磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

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原子力都市

2010年05月06日 | 読書日記など
『原子力都市』
   矢部史郎・著/以文社2010年

帯に書かれてあります。下「」引用。

「核の時代の街を歩く
気鋭の思想家が描く現代日本地理
私たちはなにを失い、
なにを生み出したのか?」



本書は……。下「」引用。

「本書に収められたエッセーは、二○○六年から二年間のあいだ、いくつかの土地を歩き書いたものだ。
 どんなところであれ、人が生きる土地には人の手が加えられていて、都市化されてきた歴史がある。都市の歴史はいくつかの時代が地層をなして折り重なっているものだろう。-略-」

「柏崎」日常的なもの……。下「」引用。

「地震によって倒壊した柏崎中心部の街並は、異常な光景というよりも、むしろよく慣れ親しんだ日常的なものに感じられた。かつて震災以前に訪れたときと、ほとんど印象が変わらない。神社では石の鳥居がまっぷたつに割れ、地面に崩れ落ちている。店舗や家屋はところどころで傾き、完全に潰された建物もある。-略-徹底的に破壊された建物と、それらが誰の関心も惹きつけずあたりまえのように転がっているさまは、とても柏崎らしい光景であるように思えた。-略-」

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都市全体密室的……。

無関心の規制……。下「」引用。

「マスメディアの技術的発展というものは、ここでは何の意義も持たないし、その方向を反転してもいる。indifference=無関心の規制によって、柏崎は見えないままに置かれるのだ。」

呉のキャバクラで「アンパンマン」を歌う自衛官。

「原子時代」=管理社会。下「」引用。

「原子力の時代は、この「労働の時代」に幕を下ろす。工業化社会は大量の労働者を従え、また労働者の力に依存していたが、原子力の社会は労働者に依存しない。原子力産業は人間の労働に依存するのではなく、管理の技術に依存する。ここでは労働力の源泉ではなく、二義的なものに格下げされる。労働にかわって新たな中心を占めるのは、管理の技術である。
 ここで注意しなければならないのは、「鉄の時代」の管理と、原子時代の管理との違いである。-略-」

原子都市の管理……。下「」引用。

「かつて工業都市の経営者たちは、労働者や地域社会と交渉し、ときに譲歩することも強いられていたが、原子力都市の経営者は、交渉するのではなく管理する。土地を管理し、放射性物質を管理し、情報とイメージと政治を管理し、そうした諸々の領域にわたる管理の蓄積が、原子力産業を支えている。」

権力のイコンとなった原爆……。下「」引用。

「新たに建設された平和記念公園では、本来ならばすでに破綻したはずの国民国家が、被爆者を追悼することで、管理の権力を確認するだろう。原爆と云う国家国民の前提を揺るがす事態が、権力のイコンヘと昇華したのだ。
 軍都から、平和都市へ。大きく転換したとも云えるし、何も変わっていないとも云える。軍都であれ平和都市であれ、広島を支配している原理は、国民国家というみせかけを維持するために自由を圧迫し人間を苛むことである。」

たしかに、運営している政治家たちは、構造的暴力などは無視つづける平和ですね……。
被爆者の福祉などを考えた政治家もまた少ないのでは……。長崎だが、福田須磨子の詩などを思い起こす……。

もくじ

「原子力都市」 下「」引用。

「それはまず第一に、技術と投機的な巨大計画による専制である。専制的な計画と経営を前にして、労働と労働者はかつての地位を失う。-略-」










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