『科学 2011-10』
田中太郎・編/岩波書店2011年
特集名 東北地方太平洋沖地震の科学
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1f/0b/9bb19b6c5e5879940bddcf9ce5af0abf.jpg)
一度に活動した。「地震防災行政と自然科学」石橋克彦。下「」引用。
「南北の長さ500kmにも及ぶ2011年東北地方太平洋沖地震の震源域は、それまでの地震学では、6個程度の領域に分れていて、高々マグニチュード(M)8の地震が複数別々に起こると信じられていた。ところが、すべてが一度に活動してM9.0りの超巨大地震が起きてしまった。研究者達は、地震学が未熟だったことに衝撃を受けるとともに、大災害(東日本大震災)を軽減できなかった社会的責任を痛感している。しかし、震災軽減に関しては、1995年の阪神・淡路大震災で大きく変わった地震防災行政の基本も反省してみる必要があるのではないだろうか。-略-」
「パニック神話に踊らされる人々 福島原発災害にまつわる不当な情報制限」小山真人(静岡大学防災総合センター(火山学、災害情報学)。下「」引用。
「福島原発災害に関して、政府や一部の研究者・マスメディア・団体・企業などが情報制限をおこない、その理由ついて「パニックを防止するため」と説明した。ここで「情報制限」とは、情報の隠蔽・選別・遅延・矮小化・不明確化などの実施・要請・容認のすべてを指す。こうした行為や理由づけが、いかに不当なものであるかを説明しよう。
たとえば、細野豪志首相補佐官(当時)は、SPEEDI(緊急時迅速放射線影響予測ネットワークシステム)の情報をすみやかに公開しなかった理由について、「市民に不安を与え、パニックが起きるのを恐れたため」と説明した(5月3日付毎日新聞など)。3月18日と4月11日付の日本気象学理事長メッセージは、「不確かな情報を公開したとすれば、万が一の緊急時に大きな社会的混乱を引き起こすことが懸念され」ることを理由に、放射性物質の拡散シミュレーションに関する研究成果の公表自粛を会員に呼びかけた。-略-」
ウソも方便もあるのではないか?
「神話」にしたら、無罪、無責任が通用できるかのようにはあきれるばかり。まず、追及が必要だ。
「パニック防止」「風評被害防止」 下「」引用。
「パニック神話にとらわれた研究者や行政担当者の主張を、何の批判もなく右から左へと伝えたマスメディアや科学コミュニケーター(普段から職とする人の他に、ボランティア的な専門家や一般市民)が多かったことも、今回の原発震災の特徴である。多くにのジャーナリストや科学コミュニケーターが、リスクコミュニケーションに関しては素人同然であったれ。
なお、行政担当者は、「パニック防止」という名目以外に、「風評被害の防止」という名目でもしばしば情報制限をおこなっている。風評被害とは、過剰警戒した消費者の買い控えなどの自粛行動によって生じる経済的被害のことである。ところが、上述したように低線量被曝のリスクはグレーゾーンが広いため、検出された値が暫定規制値以下でも、そのことだけで「安全」が保証されるわけでもないし、そもそも暫定規制値自体が非常時に限った高目の値である。そうした点を考慮すれば、消費者の買い控えは正当な行為と言えよう。つまり、「風評被害」は、生産者側の立場と解釈を一方的に押しつける言葉なのである。
しかしながら、中立な立場にあるはずのマスメディアは、行政や生産者の使う風評被害という言葉をそのまま報道し、消費者の立場や感情を踏みにじり続けている。さらには、この情報制限によって、かえって消費者の不信と警戒感を増大させ、経済的被害の拡大を招いている疑いがある。」
index
戦前と変わらない学術界=ボスを「悪玉」といえない狂ったシステム。「研究者のベーシック・インカム」有田正規(東大大学院理学系研究科生物化学専攻(メタボロミクス)。下「」引用。
