あのひとの事を思い出すと、今でも残念でならない。
かわいらしい顔に不釣合いな長身とやや低いハスキーな声。
サバサバとした明るい性格。
最初は性差を感じない友人のような感覚だったが、
何度か会う内にお互い特別な感情が生まれ、
彼女が僕の部屋に来る事になった。
ビールを飲みながら部屋でDVDを見てたら、彼女が言う。
「ねえ。ちょっとトイレ貸してくれない?」
「ああ。その突き当りを曲がって右だよ」
が、暫くすると、悲鳴が聞こえてきた。
「キャ!」
「どうした?」
「ゴ、ゴキブリがいたの」
「どこに? トイレにか?」
「ええ。便座を上げたら裏側に……」
しかし、そこは彼女。
勇敢にもトイレットペーパーでゴキを叩き落し、そのまま流してしまった、という。
「それにしても、さあ」
いくらビックリしたとはいえ、いざとなるとあんな悲鳴をあげるとは……
普段の彼女の様子からは想像できなかった。
「やっぱり女の子だな」
「え? なにそれ?」
「いや……なんでもないよ。ハハ」
僕が笑うと、彼女も照れたように笑った。
「テヘへ」
そうだ。あの時、気が付くべきだった。
僕達は互い「別の意味」で笑い合っていた事を。
<終>
かわいらしい顔に不釣合いな長身とやや低いハスキーな声。
サバサバとした明るい性格。
最初は性差を感じない友人のような感覚だったが、
何度か会う内にお互い特別な感情が生まれ、
彼女が僕の部屋に来る事になった。
ビールを飲みながら部屋でDVDを見てたら、彼女が言う。
「ねえ。ちょっとトイレ貸してくれない?」
「ああ。その突き当りを曲がって右だよ」
が、暫くすると、悲鳴が聞こえてきた。
「キャ!」
「どうした?」
「ゴ、ゴキブリがいたの」
「どこに? トイレにか?」
「ええ。便座を上げたら裏側に……」
しかし、そこは彼女。
勇敢にもトイレットペーパーでゴキを叩き落し、そのまま流してしまった、という。
「それにしても、さあ」
いくらビックリしたとはいえ、いざとなるとあんな悲鳴をあげるとは……
普段の彼女の様子からは想像できなかった。
「やっぱり女の子だな」
「え? なにそれ?」
「いや……なんでもないよ。ハハ」
僕が笑うと、彼女も照れたように笑った。
「テヘへ」
そうだ。あの時、気が付くべきだった。
僕達は互い「別の意味」で笑い合っていた事を。
<終>
を最後の一行にすれば良かったかなあ。
これで一安心……いや、無事付いたと安心しました。
この途中オチ、男性の多くは”意味不明”だったみたい。