I.衛星放送?
A010.無農薬?
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「これは無農薬だ……。そんなことはないか。無農薬!? ううん。農家の息子に生まれたのに、こんなこともわからないんだから。俺も、桃子とかわらず、親不孝かもなあー。まあ、低農薬だから、あやちゃん、安心して飲んでくれたまえ」
あやちゃんはおいしそうにチュパチュパと新鮮なピーチのジュースを飲んでいた。
それを見た石井は、
「一生懸命つくったものが、こうやって、おいしくって、血や肉になるなんて、若いころは、農業ってのが、こんなにクリエイティブなこととは思わなかったなー」
と、ひとり言を言った。
そして、キッチンにもどると、やはり、桃子は冷凍食品を買いこんでいただけで何も作っていなかった。でも、いつものことだから、石井は気にもとめない。淡々と、食事の準備をはじめた。
チンと電子レンジが音をたてると、湯気をたてたインスタント食品のできあがり。床に置いた丸い照明器具で新聞を読みながら、ラザニャを食べはじめた。外で食べるよりは、面倒ではないと思っている。
しかし、無農薬かどうか、健康にいいかどうなんで理解できない。
まあ、そんなことに神経をとがらせても、病は気からという。そんなことで病気になってたまらないと、何か他に気をまぎらわせるものがないか思う。
石井の趣味は世界のテレビ番組を見ること。石井の部屋には、何台ものテレビが置いてある。寝ころんで見られるようにもなっている。
石井は趣味というのは、衛星テレビであった。世界中の放送をできるだけ見れるようにと努力したもので何百チャンネルもある。そして、コンピューター技師の石井は同時に何チャンネルも見られるように作った。それもきちんと契約したうえでのことである。
机の上に葉書が無造作においてあった。石井は、それを手に取った。献血センターから来た葉書であった。
葉書をはがしている。はがしたところに、献血した血液成分表が書き込まれていた。石井の数値はすべて正常値の範囲であった。
これで、献血された血は使用されているだろうと思った。問題があれば、輸血されないと聞いていた。先日献血した血が誰かの命をつなぎとめているとしたら、素敵なことだなあーと自分のしたことに感激している。
昨日、見たあと、リモコンを床に置いたままだった。あやちゃんは、はいはいして来て、リモコンの上にのった。何十台ものテレビが同時についた。
あやちゃんは、テレビにうつっている女の人の顔を見て、
「マンマ、マンマ」
よだれをたらしている。
喜んでいるあやちゃんは体を音楽にあわせて動かせたので、何十台ものテレビの画面(モニター)がかわった。そして、すべての画面は女の人だけを映し出した。
「わたしのかわいい赤ちゃん」
アップでうつしだされたテレビの女の人は、何十台ものテレビ画面で同じようにやさしく語りかけたので、あやちゃんはうれしくってたまらない。
リモコンから離れ画面に近づいたあやちゃんは、目をキョロキョロさせた。それと同時にリモコンがまた動いて、テレビの画面は戦闘機がごう音をとどろかせていた。
「プシュ!」
ミサイルが発射された。
「ドカーン!」
戦闘機が爆発した。
あやちゃんはびっくりして、おしゃぶりを落とし、目をつむったけれど、次にはおもしろいという顔をした。それから、すぐに手をたたこうとしたが、うまく手はかさなりあわなかった。
それから「マンマ、マンマ」と言いはじめ、テレビの下の機械類を目茶苦茶に手のひらでパンパン叩いていた。
右左に、そして天井にもテレビの画面がうつっていた。それは近くのプラネタリウムを見に行ったとき、パノラマ映画というのをやっていた。天井にも風景が映るというものであった。何十台ものテレビで一つの画面をうつしだした。それは、テレビというより一つの世界のように見えた。
石井はそんな装置が欲しいと思ったけれど、どうしてわが家がいつの間にそんなことになったのだろうと思う。
石井は眼鏡をはずして、目をこすった。こんなことが……。
その画面の中には、あの有名な地中海ぞいにならびたつ真っ白な建物に似た小さな家があった。雲の上に建つ小さな家。真っ白と空色、その二色がやたらまぶしく見える。
その家の中には、白い髪をした体つきのふっくらしたおばあさんがいた。
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A010.無農薬?
