磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

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ゆりさんの花物語

2007年09月03日 | 読書日記など
『ゆりさんの花物語』
   大野允子・作/狩野富貴子・絵/PHP研究所1989年

大野さんも、これまでに何冊か紹介していますね。児童文学作家の方が、じっくり書かれている気がしてきます。子どものこと、読者のことを思われておられるからかもしれませんね……。




この本には作文が登場します。

その作文を読めば、このお話がどういうものかイメージすることができると思います。

「母のウェディングドレス   上島 ふみ

わたしはいま十五歳の中学生
十五歳のときのわたしの母は、大きな町の洋裁店『リリィー』ではたらいていた。
むかしむかしのことだ。
一九四五年八月六日。一発の原子爆弾のために、母は家も両親も妹もうしなった。
学校の先生たち山の中へそかしていたから、小学生の母は生き残って、ひとりぼっちの女の子になった。」


死んだ子も生きに残った子もあわれだったという……。

現実はそうだったと思います……。

見捨ててしまって、戦後復興ばかりいっていたマスコミ。

その陰にはこのような人たちもおられたわけですね……。

原爆孤児になった母は、小さな町の教会のそばの“光の家”の子どもになったという。

シスター・モニカが育ててくれたという。

でも、神様は好きになれなかったという。

それは仕方がないだろう……。

あの原爆を落とした人たちの神様なんだから……。

でも、事実はカトリックはすぐに原爆を批難した。

……人命を尊重する人たちが大量虐殺兵器を批難しないわけがない。

そして、アメリカはカトリックの街・長崎に二発目の原爆を投下した……。











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