グインサーガの新刊を買いに本屋に行きました。
するとなんと、新作に並んで「漫画版グイン」の第一巻発見。
うわお。
グインサーガの漫画は、だいぶ以前にも発売された事がありましたが、以前のは外伝『七人の魔道士』をもとにしたものだったんですよね。絵は意外に悪くない物だったと記憶していますが、いかんせん話が外伝。そんなに熱くならずに私も一巻か二巻ぐらいまでしか買わなかったのでした。パラパラめくってみると、今回のは本伝の第一巻「豹頭の仮面」を漫画にしている。な、なんと無謀な。しかも絵師はあの(←ってどのアノだ)沢田一。(なつかしい) しかも今回の漫画版第一巻は原作の第一巻を3分の1も進んでいないみたいで、、、、、、 仮にこの漫画が第一部「辺境編」だけを取り上げる事としても、この漫画が完結する可能性は原作が完結する可能性よりも低いことでございましょう。(多分おそろしい神の腕を持つ栗本薫が200巻目を書き上げる方が早いと思いますが)。なんとなく漫画は第一巻だけを描くような気もしますが。のちの暴君レムス王子とセム族のスニが萌えキャラとして描かれていて、笑いました。
さーーーて、闘王読もうっと。きっと“謎の剣士”スイランの正体がそろそろ明らかになるに違いないんだ。貴重な戦闘士であるガンダルは、人材枯渇の激しい今、殺さないで欲しいと思う~~
新装版『ルーンの杖秘録』も最終巻。
って、買ったはいいけどまったく読んでいないや。
いいんだもん、私はこの表紙絵のためだけに買ったんだから。この見事な表紙絵の為に長年の私のルーンの杖秘録の脳内映像は一新されました。この作品には敵役として19世紀大英帝国を模した「暗黒帝国グランブレタン」というのが登場するのですが、彼らは色とりどりの豪華な獣を象った兜をみんなかぶっているのです。そのイメージがこの新装版のおかげでどれほど華麗に瀟洒になったとことか。そのイラストは三巻表紙にチラッとしか無いんですけどね。そして悲劇の「ロンドラ会戦」。(読んだの10年以上も前だけど)今でも思い返して涙を流せます。
そういえば、エルリックサーガの最新刊『スクレイリングの樹』もずっと前に買ってから序盤間もなくで放置しています(笑)。あれ、すんごく読みにくくてー。
前巻(近世篇)は旧版を持っていた為に買わなかったのですが、(どうも本棚を漁ってみたら私の所持していた悪人列伝は旧版第3巻だけだったみたいだ)、この近代篇をもって悪人列伝は完結。凄い事です。
というのは、著作がされてから40年も経ち、内容が素晴らしく読ませて凄いのに、類書は全く現れず(永井路子の悪霊列伝はテイストが全く別)、そして今読んでも切り口が全く斬新なことが素晴らしいのです。
今の人が悪人列伝なんて題名で書いて、天一坊とか大槻伝蔵とか高橋お伝なんて出てくるものか。
(っていうか、私も全然知らない。天一坊の稿はまだ読んでいないんですけど、海音寺潮五郎の手によってどういう風に描かれているのか。ヨーロッパじゃ、有名人のニセモノなんて星の数ほど出現しているんですけどね。偽ドミトリーとか偽ジャンヌ・ダルクとか偽ピョートル(プガチョフ)とか偽アナスタシアとか) それほどのスケールがあるかどうか。
一方で、鳥居燿蔵とか田沼意次とかは、風雲児たちを読みまくっているわたくしから見たら実にタイムリー! まだ読んでないですけど。
そういえば『クトゥルフと帝国』は『比叡山炎上』と同じ日に買ったのですが、比叡山炎上はちゃんと感想を書いたのに、帝国の方は放置したままなんですよね。(←読んでないから)
おもしろいのかな。
『邪神たちの2・26』なんていう小説もありましたっけ。(読んでないけど)
で、これ、その『クトゥルフと帝国』によるリプレイ集なんだそうですけど、つまり、帝国の中に載っているシナリオを遊んでみた記録集だったってことですかな?(いかんせん両方読んでないのでさっぱりわかりません。)
でもまー、とりあえず買っておきます。新紀元社からこのように継続的に本が出ている間は、この名作ゲームもしばらく安泰だ。、、、、ってアレ? 新紀元社が出していたクトゥルフはD20版で、D100だった『クトゥルフと帝国』ってエンターブレイン(旧アスキー)ログイン・ムックから出ていたんじゃ?(混乱)
出ました、待ってました!
