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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

TPP協定案文書の開示閲覧方針は撤回 TPPの守秘義務は憲法の国勢調査権・知る権利の侵害で違憲だ

2015年05月09日 | TPP参加反対

 

TPP秘密交渉の正体 (竹書房新書) 山田正彦 竹書房

秘密交渉であるTPPは法律的な観点から見ても問題点が多く、各国で反対運動が起きている。基本的人権、生存権、知る権利など、国民の権利を侵害する恐れが大きく、多国籍企業の利益を損なう法律や規制をした国や自治体に対して訴訟をするISD条項によって国の主権が失われるかもしれない。

民主党政権の元農相でTPPに反対し続けている山田正彦氏の渾身の書。

TPP参加表明を花道に玉砕解散する野田佳彦首相はアメリカ・財界・官僚盲従の戦後最悪の総理の一人だった

 

 

 内閣府の西村康稔副大臣は、2015年5月4日、訪問先のワシントンで開いた記者会見で、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)を巡り

「来週以降、テキストへのアクセスを国会議員に認める方向で少し調整をしたい」

と述べ、交渉内容を記した文書を国会議員が閲覧することを認める方向で、調整する意向を示していました。

 ところが、西村副大臣は3日後の7日になって、メキシコからの帰路に経由地のロサンゼルスで改めて記者会見を開き

「真意がしっかり伝わっていなかった。今の時点で何も決まっているわけではないし方向性も決まっていない」

と述べ、ワシントンの記者会見での発言を撤回する考えを示しました。

 さらに、アメリカの通商代表部が交渉内容を記した文書の閲覧を議員に認めていることについては

「米国には守秘義務があり(情報を)漏らせば訴追される。日米では制度上の違いがあり、同一の対応は難しい」

「引き続き情報提供の在り方については、どのような工夫ができるのかさらに検討をしていきたい」

と述べました。

 言ってることが180度変わってしまったのです。

 これを受けてTPP交渉を担当する甘利明TPP担当相も5月8日の会見で、4日の西村内閣府副大臣の発言を早否定し

「野党に懇切丁寧に答えたいという思いから言葉が走り、誤解を与える表現になった」

と説明しています。

 米通商代表部(USTR)は議員に協定案の閲覧を認めているので、西村副大臣は

「国会でも色々な形で求められている。できるだけ早くしたい」

と述べていたわけですが、甘利大臣は

「日米で同じことをしようとしても、憲法上の仕組みが全く違い、不可能だ」

とにべもありません。

 西村副大臣に圧力がかかったのは明らかです。

2013年3月15日 TPP交渉参加表明 安倍晋三首相は民主党にも劣るアメリカのポチだった

繁栄か衰退か 岐路に立つ日本 プレジデント社

あとで見るように、今回はかなり虎の尾を踏んだので、もう任せてもらえないかもしれない。

 

 

 

 甘利氏が憲法上の仕組みと言ったのは、たぶん、日本国憲法の免責特権のことだと思われます。日本では国会議員の活動を最大限保障するために、議院で行った演説・討論・表決について、院外で責任を問われないという特権が保障されているのです(憲法51条)。

日本国憲法第51条 両議院の議員は、議院で行つた演説、討論又は表決について、院外で責任を問はれない。

 つまり、TPPの中身を閲覧した国会議員が、甘利大臣への質問の時に

「大臣!TPP協定書にはこう書いてありますよね!」

と質問しても、その発言をたとえば特定秘密保護法で罰することは不可能なのです。

 
平成26年12月施行の特定秘密保護法で秘密を漏らした議員に罰則を科されるが、事前に特定秘密に指定されていなければ議員が本会議などで漏らしても免責となる。これを念頭に菅義偉官房長官も「日米では議員の守秘義務など制度が大きく違う。米国と同一の対応は困難だ」と説明した。
 
と書いてますが、これは完全に間違いです。
 
 国民の代表機関である国会を構成する国会議員に、議会での最大限の言論の自由を認めようというのが、この免責特権です。ですから、驚かれるかもしれませんが、国会議員がその議会内での表現であれば、名誉毀損やプライバシー違反を犯しても、名誉毀損罪のような刑事上の罰はもちろん、民事上の損害賠償義務を負うこともないし、弁護士会での懲戒処分のような法的制裁を受けることもないのです。
 
 たとえば、もし検察が刑事訴追してしまったら、裁判所は免責特権の対象となる発言であると認めるときは公訴を棄却の決定を出さなければなりません(刑事訴訟法第339条1項2号)。
 
 ただし!
 
