『岩波講座アジア・太平洋戦争3 動員・抵抗・翼賛』
倉沢愛子、他・編/岩波書店2006年
いろいろなことが書かれてあります。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/62/1d/d956c9ceb894d056f3ea712130f8897e.jpg)
【月報】にカナダの日系人差別が書かれてあります。下「」引用。
「しかし日系人の記憶の場としてはいまだに「パウエル街」としてその中枢に位置している。
繁栄していた日本人町が、一夜にしてといってよいほど、突如姿を消したのは太平洋戦争の開戦直後にカナダ政府が実施した日系人追放政策のためである。一九四二年一月に「戦時特別措置法」が制定された。「敵性外国人」と見なされた「日本に人種起源を持つ」人々が強制的にバンクーバーなど太平洋岸の「防衛地域」から追放され、内陸の収容所キャンプや農場におくられた。財産は没収され低価格で売り払われ、売却により得られた資金は日系人の強制収容所費用をまかなうために資産管理人にわたされた。日系人は生活費を管理人から受け取り、資金がなくなってはじめて政府の補助を得ることができた。」
西條八十について書かれてありました。下「」引用。
「その名も『銃後』(交欄社、一九四三)という詩集が西條八十にある。「日本の母、日本の妻」「銃後の少女」「靖国の妻・靖国の子」などの章題にもあるように、その主要な部分には様々な〈銃後の人々〉の思いを、彼ら彼女らを代行して表白する作品が集められている。」
火野葦平についても……。下「」引用。
「文藝春秋社は小林秀雄を派遣して陣中授与式を行った。火野葦平に中支派遣軍報道部への転属の話しが持ち上がり、第一線からの転属をしぶる火野に対して、報道部の班長・馬淵逸雄中佐は、分隊長として戦闘する兵隊は他にもたくさんいるが、文章を書いて芥川賞をとるような兵隊はないと前置きをした上で、近く徐州会戦が始まるについて、将来、戦争文学を書く場合にきっとこの徐州会戦を見たことが大きな参考になると説得したという」
朝日文化賞を受けた火野葦平。下「」引用。
「一九三九年一○月に現地除隊となった火野が、残務整理を終えて日本に帰国したのが一一月三日で、この時点で火野は名実ともにの「銃後」の人となる。ちなみに「兵隊三部作」は総計で二○○万部を突破する売り上げを記録し、一九四○年一月には朝日文化章を受章している。」
大田洋子も……。下「」引用。
「戦後、原爆体験を小説『人間襤褸』に描破する大田洋子は「母のたより」で、出征兵士たちが、皆、自分の息子のような気がして「可愛ゆくいとほしく」感じると綴る。」
index
林芙美子……。下「」引用。
「その答の一つが、林芙美子の従軍記『北岸部隊』の中にある。「前線」が近づくにつれて、銃撃戦も激しくなり、四、五里先の上巴河を佐野部隊が突撃中というところまで来たとき、林芙美子は目前で日本兵が被弾して倒れるのを見ながら、なぜ自分は中国兵の死に反応しないのか自問自答する。」
懺悔しなかったという……。下「」引用。
「林芙美子はその後も南方に徴用作家として出かける経験をするが、『気づかざりき』や『若き妻たち』が刊行された時期には、『放浪記』も内容が時局に不穏当であると刊行を差し止められ、疎開先の長野・角間温泉で休筆状態に入っていた。戦後、また爆発的に書き始めるが、自伝的要素の強い小説で戦中の自信の在り方を懺悔することはしなかった。-略-」
差別しない政府によって強制収容所に入れられた日系人。下「」引用。
「アメリカは差別をしない。それゆえ日系住民の若者も国民共同体のために死ぬことができるようになる、というわけである。
アメリカ国家は、この粗暴な人種主義からの移行過程で、日系アメリカ人の強制収容所でさえも、収容所の生命、健康、福祉、教育を豊かにする合理的な必要性の範囲内に置こうとした。-略-」
もくじ
Index
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倉沢愛子、他・編/岩波書店2006年
