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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

野田新内閣は軍拡政権 宇宙航空研究開発機構の「平和目的」を削除・秘密保全法案・武器輸出3原則見直し

2012年01月14日 | 人権保障と平和

 

宇宙航空研究開発機構ホームページより準天頂衛星初号機「みちびき」)

 


政府の宇宙開発戦略本部専門調査会は、今後の宇宙の政策について報告書をまとめ、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の業務を「平和目的に限る」としている法律の規定を削除し、安全保障の目的で利用できるよう改正すべきだとする報告書をまとめました。

野田新内閣は、今月に召集される通常国会に法律の改正案を提出することにしています。

宇宙航空研究開発機構の10年前に施行された設置法の規定では、業務について「平和目的に限る」と明記していますが、報告書では、この規定を削除したうえで、安全保障の目的で利用できるよう改正すべきだとしています。

その上で、宇宙機構は、人工衛星開発などの成果を宇宙産業の維持や発展につなげるための業務を追加すべきだと指摘され、従来の文科相、総務相に加え、首相や経済産業相も計画の立案などにあたるとしました。

科学の発展(文科相)や通信(総務相)のためではなく、軍事産業発展(首相、経産相)を目的に加えようというシフトです。

宇宙航空研究開発機構ホームページよりH-IIAロケット18号機打ち上げの様子)

 

 

4年前に施行された宇宙基本法では、「安全保障に資する宇宙の開発利用を推進する」と記されていて、報告書では設置法の規定と宇宙基本法の矛盾をなくすべきだとしています。

しかし、「平和目的」の規定が削除されれば、宇宙航空研究開発機構が防衛目的の衛星の開発などに関わることになる見通しで、宇宙の軍事利用が進むでしょう。

たとえば、2010(平成22)年9月11日、H-IIAロケット18号機によって打ち上げた準天頂衛星初号機「みちびき」は日本有数の軍需企業である三菱重工業などが開発したもので、アメリカの軍事衛星によるGPSを補完するのが目的です。

そして、この「みちびき」は静止衛星として、農作業や災害救助にも役に立つという触れ込みですが、同時に軍事衛星にも転用できる技術を利用したものです。

 

 

宇宙航空研究開発機構ホームページより「みちびき」の管制システム

 

 

 

 

 

野田内閣は、2011年12月27日、武器輸出禁止三原則に基づく事実上の禁輸政策を大幅に緩和し、国際共同開発・生産への参加と人道目的での装備品供与を解禁する新たな基準を了承し、記者会見で官房長官談話を発表しました。

武器輸出禁止三原則とは全ての武器・関連技術の輸出を原則禁じる政府方針で、非核三原則と並ぶ日本の平和外交の基本とされる政策です。

ところが、今回の武器輸出禁止3原則の「緩和」では、武器の共同開発・生産などで、一定 の基準を満たすものは、一律に「例外」扱いする方針です。事前承認が必要とされていますが、 一律に例外とする方式では、日本として一貫した方針に基づい て、有効な歯止めをかけられなくなるります。

つまり、例外を設けやすくするというより、つまり原則と例外が逆転し、輸出が原則になり、例外的に禁止するという、外交政策の大転換です。

武器輸出禁止3原則の「緩和」で原則と例外が入れ替わり、禁止ではなく輸出が原則になってしまう

 

宇宙航空研究開発機構ホームページよりH-IIAロケット18号機打ち上げの様子)

 



 

さらに野田新内閣は、いわゆる秘密保全法案も次期通常国会に提出する予定です

公務員のみならず、大学など研究施設や民間企業で働く従業員にも懲役10年の刑罰を科する秘密保全法の目的は、先頃次期主力戦闘機(FX)に選定されたF35など、軍事秘密を守ることにあります。

この法案の真の目的の一つはFX選定問題だと思うのですが、目的が何であれ、この法案にどう名前をつけようが、これはこれまで何度も立案されては国民が廃案になんとか持ち込んできた、国家機密法とかスパイ防止法とか呼ばれる法律です。

こんな法律が出来れば、公務員の側は取材に対して話すのを萎縮するし、取材する側も秘密漏洩の教唆・幇助になるのを怖れるようになり、国民が必要とする情報はますます入らなくなります。

たとえば、やらせシンポジウムを連発するような経産省が、原発の安全性について、なにを秘密にするか考えれば、この法律がどれだけ国民の利益を損なうかがよくわかると思います。

航空自衛隊の次期主力戦闘機へのF35選定と秘密保全法 官僚の都合で侵害される国民の知る権利

防衛省中期防衛力整備計画よりF35)

 


今度の通常国会は消費税増税法案が通ってしまうかの瀬戸際です。

岡田氏を副総理にするなど、野田財務省公認政権は、国民の福利にとって真に必要な東日本大震災の復興や脱原発は脇に置いてしまって、消費税増税に目の色を変えています。

しかし、野田新内閣の犯罪性はそれだけではなく、こうも矢継ぎ早に、軍事衛星を開発したり、武器を開発・輸出したり、核武装のために必要な核物質を確保できる原発を推進しこれを輸出するまでするわけで、実は戦後有数の軍拡政権なのではないでしょうか。

野田首相は2011年11月から戦後初めて憲法審査会を開くなど、改憲派の地金をとっくに出しています。

 どじょうだなんだのという見かけの低姿勢に騙され、消費税増税反対だけやっていては、地味で低支持率にもかかわらず周辺事態法、憲法調査会設置、通信傍受法、国旗国歌法制定などをどんどん成立させてしまった小渕内閣の時と同じく、とんでもないことになりそうです。

野田佳彦新代表・首相誕生 消費税増税・原発推進・改憲 民主党代表選は最悪の結果

 

