磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

鱧男の小説などをUP。環境問題に戦争・原発を!環境問題解決に民主主義は不可欠!

バートランド・ラッセル著作集1 自伝的回想

2008年05月19日 | 読書日記など
『バートランド・ラッセル著作集1 自伝的回想』
   バートランド・ラッセル(著)/
     中村秀吉(ひできち)(訳)/みすず書房1959年

生れた時代も違えば、国も異なる……。彼の思想を完全には理解できそうもないとも思う……。しかし、一読する価値はあると思えて手にした。



彼の生きた時代……。下「」引用。

「一九一四年〔第一次大戦の始った年〕以前の世界を知らない若い人たちには、私の年かっこうの人のもつ子供の時の思い出と、現代の世界とのコントラストを想像するのは、むずかしいことに違いない。成功するかどうかは別として、私としては、さまざまな帝国が滅びゆき、共産主義や、アジアの自己主張や、貴族の没落してゆくこの世界というものに、自分自身を適合させようとこころみている。明日生きられるかどうか、古い国が朝露のように消えるかどうか、だれにもわからない奇妙で不安定なこの世界では、若いころのゆるしがたい事物に馴れた人たちにとって、いま経験しているものが実在であり一時的な悪夢ではないとはなかなか信じ難いのである。」

すでに、時代の違いをも考えていたラッセル。

共産主義でもなけば、破壊的な国家主義者でもない著者。彼は政治一家に生れた。下「」引用。

「政治は十六世紀以来、ラッセル家の慣習的な職業で、ほかの職を考えるのは祖先に対する裏切りの一種とみなされた」

両方からひどい目にあったという。下「」引用。

「私をブルジョアジーの従僕とののしった。しかし、反動派の人たちは私のいったことに気づかず、私のことを「臆病なボリシュヴィキの豚」と書き続けた。だから、私は両方の世界からひどい目にあう羽目になったのである。」

両方とも、ゼロサムゲームをしているのだから、そのゲームの一味のようなものかしれない……。
--そんなふうに思うのは、寂しいことであるが……。

反対に考えたら、彼らが味方になるとしたら、カードにされている確率が高いともいえるのではないか?

友愛教会の人々とも著者はかかわったという。下「」引用。

「友愛教会を所有していた牧師は非常に勇気のある平和主義者だった。こんな経験をしたのに、彼はつぎの機会に、私を彼の教会で演説するように招いた。だが今度は、暴徒が説教壇に発砲して演説は行われなかった。これらの事件は、私が個人的暴力に出あった唯一もので、ほかの集会はみな邪魔されなかった。しかし、平和主義者でない私の友人がやってきて、私に、「どの集会が暴徒がつぶしてしまうのに、どうして君は集会で演説しようとしつづけるのだ」といったのは、新聞の宣伝力によるものだった。」

友愛教会はクエーカー教徒とも呼ばれていますね。

著者は投獄されたこともあるという。下「」引用。

「一九一八年、私は平和主義宣伝をやったかどで、四ヵ月投獄された。しかし、アーサー・バルフォア〔-略-〕の仲介で、第一部門にいれられ、そのため牢獄にいる間、平和宣伝でなければすきなだけ読んだり書いたりはできた。」

イデオロギーを万能薬とはしない著者。下「」引用。

「私は、あらゆる病気をなおせるような単純な特効薬を信じ込んだことは一度もない。逆に私は、世界における紛争のおもな原因の一つは、ふさわしい明証をもたない教義を独断的・狂信的に信ずることであると考えるようになった。国家主義、ファシズム、共産主義、および現在の反共主義は、すべて、あるせまい信念のためにいういわれぬ恐怖心をあおり立てる、偏狭な熱狂者の一群をうみ出したのだ。すべてこのようなファナティズムは、多少とも私がモスクワのマルクス主義者において見出した欠点、すなわち彼らのダイナミックな権力が主として憎悪に依存する、という欠点をもっている。」

誰の独裁であろうと許してはならないと思う……。下「」引用。

「こうしてプロレタリアートの独裁は小さな委員会の独裁になり、スターリンの何百万の農民を飢餓によって死に追いやり、他の何百万を収容所の強制労働に追いやった。」

戦争さえなければ平和なのか? 下「」引用。

「ジョン・スレッサー卿は、彼の空中戦の経験から、最高の権威をもって語ることができるのだが、「こんにちの世界戦争は、あらゆるものの自殺だろう」といい、さらに続けて「戦争の特殊な武器を廃止する試みは、いかなる意味も持たないし、将来も持たないだろう。われわれはがやめなければならないものは戦争そのものである」といった。」

このことが書かれた時代には、積極的平和や消極的平和などということは言われなかったのだろうか?

--核兵器をもつだけで、その国は変化する……。
その人の思想は変化していく……。
--核兵器の開発には、多くの弱者が切り捨てられていった……。
また、福祉予算も削られていく……。
--『原子力帝国』はいくら戦争状態でなくても、危険な世の中になってしまう……。










index



エンタメ@BlogRanking


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。