いろいろなことが書かれてあります。
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【月報】にカナダの日系人差別が書かれてあります。下「」引用。
「しかし日系人の記憶の場としてはいまだに「パウエル街」としてその中枢に位置している。
繁栄していた日本人町が、一夜にしてといってよいほど、突如姿を消したのは太平洋戦争の開戦直後にカナダ政府が実施した日系人追放政策のためである。一九四二年一月に「戦時特別措置法」が制定された。「敵性外国人」と見なされた「日本に人種起源を持つ」人々が強制的にバンクーバーなど太平洋岸の「防衛地域」から追放され、内陸の収容所キャンプや農場におくられた。財産は没収され低価格で売り払われ、売却により得られた資金は日系人の強制収容所費用をまかなうために資産管理人にわたされた。日系人は生活費を管理人から受け取り、資金がなくなってはじめて政府の補助を得ることができた。」
西條八十について書かれてありました。下「」引用。
「その名も『銃後』(交欄社、一九四三)という詩集が西條八十にある。「日本の母、日本の妻」「銃後の少女」「靖国の妻・靖国の子」などの章題にもあるように、その主要な部分には様々な〈銃後の人々〉の思いを、彼ら彼女らを代行して表白する作品が集められている。」
火野葦平についても……。下「」引用。
「文藝春秋社は小林秀雄を派遣して陣中授与式を行った。火野葦平に中支派遣軍報道部への転属の話しが持ち上がり、第一線からの転属をしぶる火野に対して、報道部の班長・馬淵逸雄中佐は、分隊長として戦闘する兵隊は他にもたくさんいるが、文章を書いて芥川賞をとるような兵隊はないと前置きをした上で、近く徐州会戦が始まるについて、将来、戦争文学を書く場合にきっとこの徐州会戦を見たことが大きな参考になると説得したという」
朝日文化賞を受けた火野葦平。下「」引用。
「一九三九年一○月に現地除隊となった火野が、残務整理を終えて日本に帰国したのが一一月三日で、この時点で火野は名実ともにの「銃後」の人となる。ちなみに「兵隊三部作」は総計で二○○万部を突破する売り上げを記録し、一九四○年一月には朝日文化章を受章している。」
大田洋子も……。下「」引用。
「戦後、原爆体験を小説『人間襤褸』に描破する大田洋子は「母のたより」で、出征兵士たちが、皆、自分の息子のような気がして「可愛ゆくいとほしく」感じると綴る。」
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林芙美子……。下「」引用。
「その答の一つが、林芙美子の従軍記『北岸部隊』の中にある。「前線」が近づくにつれて、銃撃戦も激しくなり、四、五里先の上巴河を佐野部隊が突撃中というところまで来たとき、林芙美子は目前で日本兵が被弾して倒れるのを見ながら、なぜ自分は中国兵の死に反応しないのか自問自答する。」
懺悔しなかったという……。下「」引用。
「林芙美子はその後も南方に徴用作家として出かける経験をするが、『気づかざりき』や『若き妻たち』が刊行された時期には、『放浪記』も内容が時局に不穏当であると刊行を差し止められ、疎開先の長野・角間温泉で休筆状態に入っていた。戦後、また爆発的に書き始めるが、自伝的要素の強い小説で戦中の自信の在り方を懺悔することはしなかった。-略-」
差別しない政府によって強制収容所に入れられた日系人。下「」引用。
「アメリカは差別をしない。それゆえ日系住民の若者も国民共同体のために死ぬことができるようになる、というわけである。
アメリカ国家は、この粗暴な人種主義からの移行過程で、日系アメリカ人の強制収容所でさえも、収容所の生命、健康、福祉、教育を豊かにする合理的な必要性の範囲内に置こうとした。-略-」
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