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「これは無農薬だ……。そんなことはないか。無農薬!? ううん。農家の息子に生まれたのに、こんなこともわからないんだから。俺も、桃子とかわらず、親不孝かもなあー。まあ、低農薬だから、あやちゃん、安心して飲んでくれたまえ」
あやちゃんはおいしそうにチュパチュパと新鮮なピーチのジュースを飲んでいた。
それを見た石井は、
「一生懸命つくったものが、こうやって、おいしくって、血や肉になるなんて、若いころは、農業ってのが、こんなにクリエイティブなこととは思わなかったなー」
と、ひとり言を言った。
そして、キッチンにもどると、やはり、桃子は冷凍食品を買いこんでいただけで何も作っていなかった。でも、いつものことだから、石井は気にもとめない。淡々と、食事の準備をはじめた。
チンと電子レンジが音をたてると、湯気をたてたインスタント食品のできあがり。床に置いた丸い照明器具で新聞を読みながら、ラザニャを食べはじめた。外で食べるよりは、面倒ではないと思っている。
しかし、無農薬かどうか、健康にいいかどうなんで理解できない。
まあ、そんなことに神経をとがらせても、病は気からという。そんなことで病気になってたまらないと、何か他に気をまぎらわせるものがないか思う。
石井の趣味は世界のテレビ番組を見ること。石井の部屋には、何台ものテレビが置いてある。寝ころんで見られるようにもなっている。
石井は趣味というのは、衛星テレビであった。世界中の放送をできるだけ見れるようにと努力したもので何百チャンネルもある。そして、コンピューター技師の石井は同時に何チャンネルも見られるように作った。それもきちんと契約したうえでのことである。
机の上に葉書が無造作においてあった。石井は、それを手に取った。献血センターから来た葉書であった。
葉書をはがしている。はがしたところに、献血した血液成分表が書き込まれていた。石井の数値はすべて正常値の範囲であった。
これで、献血された血は使用されているだろうと思った。問題があれば、輸血されないと聞いていた。先日献血した血が誰かの命をつなぎとめているとしたら、素敵なことだなあーと自分のしたことに感激している。
昨日、見たあと、リモコンを床に置いたままだった。あやちゃんは、はいはいして来て、リモコンの上にのった。何十台ものテレビが同時についた。
あやちゃんは、テレビにうつっている女の人の顔を見て、
「マンマ、マンマ」
よだれをたらしている。
喜んでいるあやちゃんは体を音楽にあわせて動かせたので、何十台ものテレビの画面(モニター)がかわった。そして、すべての画面は女の人だけを映し出した。
「わたしのかわいい赤ちゃん」
アップでうつしだされたテレビの女の人は、何十台ものテレビ画面で同じようにやさしく語りかけたので、あやちゃんはうれしくってたまらない。
リモコンから離れ画面に近づいたあやちゃんは、目をキョロキョロさせた。それと同時にリモコンがまた動いて、テレビの画面は戦闘機がごう音をとどろかせていた。
「プシュ!」
ミサイルが発射された。
「ドカーン!」
戦闘機が爆発した。
あやちゃんはびっくりして、おしゃぶりを落とし、目をつむったけれど、次にはおもしろいという顔をした。それから、すぐに手をたたこうとしたが、うまく手はかさなりあわなかった。
それから「マンマ、マンマ」と言いはじめ、テレビの下の機械類を目茶苦茶に手のひらでパンパン叩いていた。
右左に、そして天井にもテレビの画面がうつっていた。それは近くのプラネタリウムを見に行ったとき、パノラマ映画というのをやっていた。天井にも風景が映るというものであった。何十台ものテレビで一つの画面をうつしだした。それは、テレビというより一つの世界のように見えた。
石井はそんな装置が欲しいと思ったけれど、どうしてわが家がいつの間にそんなことになったのだろうと思う。
石井は眼鏡をはずして、目をこすった。こんなことが……。
その画面の中には、あの有名な地中海ぞいにならびたつ真っ白な建物に似た小さな家があった。雲の上に建つ小さな家。真っ白と空色、その二色がやたらまぶしく見える。
その家の中には、白い髪をした体つきのふっくらしたおばあさんがいた。
閑話休題 無農薬かどうか……。 これは実に見ただけでは理解できない。 遺伝子操作をしていない大豆を目でみても判断できないのと 同様である。 無農薬で農家の方がつくられたとしても、 隣の畑や田んぼから、風や水によって、 運ばれてきた農薬の影響を受けているという。 江戸時代のように、化学化合物の影響のない 食品を手にいれることは不可能である。 それは、雨のなかにさえ、それは含まれているからだ。 便利な生活と同時に、安全な食品を手に入れることも、 人類の智恵で可能にすることはできるだろうと思う。 しかし、現状はいいとは決していえないと思う。 こういうことでも、 インターネットは役立っている場合がある。 無農薬や有機などの商品を販売している 方たちがいる。 私もお金があれば注文したいのだが、 そんなことは現状では無理である。 お金に余裕のある方は、 このような農家の方のWebShopを利用していただきたい。 日本の農業を応援するためにも……。 ここをクリックしてくださいませ。 卵が昔より安くなったのではなく、 安い卵がつくられるようになったが正解だと思います。 昔の卵と同じものではないのですから……。 |
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