音楽之友社の「作曲家○人と作品シリーズ」、ちょと長い休止期間を置きまして、第二期シリーズの刊行開始です。そのトップバッターは、嬉しい嬉しいヘンデル!
しかもなんと音楽之友社の本としては珍しい事に、このボリュームで各巻1200円という超安価。
私は中学生の頃からクラシック音楽だけを聴き込んでいる、いわゆるクラキチのおっさんなのですが(クラオタってのは30代が一番独善的でタチが悪い)、だいぶ前から「一番好きな作曲家はヘンデル」と叫んでおります。ヘンデルは凄い。その音楽は肉太で、音が虹色にまぶしく輝き、脂がしたたりおちて豪壮で戦闘的、手当たり次第にばったばったと敵をなぎ倒していく感じです。中学生の音楽教科書レベルでは、「ハレルヤコーラス」という超絶傑作旋律を大衆の前に突き出しながら、聴き込むとそんなものを遥かに凌駕する力作・傑作・美麗・豊満な音楽がひしめいているという有様。ともかく彼の作品は量が多いので、5年聴き続けてもまったく飽きません。ところがそこまで彼に傾倒する私にとってさえ、当の彼の生涯の全体像はまったく謎に満ちているという。
ヘンデルの生涯の不思議な所は、彼のおびただしい音楽からは、エネルギッシュで活動的で攻撃的で多情で能弁で天才的な作曲者の性格が窺い知れるものの、実際にはヘンデルのものとされる言葉はまったくといっていいほど伝わっていない事です。同時代人たちの証言は多数あるので彼の生涯の軌跡はあるていど窺い知れるものの、楽譜の表紙等に記された「公式な発言・宣言・文辞」は結構あるのに、プライベートについては一切が謎。恋人は結構あったみたいなのに、結局の深い所はすべて推測に頼るしかないというところなのです。彼は結婚をせず生涯を独身で過ごしたのですが、そう言った人は必ず「同性愛者だったんじゃないか」と密かに囁かれるものなのに、彼に限ってはそんな心配はありません。間違いなく彼は無類の女好き、しかも異性に対して極度の理想主義者です。なのに、彼のプライベートは一切が謎だという。ヘンデルの生涯の不思議さはモーツァルトやバッハとは対照的だし、ベートーヴェンの不滅の恋人の謎なんて遥かに凌駕しているといってもいい。なのに、ヘンデルが情熱的で、口よりも手が先に出るタイプなのに理論も整然としていて、そして生涯常にケンカばかりしていた人なのは疑う余地もない。一体どうなっていたんだこの人?
