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謀殺の航跡-シンガポール華僑虐殺事件-

2009年12月15日 | 読書日記など
『謀殺の航跡-シンガポール華僑虐殺事件-』
   中島正人・著/講談社1985年

表紙の裏に書かれてあります。下「」引用。

「そのとき、劉氏は私に重大な発言をしたのである。『華僑粛清計画書』というのを自分も見たというのである。そればかりではない。劉氏は、その徴用時代、軍司令部で山下奉文や辻政信が『シンガポールの華僑は皆殺しだ。シンガポールだけじゃない、とにかくこの南洋から華僑を一人残らず追い出せ」と命令したのを何度も耳にした、と話した。」



きれいな風景なので、アベックに写真にとらせてくれといった著者。ひどい言葉でなじられたという。
そのきれいな風景、そこには次のような記念碑があった……。下「」引用。

「台座の右手には、華語で「日本占領時期死難人民記念碑・一九四二~一九四五」と刻まれており、左手には、これも同じ意味の文字がマレー語で刻まれて、いずれもそこに金粉がほどこされていた。
 記念碑の裏側に歩を運んでみると、台座の真後ろにあたる左右にも、同じ意味が英語とタミール語で刻まれていた。」

現地の人々と仕事の枠にとらわれず交流しようとした著者。

マレーシアでも……。下「」引用。

「実をいうと、マレーシアでも方々でひどい華僑虐殺が行われていましてね。たとえば、そのためにペナン島では二○○○人ぐらいの人が殺されていますよ。マラッカやジョホールバルでは、それ以上の華僑が殺されているでしょう」

太平洋戦争中も「三光作戦」……。下「」引用。

「ところで、この時点までに判明したことは、日本軍による中国人虐殺事件がただ単にシンガポールだけで行われたのではなく、太平洋戦争中戦場となった香港、マレー半島、フィリピン、インドネシアといった各地域でも広範囲にわたって行われたという動かしがたい事実だった。
 私は各地から送られてくる資料を手にしながら、そのつぎ驚きを新たにした。
「南京大虐殺」や「三光作戦」は何も日中戦争に限ったことではなく、太平洋戦争でも性懲りもなく行われていたのである。」

二人の日本兵がやってきて、若い娘はいないかと聞くので、『不在』と文字を書いた中国人。そして、殴りつけられたという。

知識人は目がねをかけている?……。下「」引用。

「-略-でも眼鏡を掛けている人間に仕事をさせるという理由はどうしても理解できなかった。これは幸運にも釈放された後でわかったことだが、『知識人は常に日本軍に反抗している分子が多い』という判断を日本軍が持っていたからである」(『南洋商報』一九六三年七月三日)」

曾さんは日本兵に斬られて右腕失う……。

「の谷」 下「」引用。

「実はこの『チャンギー三○○エーカー』には、戦時中、一○ばかりの塹壕が掘ってありました。結局その塹壕がみな日本軍に虐殺の場所として使われたのです。つまり、殺人坑ですね。そのことは、私たちも『検証』から帰ってきてはじめてわかったことですが、それこそ塹壕という塹壕はどこもみな死体がいっぱいでした。おまけに塹壕の死体の上には十分土が掛けていないものですから、あちこちに手や腕や足がはみ出している。なかでも、私がいちばん恐ろしいと思いましたのは、ある塹壕で、上半身を土のなかから突き出し、苦悶の形相で死んでいる人の姿でした。多分、その人は、塹壕に投げ込まれて土を掛けられたときにはまだ息があったのでしょう。しかし、誰も助けにきてくれる人はいないし、結局、自力でなんとか這い出そうとして、上半身を起こしたところで絶命したのでしょうね……」

『聖戦』の正体……。下「」引用。

「-略-わたくしは『聖戦』の正体を見てしまった。この戦争は、戦闘には勝っても、すでに道義的に負けているのだ。『聖戦』の正体とは、これだったのか。平野直美が、南京攻略戦に従軍して自分の眼で見たという大虐殺や、重慶の無差別爆撃の噂話が、現実となって身近につながってきた」(『雨過天晴の巻き--回想の文学』平凡社)」

遺骨収集 : 遺骨に残る脳髄……。

東大総長・外山正一……。下「」引用。

「「うちころせ大砲で、文明の大敵を、衝き崩せ剣をもて、蛮族の巣窟を、東洋の文明を、進むるは我が力、撃て撃て突け突け、君の為め国の為……」
 ことに最後に挙げたものは、外山正一の作になる『往け往け日本男児』と題する戦争謳歌であるが、この外山は、当時文学博士号をもつ社会学の開拓者で、東京帝国大学文科教授を勤め、のちに同大学総長、文部大臣をも歴任した人物であった事実を重ね合わせて考えると、もはや言うべき言葉をなにも知らない。」

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河村参郎は戦争犯罪を法廷で問われたが、自身は否定……。







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