 これはあくまでも議会での正当な表現活動を保護するものであって、野次や私語には適用されませんからね。
 
 その点、安倍総理、ご注意ください!
 
もし名誉毀損罪で告訴されていたら、免責は認められなかった。それにしても悪い顔してるなあ(呆)。
 
 
 
 
 
 
 特定秘密保護法で規定される刑罰規定も全く同じで、事前に特定秘密になっていようがいまいが、院内の言論について「院外の責任」は問えないのです。
 
 アホか、産経新聞。
 
 だからこそ、安倍政権はごく一部の閣僚と関係者以外には、完全にTPPの中身を秘密にすると確認したわけです。
 
 ですから、逆に言うと、特定秘密保護法は、政府や官僚に都合の悪い情報は秘密指定して国会議員に知られないように、国民の代表である国会議員にも見せないためにもあるわけです。
 
 つまり、特定秘密保護法は衆議院・参議院両院の権能である国政調査権を事実上狭めてしまう法律なのです。
 
日本国憲法第62条 両議院は、各々国政に関する調査を行い、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる。

 この国政調査権は、立法権を有し内閣総理大臣を選任でき、内閣不信任案を可決でき(衆議院)、国政一般を監督する「国権の最高機関」である両議院に与えられた非常に重要な権能です。
 
 それは、以上のように国民代表機関として国民の人権を保障するために大きな役割を果たす議会が、国政全般の情報を十分に得て、立法を行い内閣をチェックするための権限なのです。
 
 ところが、この議会にとって最重要な国政調査権を狭くするという意味で言うと、TPP協定は凄まじい規定を持っていることをご存知でしょうか。
 
 
 日本の参加が現実的になってきたTPP(環太平洋経済連携協定)。多国籍企業の利潤確保を最優先するアメリカン・スタンダードが生活のすみずみにまで持ち込まれたとき、私たちの暮らしはどうなるのか。農業、医療、食の安全など、TPP参加による生活への影響を、第一線の研究者とジャーナリストが検証する。
 
 
 
 
 
 実はTPP交渉では、横やりが入らないよう関係者以外への情報漏れを防ぐ厳しいルールがあります。
 
 2013年3月11日の衆議院予算委員会で、かつてはTPP交渉開始を目論んでいた民主党の前原誠司議員が安倍首相に対して、TPPについて質問した際、安倍首相は前原議員に逆に
 
「皆さんには守秘義務がかかっているはず」
 
と牽制し、交渉の中身について具体的なことは言うなと恫喝しています。これに対して、前原議員は、
 
「本当に国益にかなうか、見切り発車をしないために言った」
 
と反論しているほどです。
 
 TPPの秘密保持義務契約による守秘義務の壁で国政調査権が事実上行使できないのです。
 
 しかも、交渉中ばかりか、交渉が妥結し参加国の国内手続きを経て協定が発効した後も、4年間は交渉過程や内容を記したTPPの内部文書を公開できないのです。
 
 凄くないですか?
 
 TPPがまとまってしまって発効し、日本を拘束することになっても、その中身は日本の人にわからないんですよ。なにがなんだかわからないままTPPに拘束されるんです。
 
 これじゃあ、検証も批判も抵抗も何もできないじゃないですか。こんな異常な国際協定、あり得ません。
 
 しかも、交渉がまとまらずに協定が発効しない場合でも、最後の交渉会合から4年間は非公表とされています。まさに、各国政府逃げ切り規定です。
 
 もうTPPの日米交渉が大詰めを迎えているという現在でも、TPPルールで、日本では安倍晋三首相や甘利TPP担当相、鶴岡公二首席交渉官ら一部の閣僚と官僚しか見ることができていないのです。
 
 中身もわからないのに賛成している政党やマスメディアって何を考えているのでしょう。
綿密な取材と膨大な一次資料を使い、1%側がしかけるマネーゲームのからくりを解き明かし、日本の最大の宝である「国民皆保険」を死守すべく、未来への提言も盛り込んだ警告の書。最新刊。
 
 
 
 
 国政調査権は議会の権能であると当時に、国民の知る権利を保障するものでもあります。TPPは国民の生活に深刻な影響を与える国際協定なのに、国民の憲法上の知る権利は侵害されたままなのです。
 