 

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5 コメント

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軍拡のために消費税の増税だ (cafe)
2012-01-15 05:32:32
 民主主義を標榜した、公約違反の野田政権は、完全に右傾化した。ケシカラン!
 そのためにも、消費税を増税するのだから、増税路線の増税に絶対反対だ。
返信する
スパイ嫌い (ケイサツ)
2012-01-15 18:17:07
スパイ防止法大賛成、朝鮮人その他外国人犯罪者から日本を守ろう。
スパイ天国日本のままでは、技術立国は崩壊する。
害国人から日本を守るには、スパイ防止法は絶対に必要。
返信する
これはひどい (日本が危ない!!)
2012-01-15 21:01:49
初めてコメントします。
この考え方は、ひどすぎると私は思います。

第一に、日本が軍事国になってしまえば、多くの問題が一気に押し寄せてきます。

少なくとも、アメリカは、日本と軍事協力をしなくなるのではないかな?と私は思います。

また、この小さな国が、戦争を始めたところで、勝ち目なんて全く無いじゃないですか。
そんなことを分かっていて軍事国にしようなんて、今の総理大臣は馬鹿げているなと思います。
 
また、宇宙開発を軍事利用することは、どうも気に入りません。

もしも、政府が独自で進めるならまだ許せたかもしれませんが、私が大好きな「JAXA」に協力してもらうだなんて、断固としてお断りしたいです。

JAXAにそんなひどいことをしないで欲しいですね。

JAXAは、素晴らしい、研究結果を出せているのだから、それを活かせる研究所にして欲しいです。

長くなってすいません。
この問題は、私たち国民がなんとかして食い止めていかなければいけませんね。
返信する
取るに足らない問題では (R2)
2012-06-26 20:24:40
どんなリーダーが現れようが日本が軍事国家に変貌するなんて万に一つもあり得ない。
返信する
Unknown (在郷軍人)
2012-07-02 13:17:18
まず
今の日本が戦前のような軍事国家になるわけがないでしょう?
あなたの知り合いに自衛官いますか?
私の身の回りには結構居ますが、戦後の普通の教育を受けた、そこらに大勢居る普通の人々です。
もっと古い教育を受けた自衛官が多い時代にすら、三島由紀夫が決起を呼びかけても応じなかった自衛官たち。
今の自衛官が軍部独裁を考えるとは到底思えません。

次に、
国家の基は、国民と領土です。
これを守ることは国際的に認められた絶対的な正義です。
日本の周囲には強大な軍隊を持つ国がたくさんあります。
歴史をふり返れば分るように、それらの国々はある地域に軍事空白が発生した場合、その瞬間から軍隊を侵入させて、その地を今も占拠し続けています。
終戦直後の千島列島(ソ連軍)しかり、竹島(韓国軍)しかり、チベット(中国軍)やアフガン(ソ連軍、撤退済)もそうです。もっと古い時代でも同様です。
(ちなみに千島列島も竹島も、サンフランシスコ平和条約で日本が放棄すべき海外領土には含まれていません。純粋な日本の領土です。あの日本共産党ですら、千島は日本の領土といっています)
こうした侵略から国土を保全するためには防衛力の整備以外には方法がありません。
(現に話し合いしても韓国は竹島を、ロシアは北方領土を返してくれませんよね?)
というわけで、非武装中立は絵空事です。

となると防衛力の整備に注力する必要があるのですが、現時点では武器輸出三原則があり、高額な兵器を外国から調達または自国開発しているのが現状で、これはそのまま国民負担の増大に繋がっています。
武器輸出三原則の緩和は、大量生産・大量販売によるコストダウン効果から防衛装備品調達費の大幅削減を期待でき、それは引いては国民負担の軽減に繋がります。
また、日本の武器を装備する国々が増えれば、それは潜在的な友好国となる可能性が高く、国際社会での日本のプレゼンス増大に寄与することになり、引いては国民の利益に繋がることになります。
さらに、日米欧製武器で固められた軍隊は、質的には非常に強大な軍隊と言え、この軍隊に旧式装備で戦いを挑む国は皆無となるでしょう。
また日本製武器を使用する国の軍隊が、他国侵略や民間人虐殺等の横暴を働く場合、部品等のサプライ品供給を止めてしまうことで、日本の価値観に基づいて圧力をかけることが出来ます。
日本の武器輸出緩和は、実は戦争を減らす効果があるのかもしれません。

戦争と軍隊はなくなりません。
歴史が証明しています。
ただし、話し合いや国際社会の圧力等で戦争を減らすことは出来ます。
しかし実力に担保された“力”がなければ、相手は話を聞こうとしませんし、そもそも圧力を圧力と感じないかもしれません。
これが国際社会です。
これが歴史です。

日本が戦前のような質・量ともに強大な軍事大国になる必要はありませんし、ならないと思います。軍備はカネがかかりますので。カネをかけるべき分野は防衛以外にたくさんあります。
徴兵も行われません(自衛隊は「徴兵制永久禁止」を自ら提案しています。そもそも現代兵器は徴兵された門外漢が扱える代物ではありませんので、早い話、徴兵された新兵さんなどは“足手まとい”なんだそうです)。
その自衛隊が、人員的・費用的に現在程度の規模で質的向上を目指すには、どうしても武器輸出緩和が必要なのです。
大量生産・大量販売によるコストダウンで、100億円の最強戦闘機が50億円で買えるようになれば、単純計算で防衛費が半分になることになります。
その50億円の最強戦闘機が配備されれば、国防に寄与し、コスト削減により国民負担軽減につながります。
これは国民の利益です。

長文・乱文失礼いたしました。
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