直立猿人

ライト兄弟の飛行機が空を飛び、
「亀の子タワシ」が日本で生まれた頃、
（１９００～１９１０頃だよ。大体）
イギリスでは、ピルトダウン人の化石が発見され、
「イギリスこそ、人類発祥の地！」と、
話題を集めていた。（ただし、イギリス人だけな）

が、これは、オラウータンの顎に、イギリス人の頭蓋骨を
くっ付けたようなシロモノなので、すぐに嘘がバレた。

いや、すぐと言っても．．．
当時は骨の年代を科学的に分析する方法が無く、
「頭だけ、現代人と同じで、牙がある、なんて、
　他の発見された原人に比べて、ヘン過ぎるよ？」
という推論からなので、５０年もの歳月がかかった。

さて、昨日からの続きっぽく、続く。

コロコロと話が変わる俺が、
何故、「俺が猿人や原人に執着するか？」と言うと、
幼い事の原体験にある。

その一つが、
家に来ていた某キリスト教系の宗教の「アンちゃん」に、
色々と洗脳された事だ。

（アンちゃんとは、赤毛の少女じゃなくて、若い男の人、という意味）
　別に話には関係ないけど、一応）

俺の両親は、「どのような思想を受け入れるか？は子供の自由」
と思っていたのか、そういう人達の話を聞くのは止めなかった。
（聞く、というより、無理やり聞かされたんだけど）

彼（アンちゃん）は高校生くらいで、穏やかな顔をしていた。
言っていたのは、こんな感じの事。
キリスト教の基本的な話だ。

「神様は最初の人間、イエスキリストを作った。それから、アダムとイブを作り、
　地球に住まわせたが、世の中がおかしくなったので、キリストを地球に送った。」
（今、考えると、カソリックやプロテスタントからすれば、異端な教えだ）

その説明を聞いた俺は、
「最初の人間？．．．すると、キリストは、猿人だったのでしょうか？」
と核心を突いた質問をした。

アンちゃんは、こう答えた。
「進化論はデタラメです。所謂、原始人は、今の我々とかわらない姿です。
　人間は誕生した頃から、ほとんど姿を変えていないんです。」

俺はさらに聞く。
「じゃあ、本に描いてある猿人とか原人の姿は『デタラメ』なんですか？」

アンちゃんは答える。
「そうです。あれは、現代人の『勝手な思い込み』です。
　信じちゃダメです。絵に描くのもいけません。」
（描かねーよ。別に）

また聞く。
「本当のキリスト様は、良く絵や彫刻で見る、キリスト像に似てるのでしょうか？」

また答える。
「キリストの像は、後世の人達が『勝手に想像した』に過ぎません。
　信じちゃダメです。祭るのもいけません。」
（まつらねーよ。別に）

その後、成長した俺は、
「一番デタラメなのはアンタが教えたキリスト教の教義だよ」と思った事もあった。

でも、「キリスト像」や「進化論」についてはアンちゃんの言った事の方が、
当たっていたような気がする。

要するに人間「信じたいものを信じる」しか無いもんな。