中国迷爺爺の日記

中国好き独居老人の折々の思い

盗作

2010-04-24 10:38:15 | 中国のこと
 北京オリンピックに次いで中国の国家的行事とされる上海万博が間もなく開会となる。上海の友人からは来ないのかと言われたが、私は人混みが苦手だし、万博というイベントには興味がない。

 その上海万博を控えて賑々しくPRのイベントなどが行われ、公募で採用されたPRソングも作られて上海の街を賑わせていたようだ。ところがそのPRソングが盗作ではないかという疑惑が中国のネットで指摘された。日本のシンガー・ソングライターの岡本真夜さんが1997年に発表した曲と酷似していると言うのだ。ネットでは万博ソングのイメージビデオと岡本さんが自作の歌を歌う映像を並べたサイトも登場し、掲示板には「99%同じで、間違いなく盗作だ。恥ずかしい」とか「これではメンツが台無しだ」といった書き込みがあるらしい。

 万博事務局はPRソングの使用を暫定的に禁止し、事実関係の調査に乗り出したが、結局、岡本さんの曲を公式PRソングとして使わせてほしいと依頼し、岡本さん側の承諾を得た。まことに愚かしい話だが、盗作、贋作王国と言われる中国らしいという冷笑もあるようだ。「自作の」曲が採用された作曲家は中国メディアの取材に「部屋を歩き回り、足でリズムを取りながらインスピレーションを得た」と「作曲」の経緯を語っていたそうだが、白々しいと言う他はない。その後も自分の曲と岡本さんの曲とはまったく違うと言っているらしい。10年以上も前の曲だから盗んでも分かるまいと考えたのか、盗むこと自体に何のためらいもなかったのか、いずれにしても盗作するということについての感覚が麻痺しているが、ネットには「中国では盗作は珍しいことではない」という、擁護しているのか分からないような書き込みもあったそうだ。

 万博事務局も迂闊だったと思う。世界的なイベントに関することだからもう少し慎重であるべきだっただろう。自分達の国では盗作が横行していることくらいは認識しているだろうから、採用に当たっては十分に検討をすべきだったし、事が判明してから原作者に公式ソングに「あの曲を使わせてほしい」などと申し出てくるのは恥ずかしいなどとは思っていないのではないかと思ってしまう。私がとっている新聞のコラム欄にはこのことを取り上げて、「『盗作に抗議』『認めて謝罪』という手順をすっ飛ばした、お手軽にして珍妙な落着だ」と揶揄している。開会までに残された日数は僅かという時にとんだ恥を晒したものだが、もしネットでの指摘がなかったらどうするつもりだったのか。そのまま問題の曲を公式PRソングとして使い続けたらもっと大きな問題になっただろう。

 とにかく中国は知的財産権に関してはあまりにも後進的だ。世界的な動向がどうなっているかが国家の上層部でも十分に認識し、自国の状況に危機感を持っているのだろうか。「中国では盗作は珍しいことではない」などと言っていては、いつまでたっても文化的には世界の大国とはみなされないだろう。中国は犯罪に対する姿勢は厳しいが、知的財産権の侵害は悪質な犯罪であることをもっと国民に周知させるべきで、取り締まりも強化するべきだ。しかし国中にコピー商品があふれ返っている現状では、改善されることは当分期待できないのではないか。それではこの問題では、いつまでも世界からは困り者の三流国と扱われるだろう。

http://blog.goo.ne.jp/ryoyokota200608/s/%A5%B3%A5%D4%A1%BC%C0%BD%C9%CA

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