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シリーズ・戦争の証言18 16歳の兵器工場-長野県野沢高女 勤労動員の手記-

2009年03月11日 | 読書日記など
『シリーズ・戦争の証言18 16歳の兵器工場-長野県野沢高女 勤労動員の手記-』
   山室静・編/太平出版社1977年

風船爆弾を工場でつくった人の証言がありました……。
--やはり、食事にも差があったようです。
「戦争は究極の差別」ですね。



音楽の先生と一億玉砕。下「」引用。

「音楽の先生(四○歳を出た男の先生)はこんな話をした。「鷹来へ来る記者の中で、前の席の若い女の人が、僕の腕章をみて学校の教師と思ったらしく、真剣に話しかけてきたんだ。『先生、一億玉砕になったら、わたしらはみんな死ななければいけないんでしょうか』と。僕は驚いてしまって、まさかみんな死ぬこともないでしょうと答えたんだけれどもねえ」
 この話を聞いて、わたしの方が驚いてしまった。そうか、みんな死ななくてもいいという考え方もあるのかしらと。」

もくじ

「本当に、まるで女工みたいだ」
--こんなことが書かれる……。
差別的なものを感じた……。

「格子なき牢獄」というタイトル。
--この人は戦後でもこのような労働を強いられている人もいることを知らないのかもしれない……。

風呂場で空襲……。下「」引用。

「毎日お風呂へはいりに行く時には、「これからお風呂に行きますから、どうぞその間は空襲になりませんように」と神様にお願いをして行くのですが、たまたま私は三~四人の友とつれだって行っていた時に、空襲にあってしまいました。-略-
「風呂場、早くデンキを消せ。早く消せ、何をしているのだ!」
 と、大きなどなり声が聞こえてきます。こちらはそれどころではありません。みな素っ裸なのだから、どうしようもないのです。その間には、敵機の爆音も聞こえています。-略-」

挺身隊と将校……。下「」引用。

「そんな夜勤の時、石川県の挺身隊の人が工場長の杉山大尉とふざけている姿を見た。将校に対する不信と、挺身隊の人たちに対する憤りで、私たちはこんなに頑張っているのにと、つくづく工場がいやになり、「こんなところで働くのはいやだ」と、夢中で書いたりした。」

病気で非国民と……。下「」引用。

「その頃、殺風景で友情も冷え切ったような寮生活の中で、わたしはひどい消化不良をおこし、心身ともにまいりかけていた。原因不明の腹痛--軍医は病名もいわずにして注射して、白い粉薬をくれた--になやまされ続け、医務課へ通うことが多かった。医務室通いは当然のこと作業成績の低下につながり、友だちの冷たい目を一身にうけてしまった。
「病気になるなんて精神がひったるんでいるからだ。みなが働いているのに、よく平気でねていられたもんだ、非国民!」
と、ずけずけいう友もあった。」

風船爆弾をつくったという。下「」引用。

「そしてその紙がだんだんはり合され、つなぎ合されてゆき、最後にできあがったのは大きな風船でした。これが風船爆弾といわれるものだったのです。この風船ができあがって大きな部屋にふくらんだ姿を見て、これが戦争に勝つための兵器であることを口に出してうたがう者もなく、私たちは心からよろこんだものでしたが、やっぱり心のおくでは、なにか頼りない気がしていたのも事実です。」

風船爆弾をつくる一工程を「原紙貼り」といったようだ……。

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食事とノミ……。下「」引用。

「食事はじつにひどいもので、お話にならなかった。そんななかででも工場幹部の将校連は、当時としてはかなりぜいたくなものを食べていたのにはあきれたが、それを今さら言いたてるつもりはない。しかし、それにもましてひどいと思われたのは寝る部屋で、がらんとした広い部屋にいまはほんとの五、六人ずつ寝るのだが、なにしろノミとシラミがひどいのだ。-略-」

やはり、民主主義の理念とは反対の世界である。
つまり、自由・平等・博愛ではない、
抑圧(暴力)・差別・冷血の社会である……。
今とかわりがないですね……。






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