 また、TPPにはISDS条項=「Investor(投資家) State(国家)  Dispute(紛争) Settlement(解決)」=「国家と投資家の間の紛争解決手続き」とは、ある国家が自国の公共の利益のために制定した政策によって、海外の投資家が不利益を被った場合には、世界銀行傘下の「国際投資紛争解決センター」という第三者機関に訴えることができる制度が盛り込まれます。

 これは日本から裁判権を奪うもので、国家主権を制限するものであって、完全な憲法違反です。
 
 TPPは国民皆保険制度を破壊して生存権を脅かしますし、食料自給率だけでなく食の安全も奪い、われわれの生命を脅かします。

 このようにTPPは日本国憲法に違反する内容がてんこ盛りなので、民主党の元農相だった山田正彦氏らはTPP交渉差止違憲訴訟の会を作って大規模な憲法訴訟を準備しているくらいです。
 
 こんなTPPとそれを推進する安倍内閣は絶対に阻止しないといけません。

 

 

民主党時代には疑っていたんですが、山田さんは本気で反対しているんですね。

しかし、この大詰めに来て、TPPへの関心が薄すぎます。

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TPP文書閲覧撤回 野党側 国会で追及へ

5月9日 4時10分 NHK

TPP文書閲覧撤回 野党側 国会で追及へ
 
内閣府の西村副大臣が、TPP=環太平洋パートナーシップ協定の交渉内容を記した文書を国会議員が閲覧するのを認める方向で調整したいとする発言を撤回したことについて、野党側からは西村氏や政府の対応を批判する声が相次いでいて、国会審議で追及する構えです。
内閣府の西村副大臣は、7日、ロサンゼルスで記者会見し、TPPの交渉内容を記した文書を国会議員が閲覧するのを認める方向で調整したいとするみずからの発言を撤回する考えを示しました。
これに関連して、甘利経済再生担当大臣は8日、ほかの交渉参加国の対応も参考にしながら交渉内容の情報開示の方法を検討する考えを示しました。
これに対し野党側では、民主党の岡田代表が「極めて遺憾で、西村氏がこの間の経緯についてきちんと説明することがまず必要だ」と指摘したほか、維新の党の柿沢政務調査会長も「政府・与党内での意思統一はどうなっているのか」と述べるなど、西村氏や政府の対応を批判する声が相次いでいます。
民主党内では、西村氏から明確な説明がされない場合は、来週、衆議院で審議入りが予定されている農協改革関連法案について委員会での審議には応じられないという声も出ていて、11日に開かれる衆議院農林水産委員会の理事懇談会で、西村氏が委員会で詳しい説明をするよう求めるなど追及する構えです。
また、民主党と維新の党は、TPP交渉の進捗(しんちょく)状況を国会に報告することを政府に義務づける法案を共同で衆議院に提出したことを踏まえ、国会への情報開示を強く求めていく方針です。
 
 
 

西村氏、TPP協定案閲覧方針を撤回 野党は反発、与党は困惑

 環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉を担当する西村康稔内閣府副大臣は7日、米ロサンゼルスで記者会見し、国会議員に認めるとしていた極秘扱いの協定案の閲覧方針について「真意が伝わっていなかった」と述べ、撤回する考えを示した。突然の撤回には民主党など野党が激しく反発しており、後半国会の法案審議への影響も懸念される。

 西村氏は4日のワシントンでの記者会見で、米通商代表部(USTR)が議員に協定案の閲覧を認めていることに関連し、日本でも「できるだけ多くの議員が閲覧できるようにしたい」などと発言。しかし、7日の記者会見では「米国には守秘義務があり(情報を)漏らせば訴追される。日米では制度上の違いがあり、同一の対応は難しい」と釈明した。今後の情報開示には「どのような対応ができるか引き続き検討したい」と述べるにとどめた。

 西村氏の方針撤回をめぐり、8日の民主党農林水産部門会議では批判が相次いだ。福田昭夫元総務政務官は「西村氏には副大臣を辞めてもらわねばならない。安倍晋三首相の任命責任も追及できる」と強調。衆院農林水産委員会の玉木雄一郎筆頭理事は記者団に「納得できる説明がないと、農協法や閣法の議論はできない」と反発した。

 TPP交渉に関し、情報開示を義務付ける法案を民主党と共同提出した維新の党の柿沢未途政調会長は、記者会見で「政府与党内の意思統一はどうなっているのか。経緯の検証が必要だ」と指摘した。