「学術界の大ボスは多額の研究資金を工面できるし知名度も高い。そうした資金で雇用される若手研究者は当然ボスに逆らえない。そのうえ、豊富な資金で研究がしやすいから、部下たちはボスを悪玉とも言い切れない。黙っていれば次の就職先も見つけやすい。しかし、そうした部下たちは疑問を抱きながら研究を分担していないか。自分が将来ボスになるための必要なステップと勘違いして我慢していないか。いずれにせよ、学術界のこうした体制は世の中にあまり知られていない。その証拠に、福島原発事故の反省点として、学術界と社会の対話・熟議が重要などという意見が幅をきかせている。問題点は巷で言われるような学術界の閉鎖性ではない。マスコミや政治家が現場を知らないボスとしか対話してないこと、そのようなボスたちが若手の将来を握っていることが問題なのである。-略-」
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磁石×「超高層大気は巨大地震の発生を知っていたか?」日置幸介(北海道大学理学研究院(宇宙測地学))。下「」引用。
「地震にしばしば電磁気的な前兆が伴うことは昔から知られている。古くは安政江戸地震の直前に磁石が効かなくなった話などが有名だが、昨今は大気中の正帯電エアロゾルでこの現象が説明できるという主張もある。今日の電磁気的な地震前兆の探求は地電流や電波伝搬異常が中心であるが、ここでは2011年東北地方太平洋沖地震の直前に全地球測位システム(GPS)によって見出された超高層大気(電離層)の異常について紹介する。-略-」
TEC(電子の総数)異常。下「」引用。
「図のような地震前TEC異常が東北地方太平洋沖地震の前兆なら、他の巨大地震の前にも同じことが起こっていてもよい。そこで、2010年2月に発生したチリ地震(M8.8)前後のTEC変化を、公開されている南米のGPSデータを使って同様に解析してみた。その結果、東北地方太平洋沖地震の半分程度の大きさの正のTEC異常が地震の約50分前に始まり、電離圏が揺れ始めるまで継続していたことがわかった。-略-」
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田中太郎・編/岩波書店2011年
特集名 東北地方太平洋沖地震の科学
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一度に活動した。「地震防災行政と自然科学」石橋克彦。下「」引用。
「南北の長さ500kmにも及ぶ2011年東北地方太平洋沖地震の震源域は、それまでの地震学では、6個程度の領域に分れていて、高々マグニチュード(M)8の地震が複数別々に起こると信じられていた。ところが、すべてが一度に活動してM9.0りの超巨大地震が起きてしまった。研究者達は、地震学が未熟だったことに衝撃を受けるとともに、大災害(東日本大震災)を軽減できなかった社会的責任を痛感している。しかし、震災軽減に関しては、1995年の阪神・淡路大震災で大きく変わった地震防災行政の基本も反省してみる必要があるのではないだろうか。-略-」
「パニック神話に踊らされる人々 福島原発災害にまつわる不当な情報制限」小山真人(静岡大学防災総合センター(火山学、災害情報学)。下「」引用。
「福島原発災害に関して、政府や一部の研究者・マスメディア・団体・企業などが情報制限をおこない、その理由ついて「パニックを防止するため」と説明した。ここで「情報制限」とは、情報の隠蔽・選別・遅延・矮小化・不明確化などの実施・要請・容認のすべてを指す。こうした行為や理由づけが、いかに不当なものであるかを説明しよう。
たとえば、細野豪志首相補佐官(当時)は、SPEEDI(緊急時迅速放射線影響予測ネットワークシステム)の情報をすみやかに公開しなかった理由について、「市民に不安を与え、パニックが起きるのを恐れたため」と説明した(5月3日付毎日新聞など)。3月18日と4月11日付の日本気象学理事長メッセージは、「不確かな情報を公開したとすれば、万が一の緊急時に大きな社会的混乱を引き起こすことが懸念され」ることを理由に、放射性物質の拡散シミュレーションに関する研究成果の公表自粛を会員に呼びかけた。-略-」
ウソも方便もあるのではないか?
