが、内部被曝委員会審議打ち切りの真相だったようです。」

ECRR2011勧告。下「」引用。

「ECRR(ヨーロッパ放射線リスク委員会)の2010年勧告は、内部被曝の健康影響を著しく低く評価するICRP基準に替わる、より厳しい基準を提案しています。子供や妊産婦には格段に厳しい基準が設定されなければなりません。」

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