磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

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C012.小さな虹

2005年09月30日 | 【小説】 レインボー...
II.ときどき、雨

C012.小さな虹





 ユリカは水泳は得意じゃないけれど、プールの水面を見ているだけで、涼しくって気持ちがいい。

「ねえ、ユリカ、見て、きれいな虹よ」
 プールの入口近くのシャワーは、滝のようにいきよいよく降りそそいでいた。

 ユリカの頭に水の束が当たり、しぶきになって、まわりに落ちていった。
 目を細めているユリカは右手で耳をおおい「なにか、言った」ときいた。

 バシャバシャという水の音がまわりの音を小さくしていた。

 葵は、手でメガフォンをつくり
「きれいな虹だよ」
 とユリカの耳のあたりで言った。

 ユリカは虹なんて雨も降っていないのに出るわけないし、そんなこと葵が言うわけがないと思ったので、
「何、言ったの?」
 ときき返した。

 葵がまた同じことを言っていると、ヤスの声で
「ほんまや、虹やんか」
 と聞こえた。それから、あわただしくペシャペシャと水の音が近づいてくるのがきこえた。

 足音の主は「ほんまやんか!」と、かん高い声であいずちを送った。その声の主はチャボだった。チャボは虹を見つけたことで、たいへん驚いているようだった。

 ヤスの声が、
「こいつに、何度言うても、あかんがな、都会育ちの豆モヤシやもんな」
 投げやりに言いはなった。

 その声はユリカのだんだん近くできこえた。

「こっちゃ、こい」
 ヤスはユリカの手をひっぱった。

「ほうら、虹が見えるやろ」
 ユリカは顔の水をぬぐっていた。

「見えんか」
 そんなこと言われても、ユリカはまだ、顔の水をはらっていた。

「どんくさー、チャボ行くで」
 パシャパシャ。ヤスはチャボとさっさっとプールの方へ走って行った。

「こらー、プールサイドを走るやつがあるか」
 注意をする大人の声がきこえた。

 すぐに「すんまへん」とヤスの愛嬌のある声がきこえた。





閑話休題

ぼくの通っていた小学校のプールの水は、
地下水でした。
井戸水と子どもたちは話していました。

町の水道も地下水を吸い上げていました。
木津川があるのですが、
木津川からそのまま汲み上げることはせず、
近くで井戸をほって、
地下水を吸い上げる方式をとっていました。
それは、地層が不純物を濾過してくれると、
学校で習いました。

しかし、地下水だからといって、
そのま使用されていたわけではなく、
塩素消毒されていました。
先生方が水質も検査されていました。

命の水=人間の体の70%以上が水だとか。

水道水の浄水も電気を大量に消費されているそうです。
水道水を使用するということは、
電気代を払っているということを念頭においた人たちは、
雑用水(雨水など)利用されています。
知恵のあることです。

雨水を研究されている方々もおられます。
大切なことと思います。
雨水からもたくさんのことが学べます。
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【気軽11】

2005年09月30日 | 短編など



【お気軽作品シリーズ】


狸の話のうそ本当

ある日僕はとってもうそつきで、
空が赤いって歩き回ったよ。
だけど赤いサングラスをかけたひとは、
「赤いよ」って言ったもんで--
とても罪を感じたんだ。
それから僕うそをつくのやめたんだ。




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