I.衛星放送?
AB011.雲の上の家
安田の部屋はまるでアストロビジョン(全天周映画)のようになっている。その画面には雲の上に小さな家があった。
その家の中にカメラは入っていく。
おばあさんは、キッチンで白いポットを持っており、ミルク・ティーを二杯いれて、おじいんさのいるところにもって来て、丸い白いテーブルに置いた。
口髭がチョコンとあり、髪の毛の一本もないおじいさんは、てれくさそうに、
「旧式と馬鹿にされるが、テレビの魔法の粉」
と言って、鏡にピンク色の粉をかけた。
食事の手をとめた石井はとっても驚いた。テレビ画面のおじいさんは、石井よりも大きく見えた。そして、おじいさんが粉をかけるとき、本当にかけられるように思い、石井は体をエビのように小さくした。
右の画面には、白い椅子に座っているおばあさんが、
「これで、おじいさんの身の上にあったことが、手をとるようにわかるのね」
うれしそうに微笑んでいた。
「そうらしいな」
おじいさんは照れ臭そうに微笑んだ。
鏡は部屋の中をうつすのをやめた。そして、すべての鏡がまっ黒になった。すぐに鏡には、たくさんの星々をうつしだした。
おじいさんと、おばあさんはそれを見て、互いに顔を見合わせて、にこにこと笑った。
小さな人工衛星が、鏡の中でだんだん大きくなってきて、ついには部屋中の画面が人工衛星になって、石井に、ぶつかってくるかのようだった。
しかし、人工衛星は、石井の頭の上を通り過ぎて行った。後には静かな宇宙が部屋全体に広がっていた。そして、太陽系ががうつり、地球がだんだん大うつしされ、すぐに画面全体は地球になっていた。
赤道付近のコバルトブルーの海がうつり、まぶしい太陽がガラス板のように目につきささるほどの輝きを見せた。
「美しい」
と石井はうなった。
太陽の熱気は水を蒸気にかえ、蒸気は大きな雲になった。雲は北上し、雨をふらせ、南の国から北へ向かいながら、大地をうるおしていくのだった。
これこそが、何万年以上も続けられている地球の美しい物語であろう。この舞台でわれわれは生きているのである。悲劇もあれば喜劇もある。そして、ホラーのようなものもあり、たまにはロマンティックな物語もどこかの街角で起こっている。
画面は次に石井が見たことがある景色が映った。
「どこかなー。うーん。ああ、そうだ、そうだ。わが母校のプールじゃないか」
↓1日1回クリックお願いいたします。
ありがとうございます。
[レインボー・ループ]もくじ
AB011.雲の上の家
安田の部屋はまるでアストロビジョン(全天周映画)のようになっている。その画面には雲の上に小さな家があった。
その家の中にカメラは入っていく。
おばあさんは、キッチンで白いポットを持っており、ミルク・ティーを二杯いれて、おじいんさのいるところにもって来て、丸い白いテーブルに置いた。
口髭がチョコンとあり、髪の毛の一本もないおじいさんは、てれくさそうに、
「旧式と馬鹿にされるが、テレビの魔法の粉」
と言って、鏡にピンク色の粉をかけた。
食事の手をとめた石井はとっても驚いた。テレビ画面のおじいさんは、石井よりも大きく見えた。そして、おじいさんが粉をかけるとき、本当にかけられるように思い、石井は体をエビのように小さくした。
右の画面には、白い椅子に座っているおばあさんが、
「これで、おじいさんの身の上にあったことが、手をとるようにわかるのね」
うれしそうに微笑んでいた。
「そうらしいな」
おじいさんは照れ臭そうに微笑んだ。
鏡は部屋の中をうつすのをやめた。そして、すべての鏡がまっ黒になった。すぐに鏡には、たくさんの星々をうつしだした。
おじいさんと、おばあさんはそれを見て、互いに顔を見合わせて、にこにこと笑った。
小さな人工衛星が、鏡の中でだんだん大きくなってきて、ついには部屋中の画面が人工衛星になって、石井に、ぶつかってくるかのようだった。
しかし、人工衛星は、石井の頭の上を通り過ぎて行った。後には静かな宇宙が部屋全体に広がっていた。そして、太陽系ががうつり、地球がだんだん大うつしされ、すぐに画面全体は地球になっていた。
赤道付近のコバルトブルーの海がうつり、まぶしい太陽がガラス板のように目につきささるほどの輝きを見せた。
「美しい」
と石井はうなった。
太陽の熱気は水を蒸気にかえ、蒸気は大きな雲になった。雲は北上し、雨をふらせ、南の国から北へ向かいながら、大地をうるおしていくのだった。
これこそが、何万年以上も続けられている地球の美しい物語であろう。この舞台でわれわれは生きているのである。悲劇もあれば喜劇もある。そして、ホラーのようなものもあり、たまにはロマンティックな物語もどこかの街角で起こっている。
画面は次に石井が見たことがある景色が映った。
「どこかなー。うーん。ああ、そうだ、そうだ。わが母校のプールじゃないか」
閑話休題 「京に田舎あり」といいます。 ぼくが府下に引っ越したとき、 まさにそれでした。 牛や豚小屋、養鶏場、 農業によって生計をたてておられた方が 多かったけど、 そのなかでも、会社員との両立をされている家も 多かったです。 いわゆる「三ちゃん農業」ですね。 農業とはそんな簡単なものでしょうか。 こんなこともできたのも、農薬があったからです。 農薬の恩恵はあります。 でも、農薬の使いすぎは健康に害があるといいます。 きちんとした農業をしようと思えばやはり 専業となり、価格も高くなっても仕方がないように 思えます。 有機野菜では、 味までちがう商品もあるとか、 レタスはかなり味がちがうそうです。 でも、僕は食べたことがありません。 レタスってこんなに美味しいもんだったのかと 本には書いてありました。 おいしいケーキ店やパン屋さんも、 有機食品を使っておられる場合があります。 本を読むと、材料も厳選されているようです。 藤村屋さんのおかあさんのは無添加で 合成保存料なしという商品を、 さらにお安していただいて、ありがたいものです。 |
↓1日1回クリックお願いいたします。
ありがとうございます。
[レインボー・ループ]もくじ