 一方、政府は問題の沈静化に躍起だ。甘利明TPP担当相は記者会見で「各国とも秘密保持と情報開示要求のはざまに悩んでいる。丁寧に説明したいとの思いから誤解を与えた表現になったのでは」と西村氏を擁護。平成26年12月施行の特定秘密保護法で秘密を漏らした議員に罰則を科されるが、事前に特定秘密に指定されていなければ議員が本会議などで漏らしても免責となる。これを念頭に菅義偉官房長官も「日米では議員の守秘義務など制度が大きく違う。米国と同一の対応は困難だ」と説明した。

 ただ、与党内からは今後の国会審議を見越して困惑の声も漏れる。ある自民党幹部は「安保法案も含めて重要法案が控える中、本来はハリネズミのように武装して臨まなくてはいけないのに残念だ」とつぶやいた。(ロサンゼルス 中村将、沢田大典)

2015年5月8日 産経新聞

 

 【ロサンゼルス=共同】環太平洋連携協定(TPP)交渉を担当する西村康稔(やすとし)内閣府副大臣は七日、米ロサンゼルスで記者会見し、極秘扱いの協定案を国会議員に開示するとの方針を撤回する意向を示した。

 米通商代表部(USTR)は議員への協定案閲覧を認めている。西村氏は「日本と米国では議員の守秘義務に大きな違いがあり同一の対応は困難だ」と釈明。今後の情報開示については「どのような工夫ができるか引き続き検討していきたい」と語るにとどめた。

 甘利(あまり)明TPP担当相も八日の閣議後の記者会見で「米国では情報漏えいに対し刑事罰があり、議員資格の剥奪ということもある。日本ではそういうことはできない」と指摘。国会議員への協定案開示は検討していないと述べた。

 西村氏は、四日のワシントンでの記者会見で協定案の閲覧を与野党の議員にも認める方針を述べたとの報道に関し「真意が伝わってなかった」と説明。四日の会見でも日米の議員の守秘義務が違う点に触れたが、この日の会見では「(協定案の)テキストそのものの閲覧は基本的に難しく、できない」と述べた。

 TPPの協定案には交渉分野ごとに、おおむね合意済みの事項や各国の主張などが書かれているとされる。だが、情報管理が厳しい参加十二カ国のルールに従い、日本では安倍晋三首相や甘利TPP担当相、鶴岡公二首席交渉官ら一部の閣僚と官僚しか見ることができず、国会議員から開示を求める声が上がっていた。

 <環太平洋連携協定(TPP)交渉の情報管理> TPP交渉では、横やりが入らないよう関係者以外への情報漏れを防ぐ厳しいルールがある。交渉が妥結し、参加国の国内手続きを経て協定が発効した後も、4年間は交渉過程や内容を記した内部文書を公開できない。交渉がまとまらずに協定が発効しない場合でも、最後の交渉会合から4年間は非公表とされている。 (共同)

 

 

必読 マガジン9 山田正彦氏インタビュー

“反TPP”は、
私たちの暮らしを守る闘いなんだ

 

 

 FRANCE10 日仏共同テレビ局

TPPは憲法違反だ!山田正彦・元農水相が「TPP差し止め」求め提訴へ

「TPPはまさに憲法違反の問題じゃないか」

元農林水産大臣で弁護士、長崎県の五島で牧場経営をしていたこともある山田正彦さんは現在TPPに反対する弁護士達と共にTPPの法的な問題点を検証し、TPPは憲法違反だという切り口から「TPP差し止め訴訟」を起こす準備を進めている。

この夏に準備を終えたらTPP差し止め訴訟の会を発足し、多くの国民に原告になってもらい原告団をつくる予定。弁護士達はボランティアなので、原告1人につき二千円ずつ出してもらい裁判費用を工面する予定。

日本の多くのメディアはTPPは農業の問題というふうに矮小化して報じているが、医療、教育、労働、インターネットの自由など、TPPは生活の様々な側面に影響を与える問題だ。

秘密交渉なので各国で反対運動が多発

秘密交渉であるTPPは法律的な観点から見ても問題点が多く、各国で反対運動が起きている。基本的人権、生存権、知る権利など、国民の権利を侵害する恐れが大きく、多国籍企業の利益を損なう法律や規制をした国や自治体に対して訴訟をするISD条項によって国の主権が失われるかもしれない。TPPは憲法違反であると考える山田さんは「我々の憲法を守る、国の主権を守る、基本的人権を守るっていう訴訟をやりたい」と言う。

