磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

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アイゴ! ムルダルラ 広島・長崎被爆朝鮮人の35年

2006年06月26日 | 読書日記など
『アイゴ! ムルダルラ
   広島・長崎被爆朝鮮人の35年』
     吉留路樹(よしとめ ろじゅ)・編著/二月社1980年

読んでとても悩む本でした。
理解できない部分が多々有りました。



朝鮮被爆者たちが苦労されてきたことは、理解できます。下「」引用。

「暗澹(あんたん)たる生活の上に、より破滅的な日日のおとずれであった。原爆を落としたアメリカはもとより、朝鮮人の頭上にそれを落とさせる要因をつくった日本政府も、彼女の一家を見向うとさえしなかった。
 小学生になったばかりの長男や次男、ヨチヨチ歩きの三男、そして生まれたばかりの次女(長女に戦後夭折)を抱えて、玉さんは故国に帰ることもできず、とにかく明日や明後日よりも今日ただいまを生きるため、死に物狂いで働く以外になかった。
 冬の寒い日、母は早朝から宛先もないクズ拾いに出かけた。すると、小学生の長男と次男も、小さな両手を自分の吐息で暖めながら新聞配達に励んだ。」


日本人のことをよく言われる朝鮮の方もおられます。同。

「彼女は、こう言ってくれた。私や岩松教授が日本人であることを意識したのであろう。私は胸が熱くなった。たしかに、東京でいう「下町」にあたる長崎の稲佐では、町内の人たちが彼女の一家に示した親切さも本当ではあるだろう。
 が、私は長崎という土地が、いわれなき偏見と差別の強い土地で、その県民性も事大主義的かつ排他的であることを知っているから、玉さんの周りの人たちが真実親切な人たちであったとしても、長崎の人がすべてそうであったとは信じられないし、ましてや「日本人はみんな親切」であったなどとは毛頭思わない。
 けれども当の玉さんは、力をこめて「日本人はみんな」と強く言う。」


すべてが、こうではないです。極端にトーンがかわる文章に変化します。同。

「ああ、大いにあるね。私だけじゃない。キミもある、キミにのご主人や子供たちもある。日本人はすべて関係がある。ただ、そうした関係のあることを、政治家や役人どもがまるで関係がないように国民に教え込んできただけだ」


鬼の首をとったような人が登場します。
どうも私には納得でまきせん。

ボクは朝鮮人被爆者のことは
何も教育など受けていませんが……。

韓国の人たちも、日本に同国人の被爆者として存在したことも知らない人たちもいるそうです。

こんな会話もあったそうです。

「原爆? ざまーみろ、日本人! 原爆は神様の贈物だ!」
「同国人もおられたようですよ」
「えっ、かわそうに……。原爆はいけないものだね」

日本人も朝鮮人と同じ人間です。
人道主義は、どちらも分けないと思います。

そして、著者はこんなことを語ります。同。

「吉留 −略−つまり一人一人の日本人に責任があるんだというこを強調して、私は日本人だから、日本人の立場から日本人の頭を改革していくということと取り組むのがこの運動だと考えるわけです。ですから、日本帝国主義が植民地支配をしたということは、理論的にはそうですよ、まさに。しかし、それだけではわからないんですよ。一人一人の日本人に、おまえたちにも責任があるのだよということをやっぱり言ってやらないといけないと思うんですね。−略−」


ボクはこんな意見を受け入れる気にはなれません。
朝鮮人被爆者を彼のイデオロギーに利用されようとしているようにしか思えません。

こういう方たちが、日本の原水爆禁止運動を破壊してきたとボクは今も思ってもいます。

日本人を改革することよりも、人間にもどっていただきたい。

彼らの反対の側のブッシュ大統領が中国に対して「人権を武器にして人権外交をする」と語っていたのと同様だと、ボクには思えてなりません。

人道とはそんなものではないと、ボクは思います。

「アイゴ! ムルダルラ」とは「水をくれ!」という意味らしいです。
この方たちの言葉のもつ意味も真剣に受け止めてもらいたいものです。


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