わたし、そういえば高校の時に学校の図書館にあった音楽之友社のこのシリーズの旧版のヘンデルの本の作品リストを眺めながら妄想を膨らませたんですよなぁ。しかし、その本はその後どこにも目にする事がありませんでした。だから今回のこの本の登場を待ち焦がれていたのでした。
まだ最初の部分を読んだばかりですが、彼が音楽家を目指した時点を描いた部分だけで、謎に満ちた天才の一大叙事詩を書けそうです。彼の父は床屋だったんですが、息子には楽器に触る事を禁じ(つまり幼少時から相当音楽好きだったってことだ、バッハみたいね)、でも領主のヴァイセンフェルス公爵が10歳の少年の天才に気付き、音楽の教育を命じたんだそうだ。しかしまもなく父が死去、ヘンデルは家系を助ける為に法律の大学に進学し(なぜ大学にいく?)、実務の道を歩もうとしたのですが、たまたま隣町の大学の法学科に同い年のテレマンが居て、彼と親友の契りを結んだものだから結局音楽の道を歩む事になったのだという。私が思っていた以上にヘンデルとテレマンの友情は厚かったようです。
残念ながら、この本のによるヘンデルの作品紹介はそれほど充実した物ではありません。(数が多すぎるんだよね)。ヘンデル御殿の方が百倍役に立ちます。その分、生涯部分のアウトラインがはっきり整理されて紹介されているので、とてもいいんですけどね。私の大好きなアグリッピーナが1709年にイタリアで作曲された頃、ヘンデル(24歳)はすんごい美青年だったんですってさ。ヘンデルがハンサムだったとは知らなかった。(その頃の肖像画まで付いてます。この絵は初めて見た)
ついでに買った「ドヴォルジャーク」。
ドヴォルザークも明快な音楽のイメージとは逆に、生涯の入り組んだ部分が良く分からない人なんですよね。一ヶ月ぐらい前からこのブログの「私の好きな曲」で、ドヴォルザークのピアノ三重奏曲第3番かドゥムキー(悲歌群)を取り上げようとたくらんでいて、だからこの本を買ってみたんですが、(ヘンデルと同じく)結局知りたいことはさっぱり分かりませんでした。でもいいんです、とっても貴重な題材の本ですから。きっとそのうち役に立つ事はあるでしょう。
ショスタコーヴィチも大好きな音楽家なわりには、私にとっては未だ全体像が謎の人なんですよねぇ~~。私がこの偉大な人を好きになって久しく、すでに重要作品はほぼ全て押さえていると自負している私ですが、逆にこの人の場合は「代表作ではない作品」「隠れた注目作」が多すぎる。どうなってるんだこの人。
・・・・という、私のような30代おっさんの疑問を氷解させるべく登場したのがこの本なのでした。工藤庸介、工藤庸介、、、どこかで聞いた事ある名前だなぁ、と思ったら、、、、 ネット上でショス蛸研究では有名なこのお方じゃないですか。ネットを始めた当初にこの方の文章をむさぼるように読んだ記憶があります。すごいですよね、この方の分析は。これからはネットの上で蓄積されたこのような情報の塊が、どんどんと出版されて手元に置かれる時代になっていくんでしょう。(だいぶ前からそうですけど)
やっぱりまだまだ知らない作品が数多くある事を思い知らされました。
丁度私が大学生だった頃、ショス蛸の「知られざる」作品が数多く発掘され、CD化されて買い漁ったことを記憶していますが、あの輝ける時代は今いずこ。
「反形式主義的ラヨーク」とか「革命詩人の歌」とか「ミケランジェロの歌」とか、テレビやレンタル屋でちらっとだけ見た事があるんですけどねぇ。
時代はすでに革命的世界とは逆の、資本主義が爛れた方向に進んでいる。
「のだめカンタービレ」のヒットとかでクラシック音楽が密かなブームだとか言われますが、それでCD屋にショスタコーヴィチやストラヴィンスキィやプロコフィエフが並ぶなんて有り得ませんですもんね。(ドラマではのだめがペトルーシュカとかロミオとジュリエットとか弾いたのだぞ)。ほんと腐った社会だ日本は。
カイアシ、、、、、 本屋で一目惚れして買ってしまった本です。
いわゆる「プランクトン」と呼ばれる海の中の生物たちですが、わたしこれたち、ただ単にエビやカニの幼生だと思っていましたよ。これはこれで独立した生物なのだそうです。
