黒沢永紀オフィシャルブログ(旧・廃墟徒然草)

産業遺産と建築、廃墟、時空旅行、都市のほころびや不思議な景観、ノスタルジックな街角など、歴史的“感考”地を読み解く

三池炭鉱 #11:有明坑

2014-02-03 01:50:31 | ・三池炭鉱
シリーズでアップしている三池炭鉱。
これまで国や県などから文化財として指定され、
ちゃんと保存されている遺構をアップして来ましたが、
これからは惜しくも解体されてしまった遺構を少しアップします。

まず最初は「有明坑」です。
このシリーズをアップする切っ掛けは、一昨年の夏、
有明坑竪坑櫓の最後の姿を見学に行ったことに端を発します。

三池炭鉱

江戸時代から数多坑道を開削して来た三池炭鉱にとって、
有明坑はほぼ最後に稼働した坑道でもあります。
もともと日鉄が開発していたものの、
技術力が追いつかずに断念したものを三池が買収した坑道でした。
三池はその技術力でなんなく着炭し、
昭和51年(1976)に創業を開始します。

その後四ツ山坑、三川坑(共に後日の記事で触れます)とともに、
三池の終盤期をささえる主力坑道となり、
昭和64年(1989)からは、それらを統合した三池坑の、
メインの坑道として閉山まで稼働しました。





三池炭鉱

三池炭鉱の閉山後、
有明坑は周辺施設とともに残存していましたが、
やがて様々な施設は解体され、
最後まで残っていたシンボルである2つの竪坑櫓も、
一昨年の夏に解体されてしまいました。

この画像はその解体直前の見学会の時に撮影したものです。
大牟田・荒尾炭鉱のまちファンクラブが主催の見学会に参加させて頂き、
初めて有明坑を実際に見たわけですが、
それは解体直前の姿でもあったわけです。





三池炭鉱

第一竪坑の櫓は俗に合唱型とも呼ばれる、
シンメトリーな形をした櫓で、
その形は世界遺産にも登録されている、
炭鉱の竪坑櫓としてはおそらく世界で一番知名度の高い、
ドイツのツォルファアイン炭鉱の第12竪坑にも似た形をしています。





ツォルファアイン炭鉱第12竪坑櫓

ツォルファアイン炭鉱の第12竪坑櫓





三池炭鉱

またすらりとした外観の第二竪坑の櫓は、
長崎県の池島炭鉱に現存する、
第二竪坑櫓ににた形をしたもので、
第一と第二、ともに三池炭鉱の最後の炭鉱技術を伝える、
貴重な遺産でした。





池島炭鉱

池島炭鉱の第二竪坑櫓。





三池炭鉱

有明坑竪坑櫓の保存活動は、
解体の話が持ち上がってから始まったものでした。
しかし、それはあまりにも遅すぎた行動でもありました。
結局保存活動は実ることなく、
2つの巨大な櫓はあっけなく解体されてしまいました。



【有明坑跡】

みやま市高田町昭和開
地図はかつて有明坑があった場所。
有明坑は全ての施設が解体され、
さらにその敷地は企業の私有地となっています。

三池炭鉱

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