II.ときどき、雨
C012.小さな虹
ユリカは水泳は得意じゃないけれど、プールの水面を見ているだけで、涼しくって気持ちがいい。
「ねえ、ユリカ、見て、きれいな虹よ」
プールの入口近くのシャワーは、滝のようにいきよいよく降りそそいでいた。
ユリカの頭に水の束が当たり、しぶきになって、まわりに落ちていった。
目を細めているユリカは右手で耳をおおい「なにか、言った」ときいた。
バシャバシャという水の音がまわりの音を小さくしていた。
葵は、手でメガフォンをつくり
「きれいな虹だよ」
とユリカの耳のあたりで言った。
ユリカは虹なんて雨も降っていないのに出るわけないし、そんなこと葵が言うわけがないと思ったので、
「何、言ったの?」
ときき返した。
葵がまた同じことを言っていると、ヤスの声で
「ほんまや、虹やんか」
と聞こえた。それから、あわただしくペシャペシャと水の音が近づいてくるのがきこえた。
足音の主は「ほんまやんか!」と、かん高い声であいずちを送った。その声の主はチャボだった。チャボは虹を見つけたことで、たいへん驚いているようだった。
ヤスの声が、
「こいつに、何度言うても、あかんがな、都会育ちの豆モヤシやもんな」
投げやりに言いはなった。
その声はユリカのだんだん近くできこえた。
「こっちゃ、こい」
ヤスはユリカの手をひっぱった。
「ほうら、虹が見えるやろ」
ユリカは顔の水をぬぐっていた。
「見えんか」
そんなこと言われても、ユリカはまだ、顔の水をはらっていた。
「どんくさー、チャボ行くで」
パシャパシャ。ヤスはチャボとさっさっとプールの方へ走って行った。
「こらー、プールサイドを走るやつがあるか」
注意をする大人の声がきこえた。
すぐに「すんまへん」とヤスの愛嬌のある声がきこえた。
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C012.小さな虹
ユリカは水泳は得意じゃないけれど、プールの水面を見ているだけで、涼しくって気持ちがいい。
「ねえ、ユリカ、見て、きれいな虹よ」
プールの入口近くのシャワーは、滝のようにいきよいよく降りそそいでいた。
ユリカの頭に水の束が当たり、しぶきになって、まわりに落ちていった。
目を細めているユリカは右手で耳をおおい「なにか、言った」ときいた。
バシャバシャという水の音がまわりの音を小さくしていた。
葵は、手でメガフォンをつくり
「きれいな虹だよ」
とユリカの耳のあたりで言った。
ユリカは虹なんて雨も降っていないのに出るわけないし、そんなこと葵が言うわけがないと思ったので、
「何、言ったの?」
ときき返した。
葵がまた同じことを言っていると、ヤスの声で
「ほんまや、虹やんか」
と聞こえた。それから、あわただしくペシャペシャと水の音が近づいてくるのがきこえた。
足音の主は「ほんまやんか!」と、かん高い声であいずちを送った。その声の主はチャボだった。チャボは虹を見つけたことで、たいへん驚いているようだった。
ヤスの声が、
「こいつに、何度言うても、あかんがな、都会育ちの豆モヤシやもんな」
投げやりに言いはなった。
その声はユリカのだんだん近くできこえた。
「こっちゃ、こい」
ヤスはユリカの手をひっぱった。
「ほうら、虹が見えるやろ」
ユリカは顔の水をぬぐっていた。
「見えんか」
そんなこと言われても、ユリカはまだ、顔の水をはらっていた。
「どんくさー、チャボ行くで」
パシャパシャ。ヤスはチャボとさっさっとプールの方へ走って行った。
「こらー、プールサイドを走るやつがあるか」
注意をする大人の声がきこえた。
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閑話休題 ぼくの通っていた小学校のプールの水は、 地下水でした。 井戸水と子どもたちは話していました。 町の水道も地下水を吸い上げていました。 木津川があるのですが、 木津川からそのまま汲み上げることはせず、 近くで井戸をほって、 地下水を吸い上げる方式をとっていました。 それは、地層が不純物を濾過してくれると、 学校で習いました。 しかし、地下水だからといって、 そのま使用されていたわけではなく、 塩素消毒されていました。 先生方が水質も検査されていました。 命の水=人間の体の70%以上が水だとか。 水道水の浄水も電気を大量に消費されているそうです。 水道水を使用するということは、 電気代を払っているということを念頭においた人たちは、 雑用水(雨水など)利用されています。 知恵のあることです。 雨水を研究されている方々もおられます。 大切なことと思います。 雨水からもたくさんのことが学べます。 ここをクリックしてくださいませ。 |
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