ほぼ日刊、土と炎、猫と煙突

白く燃え尽きた灰の奥深く、ダイアモンドは横たわる。

どっかで読んだ小噺

2009年01月18日 23時30分01秒 | フィクション
あのひとの事を思い出すと、今でも残念でならない。
かわいらしい顔に不釣合いな長身とやや低いハスキーな声。
サバサバとした明るい性格。
最初は性差を感じない友人のような感覚だったが、
何度か会う内にお互い特別な感情が生まれ、
彼女が僕の部屋に来る事になった。

ビールを飲みながら部屋でDVDを見てたら、彼女が言う。
「ねえ。ちょっとトイレ貸してくれない?」
「ああ。その突き当りを曲がって右だよ」
が、暫くすると、悲鳴が聞こえてきた。
「キャ!」
「どうした?」
「ゴ、ゴキブリがいたの」
「どこに? トイレにか?」
「ええ。便座を上げたら裏側に……」
しかし、そこは彼女。
勇敢にもトイレットペーパーでゴキを叩き落し、そのまま流してしまった、という。
「それにしても、さあ」
いくらビックリしたとはいえ、いざとなるとあんな悲鳴をあげるとは……
普段の彼女の様子からは想像できなかった。
「やっぱり女の子だな」
「え? なにそれ?」
「いや……なんでもないよ。ハハ」
僕が笑うと、彼女も照れたように笑った。
「テヘへ」

そうだ。あの時、気が付くべきだった。

僕達は互い「別の意味」で笑い合っていた事を。

<終>

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4 コメント

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次のが (mototot)
2009-01-18 23:57:12
面白かったら ↓ 許したろ、と思っていたんが、オチわかっちゃったもんね~~~!!!!
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時差ぼけで (LE)
2009-01-19 20:10:21
夜中によんだときは、最初全然意味わからなんだ。オチが先読みできたなんてすご~い。出だし、motoちゃんのこと、ロバは影で憧れてるのかと思いながら読んでたが。。。オチがこれじゃあな、そう思った事すら失礼でありますな。失礼。
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motototさん (ロバ耳野郎)
2009-01-19 20:55:10
「ええ。便座を上げたら裏側に……」
を最後の一行にすれば良かったかなあ。
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LEさん (ロバ耳野郎)
2009-01-19 21:01:43
え? もう、ロンドン着?
これで一安心……いや、無事付いたと安心しました。

この途中オチ、男性の多くは”意味不明”だったみたい。

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