ほぼ日刊、土と炎、猫と煙突

白く燃え尽きた灰の奥深く、ダイアモンドは横たわる。

P-D2の壁

2005年03月27日 21時10分57秒 | 古い日記
「コンパネ」という物をご存知だろうか?

建築業界では、コンクリートパネル(コントロールパネルじゃないよ)
を通称、「コンパネ」と呼んでいる。

これ(コンクリートパネル)は、コンクリートを流し込む「型」として使う板切れで、
通常は使い捨て、簡単に言えば「一番安い広葉樹の合板」である。

よって、正しくは「コンクリートの型に使うパネル=コンパネ」
であるが、「安物の木製板の合板」を「コンパネ」と呼ぶ人もいる。

(ちなみに、熱帯ジャングルの森林伐採の一因となっているのも、このコンパネだ)

まあ、そんな予備知識を持ってから、読んで頂きたい。

ある日の事...
「コンクリートの硬化不良が起きた」
という連絡を受けて、某生コンの営業部員は、現場に直行した。

が、そこで彼は、今まで経験した事が無い様相を目にする。
状況は以下の如しだ。

1:全体では無く、部分的に硬化不良を起こしている。
2:硬化不良を起こした場所は、手で触るだけで、コンクリートが剥がれる。

一番、気になるのが「硬化不良を起こしている部分」が
90×180cmに収まっている事で、これは
一般的に流通している「コンパネ」や合板の大きさにほぼ等しい。

彼は、先輩に聞いたり、色々な文献を調べて一つの結論に達した。

工事をした施工業者の所に行き、問い詰めた。

「コンパネには何を使いましたか?針葉樹の可能性はありませんか?」
業者の顔色が変わった。
「そう言えば、赤松のような...」
すかさず畳み込んだ。
「JAS規格のコンパネを使ってない場所がありますね?」
結局、施工業者はそれを認めた。

木材は、コンクリートの型にも使われるが、樹木の種類や伐採した季節に
よっては、材の内部に糖分が含まれている事があり、それが
「硬化不良」を起こす原因となる場合がある。

よって、コンパネに似た「板切れ」で代用すると、
コンクリートを使った現場では、思わぬ事故を招く。(可能性がある)

その辺を良くわきまえていなかった施工業者が、
JAS規格でない”コンパネ”を使用したのが「硬化不良の原因」
と言う結論で、事件は幕を下ろした。

まあ、非常に稀なケースらしいが...

実際、こんな風に「解決する」のも稀で、
たいていは生コン業者、施工業者でお互い譲らず「責任の擦り合い」
に発展する場合が多いらしい。

そういう意味では「二重に稀」だった、と言えよう。

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