といっても普通の人はカイアシなんてどんな生物だなんてイメージ出来ないでしょうが、分かりやすく言うと「シラス干しを食べるとき、ちっちゃなシラスのお腹の中に入っているピンク色のちっちゃな生物」、それがカイアシなんだそうです。子供の頃シラスごはんを食べていて、ちっちゃエビやタコが入っていると嬉しかった物ですが、エビタコ以外の嬉しくないちっちゃな奴がカイアシなんだそうです。
見た目は、学研の附録によく付いていたシーモンキーに似てる。
でね、この本によるとそのカイアシの進化の作戦手段が「水平進化」なんだそうです。
言葉で言うと難しいですが、要は「種の種類を爆発的に増やす事で多種の環境に適応する」ことを目指す事で、昆虫や恐竜たちがとった方法。人間とは真逆の追求方法なのです。私は「カンブリア大爆発」という言葉とその時代が大好きなのでした。
私はこんなハンドルネームを名乗っていますし、多分先祖は物部氏なので(←無根拠な確信)、古代史の無二の英雄・物部麁鹿火に関心が募ることしきりなしなのでこんな本も買ってしまったのですが、姉妹編として『藤原氏の正体』、『蘇我氏の正体』という本も著者はものしてるんですって。
ただ、まだ読んでないですけど物部氏の神話的特異性(にぎはやひ神話)と滅亡点に多くのページが割かれている感じで、私の知りたい古代英雄時代の物部氏について記述はあんまりない感じです。
そもそもが資料は日本書紀と古事記とほんのいくたりかの本しか彼らについてのものは無いわけで、今後新史料が発見されるような望みもないのでしょうから、今ある材料だけでわたくしたちは夢想を羽ばたかせていかなければならないのでしょうね。
わぉ。
この本は本屋で一目惚れ。学研さん、なんとまたマニアの琴線をくすぐる本を。
この本は凄いです。ずらっと並べられた甲冑の写真に惚れ惚れとします。
「大名家の甲冑」とされているからには、題材は江戸時代の大名家じゃないですか。
戦国時代の有名武将たちの甲冑で高名な物は数々ありますが、残っているのは江戸時代に雄藩となった一握りの大名家たちのものばかりじゃないですか。大藩だからこそ戦国期の先祖の甲冑が残っているわけで、その子孫たちは「たしなみ」として先祖の無双の甲冑を模した自分の装束をこしらえ、それを大名家ごとにずらっと並べて見せたのがこの本なのです。江戸時代は泰平の時代だからこそ、遥か彼方の輝ける時代の自分たちの祖を夢想してデザインされた甲冑たちのまばゆいこと! 見事の語に尽きます。
源平期の甲冑を「大鎧」といい、戦国時代にはそれが現実的に動きやすくかつ華美な「当世具足」に変わっていったわけですが、江戸時代にはその両者が融合されたヘンテコな造形になったているのが面白い。
個人的に気になるのは、私が最も愛する九州の戦国武将・立花宗茂とその子孫達の具足です。宗茂は波瀾万丈の人生を送った武将でしたが、その子孫は堅実かつ優秀に領土経営をおこない、その末裔が現在でも世界一立派な資料館を保持していますので遺物が豊富なんですよね。
立花宗茂と言えば、あたまの上に乗っている変なわっか。
この本によれば、同じ造形で別の名称の甲冑が二揃い存在しているそうなのです。柳川の資料館にはこの二種類が並んで飾られているそうなので、知っていたら九州に住んでいる頃に是非眺めに行きたかったなぁ~~。
左が「鉄皺皮包月輪文最上胴具足」、右が「伊予札縫延栗色皮包仏丸胴具足」。
なんと、見た目が同じなのに名前が全然違うんですね。(似てるから別の名前で区別したとも言えますが)。左の「月輪」といのには兜のことではなく、胸に描かれたまんまるのことなので、これは単に胸鎧の部分だけを呼称した呼び名なんですよね。
ところが兜は左が「黒漆刷毛目塗五枚張頭型」、右が「日根野頭形に近い五枚張頭形鉢」で、一番目立つまんまるの「立物」が両者とも共通して「大輪貫」と「鳥毛」なんだそうです。もう、なにがなにだか。
で、この本にはその後の柳川歴代当主の甲冑が陳列されているのですが、2代目だけは父の宗茂の物を忠実に模している物の(泣ける!)その後は独創的な無秩序状態です。すごい。
一方で、福岡の黒田家は(儀式的には)一貫して先祖代々2代目の黒田長政の甲冑を踏襲している。・・・・黒田長政の兜って、関ヶ原物の大河ドラマでは一番目立つ(=この人おかしいじゃないかと思う)すっごく重そうなまないた兜ですよ。ステキ。