あかねさんシリーズ002 男が女de女が男 153 啓蒙主義=差別主義!? 茜はこの世界へ来て、オカネスキーから面白い話をきいた。 啓蒙主義というのは、力ではなく教養で人を支配することで、差別主義なんだというのである。 啓蒙主義が人道主義ではないとオカネスキーは主張するのである。 アメリカインディアンたちに、人道主義は示されなかったとオカネスキーは、その人道主義という言葉と啓蒙主義というものは異なるというのである。 それだからこそ、啓蒙主義は戦争を好み、植民地をつくりだした原動力となったし、女性は家、男は仕事と分けたというのである。 その戦争を正当化するためにも、宗教は重要なものであって、キリスト教の信者でなければ、野蛮人ということになったという。 そして、キリスト教徒はユダヤ人を野蛮人とした。その後継者により先鋭化する差別主義者が生れる、ナチス・ドイツはそんな思想を引き継いだ者たちなのである。 勝海舟は人道主義の西郷隆盛を愛し、啓蒙主義の福沢諭吉を卑しい人物としたという。 茜はそれを、思い出してから、話す。 「いいお話をきかせてくれてありがとう。ぼくは男の物語なんて、あまり読まないからね」 「男の物語?」 主任メイドは目を白黒させていた。 「『アンネの日記』は女の子が書いたものよ」 「ああ、そうだったね……」 むこうの世界では『ピーターの日記』なのである。ハロー、ベアーで始まる日記なのである。 このベアーというのは、小説のなかの登場人物、ピーターに一番性格が似ている男の子なのである。 かちきな男の子で、女の子には負けていない、聡明な男の子なのである。 オランダに行けば、ピーターの家があり、多くの人たちが涙を流す。 --この世界では。 スペインで、ヒロシマの少女・佐々木禎子が日本の「アンネ」といわれる。 でも、そのことは喜べることではない一面もある……。 スペインの人たちは、ユダヤ人がきらいなので、アンネを平和教材に使わないのだ……。 まず、自らが平和とは何かを考えてもらたいと思う……。
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