「神話」にしたら、無罪、無責任が通用できるかのようにはあきれるばかり。まず、追及が必要だ。
「パニック防止」「風評被害防止」 下「」引用。
「パニック神話にとらわれた研究者や行政担当者の主張を、何の批判もなく右から左へと伝えたマスメディアや科学コミュニケーター(普段から職とする人の他に、ボランティア的な専門家や一般市民)が多かったことも、今回の原発震災の特徴である。多くにのジャーナリストや科学コミュニケーターが、リスクコミュニケーションに関しては素人同然であったれ。
なお、行政担当者は、「パニック防止」という名目以外に、「風評被害の防止」という名目でもしばしば情報制限をおこなっている。風評被害とは、過剰警戒した消費者の買い控えなどの自粛行動によって生じる経済的被害のことである。ところが、上述したように低線量被曝のリスクはグレーゾーンが広いため、検出された値が暫定規制値以下でも、そのことだけで「安全」が保証されるわけでもないし、そもそも暫定規制値自体が非常時に限った高目の値である。そうした点を考慮すれば、消費者の買い控えは正当な行為と言えよう。つまり、「風評被害」は、生産者側の立場と解釈を一方的に押しつける言葉なのである。
しかしながら、中立な立場にあるはずのマスメディアは、行政や生産者の使う風評被害という言葉をそのまま報道し、消費者の立場や感情を踏みにじり続けている。さらには、この情報制限によって、かえって消費者の不信と警戒感を増大させ、経済的被害の拡大を招いている疑いがある。」
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戦前と変わらない学術界=ボスを「悪玉」といえない狂ったシステム。「研究者のベーシック・インカム」有田正規(東大大学院理学系研究科生物化学専攻(メタボロミクス)。下「」引用。
「学術界の大ボスは多額の研究資金を工面できるし知名度も高い。そうした資金で雇用される若手研究者は当然ボスに逆らえない。そのうえ、豊富な資金で研究がしやすいから、部下たちはボスを悪玉とも言い切れない。黙っていれば次の就職先も見つけやすい。しかし、そうした部下たちは疑問を抱きながら研究を分担していないか。自分が将来ボスになるための必要なステップと勘違いして我慢していないか。いずれにせよ、学術界のこうした体制は世の中にあまり知られていない。その証拠に、福島原発事故の反省点として、学術界と社会の対話・熟議が重要などという意見が幅をきかせている。問題点は巷で言われるような学術界の閉鎖性ではない。マスコミや政治家が現場を知らないボスとしか対話してないこと、そのようなボスたちが若手の将来を握っていることが問題なのである。-略-」
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磁石×「超高層大気は巨大地震の発生を知っていたか?」日置幸介(北海道大学理学研究院(宇宙測地学))。下「」引用。
「地震にしばしば電磁気的な前兆が伴うことは昔から知られている。古くは安政江戸地震の直前に磁石が効かなくなった話などが有名だが、昨今は大気中の正帯電エアロゾルでこの現象が説明できるという主張もある。今日の電磁気的な地震前兆の探求は地電流や電波伝搬異常が中心であるが、ここでは2011年東北地方太平洋沖地震の直前に全地球測位システム(GPS)によって見出された超高層大気(電離層)の異常について紹介する。-略-」
TEC(電子の総数)異常。下「」引用。
「図のような地震前TEC異常が東北地方太平洋沖地震の前兆なら、他の巨大地震の前にも同じことが起こっていてもよい。そこで、2010年2月に発生したチリ地震(M8.8)前後のTEC変化を、公開されている南米のGPSデータを使って同様に解析してみた。その結果、東北地方太平洋沖地震の半分程度の大きさの正のTEC異常が地震の約50分前に始まり、電離圏が揺れ始めるまで継続していたことがわかった。-略-」
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/05/2e/fcef9a8b9711f5579ed0418801dd6b09.jpg)
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