性能とデザイン いい家大研究

こちら 住まいの雑誌・Replan編集長三木奎吾です 
いい家ってなんだろう、を考え続けます

【教会をアートに改装〜リノベが作る不思議空間】

2017年07月13日 07時39分17秒 | Weblog



先週日曜日に訪れた札幌近郊・由仁町のショップです。
ベヌー・ギャラリーアンドカフェ (BENNU Gallery&Cafe) というお店。
BENNU 由仁町三川722番地 0123-87-3929
イギリス人陶芸家:ケイト・ポムフレットさんという方がやっているお店だそうです。
芸術センスのある方で、3枚目の写真は建物敷地の中で
ウエルカムで来客を歓ばせるために置かれたオブジェ。
根曲がりの木を見つけてきて、それに足をつけたり、
彩色したりして、ありえない造形を作っていた。
カラダ部分を見たらなんとなくイヌのようだけれど、
アタマや顔の部分を見るとニワトリのようでもある、面白いアイドルペット的造形。
で、この造形表現からは、あるものを活かしてそれに手を加えて
まったく違う表現物とするというコンセプトが伝わってくる。
で、この建物の由来をお店の人に聞いてみたのですが、
ご主人の陶芸家:ケイト・ポムフレットさんは不在で、
頼まれてお店を切り盛りしている方の断片的な発言を整理すると、
この建物は地元にオーナーのいる借り上げ物件。
もとの建築用途は「教会建築」であったということ。
それを陶芸家:ケイト・ポムフレットさんが「自由に改装してもいい」という条件で
借り上げ、店舗内装、外装を自由にリノベーションした建物ということ。
カフェ機能もあり、また作品展示販売機能も持っている。

たまたま、東京大学出版会から発売予定の
「もがく建築家、理論を考える」という本の販促、拡散方法を聞かれ
その本を読んでいる最中で、
リフォーム・リノベーションについての妹島和世さんの発言を読んでいたところ。
妹島和世さんは犬島という瀬戸内海の小島で
「島全体が美術館」というようなコンセプトでのプロジェクトが進展中とのこと。
そのなかで、島全体の古家も街並みも、道路空間も
全部を含めての再生利用というか、アート化プロジェクトのように捉えられていた。
発想の中に、街全体、島全体としての「環境」再構築という部分を感じる。
その全体デザインのなかから、個別の住宅への用途視線があり、
それらが協調しあって、人間環境を構築するという視点があった。
ひるがえって、現代の戸建て住宅群が構成する住宅街というものが、
未来へ引き継がれていくと考えたとき、リフォーム・リノベーションという
営為の意味合いは、きわめて大きいと再認識させられますね。
現代の戸建て住宅ははたして永続可能なのかという大問題もあるし、
人間は家に直接は住んでいるけれど、同時に「街やムラ」に住んでいる。
そういう意味での「環境」をも考えるのが、現代、求められている気もする。
リフォーム・リノベーションは両方の視線が必要なのでしょう。

そんな視線から、イギリス人陶芸家:ケイト・ポムフレットさんの
建築用途の変更、そのためのデザイン再構成を見させていただいていた。
建築的に見れば、温熱的に見ればどうなのよ、という点はある。
けれど、アーティストとしての建物への愛情は感じさせられる。
現代居住環境サスティナビリティの具体的取り組みがリフォーム・リノベーション。
ということで、北海道由仁と瀬戸内・犬島のふたつから考えてみた次第。

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