保険や医療や教育や農業など、様々な分野が弱肉強食の競争経済にさらされているアメリカでは、既に裕福でない人々にとって、医療や教育を受けるための負担がとても大きくなってしまっている。中小企業が営業できなくなる中、政府が多国籍企業や富裕層に対してとった減税政策も大きな反感を買った。

TPPに経済的メリットは皆無だというこれだけの理由

TPPによる経済的なメリットとは何だろうか?山田さんは、TPPによる経済的なメリットは何もないではないかと主張する。
NAFTAはアメリカ合衆国とメキシコとカナダの、TPPよりも控え目な自由貿易だが、批准された後、人と物とお金の移動が自由になった結果、アメリカの巨大農業ビジネスを相手に弱肉強食の経済競争にさらされたメキシコの中小規模の農業は破壊され、多くのメキシコ人達が仕事を失った。仕事を失ったメキシコ人達は仕事を求めて「安い労働力」としてアメリカに渡り、「安い労働力」が流入した結果としてアメリカでは500万人のアメリカ人が失業し、「安い労働力」の影響でアメリカ人の給料も下がった。アメリカ国内にあった工場はメキシコに移りアメリカの工業の25%は空洞化した。そして「1%」と呼ばれる人々が莫大な利益を得た。

これだけあるTPPの違憲性

TPPの違憲性はどのあたりなのだろうか?

「知る権利」

TPPは今年の11月頃に基本合意される可能性が高いと山田さんは言う。内容は、秘密保持義務によって4年間隠されることになるが、国会議員が交渉の内容を知らされないまま、TPPを国会で議決することは、立法府の最高機関である国会に対しての侵害行為ではないのか?「知る権利」の侵害ではないのかと山田さんは言う。

現在日本では遺伝子組み換え食品の表示がされているが、TPPは遺伝子組み換え食品や、食べ物の製造の過程で成長ホルモンなどが使われている場合に、成分表示することを禁止する。企業は都合の悪いことを隠すことができるようになり、消費者は安全な食品を選ぶことができなくなる。現在ある「知る権利」を剥奪されることになる。

「生存権」

国民の健康を守るためにあった国民保険の分野を市場に解放し多国籍企業に参入させることで、アメリカのように裕福な人間しか健康保険に入れない状況がつくられる。既に病気や怪我をしている人の保険料は高額になり、例え病気になっても「適用外」とされて保険料が降りないことがアメリカでは頻発し多くの悲劇を生んだ。医療品の高騰でタミフルが1本7万円するような状況をつくるTPPは、「生存権」を脅かすのではないか。

「教育を受ける権利」

教育をビジネルとして捉え、公立学校が減り私立学校が増えれば、高い教育費を払わざるを得なくなる家庭が増える。アメリカではオバマ大統領が就任して4年間で、4000の公立学校が閉鎖され、30万人の教職員が解雇された。

「国の主権」

TPP参加国は、TPPのビジネスのルールに合わせて国内法を改正することになる。TPPのルールに違反した場合、ISD条項で、企業が「期待した利益」を得られなかったとして、企業が国や自治体を訴え、非公開の裁判で莫大な損害賠償を請求できる。これは国庫の略奪であり、国の主権そのものを奪う行為ではないのか?

このように、TPPの違憲性は様々な観点から垣間見ることができると山田さんは言う。

1%の富裕層にのみ利益をもたらす

TPPのような自由貿易は、多国籍企業など「1%」と呼ばれるような一部の富裕層に利益をもたらす反面、格差社会の元凶となると認識されてきている為、アメリカの与党である民主党の議員209名のうちTPPに賛成しているのはわずか7名で、アメリカの国民も77%が反対している。

「自由貿易で豊かになるっていうのは幻想にすぎない」山田さんは言う。

「TPP差し止め訴訟」の原告団になった場合、全員は無理だとしても裁判所で原告としての陳述を裁判所で述べることができる。参加することによってより深くTPPが単なる農業の問題ではないということがわかってゆく、学習会を皆でやりながら訴訟運動を広げてゆくということにも大きな意義があると山田さんは考えている。

山田さんは2013年に書き下ろした『TPP秘密交渉の正体』(竹書房新書)でTPPの問題点に言及している。

Reported by 蜂谷翔子・8bitnews記者

 

 

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