昨日の
大阪「都」構想の嘘2 二重行政解消の嘘1 大阪市を解体・廃止しても「財政効果なんて意味ない」程度
の続きです。
上の記事で、橋下維新鳴り物入りの「二重行政の解消」によって年間4000億円の黒字!と言っていたのに、実は大阪市廃止とは関係ない地下鉄の民営化や市有地売却を収入に入れていたり、初期費用が650億円もかかることから、財政削減効果は全くないことが明らかになってしまったため、橋下市長が下のように言いだしたことは紹介しました。
--都構想の財政効果の示し方が分かりにくい
財政効果はあまり意味がない。(都移行後に各特別区が財政的に)破綻しないことが確保されれば十分で、維新として夏までに特別区ごとのマニフェストを作って市民に訴え、(是非を)判断してもらう。
--しかし、出直し選のときに開いていたタウンミーティングでは財政効果の説明に力を入れていた
それはあなた(記者)の主観だ。(特別区の区長を選挙で選ぶ)住民自治の充実についても言っていた。僕の価値観は、財政効果に置いていない。
「それはあなた(記者)の主観だ…僕の価値観は(都構想の)財政効果に置いていない」 2014年7月4日 産経新聞
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つまり橋下市長は、二重行政の解消で財政効果はないことを認め(それどころか特別区が破たんしなければいい、ということは赤字になることさえ認めている)、今度は大阪「都」構想で住民自治が充実する、というまるで違う方向のことを強調しだしたわけです。
確かに、住民自治は「地方自治はその地域社会の住民の意思によって行われるべき」という概念で、「地方自治の本旨」として憲法にも規定されている地方自治の根本であり大変重要です。
それでは、大阪市を廃止して5つの特別区にすることにより、旧大阪市民の意思で行なう5つの特別区の住民自治は充実するのでしょうか。
1 特別区にも区議会がある←でも議員数が足りない!
橋下維新の会は大阪市を廃止して特別区にするにあたって、5つの特別区にも区議会をつくりその議員は選挙で選べるとしています。
ところが!
ほら、大阪「都」構想で支出が増えるって言えないでしょ!
それで、なんと、大阪市が5つの特別区になるのに議員数は増やさないことにしたんです!!
つまり、いままで減らしに減らして86人にしてしまってきた議員数をそのまま5つに分けることにしたんです。
それがこれ。
皆さん、ご自身がお住まいの自治体と比べてほしいんですが、これでは議員数が全然足りないでしょう?
10人とか20人とか、村議会か!
たとえば福島原発事故で有名になった飯館村は村の人口は6000人でしたが村議会議員数10人です。この村の人口は5つの特別区の100分の1ですよ!なのに議員数はどっこいどっこい。
たとえば人口約34万人の「湾岸区」の定数は、その15%の人口5万人ほどしかない東京都千代田区(定数25)の半分以下で12人です。つまり、千代田区では住民2000人に1人議員がいるのですが、「湾岸区」では3万人に1人ですw
これでは、とても東京23区のような充実した審議はできません。東京の一極集中化はかえって進むでしょう。
たとえば大阪府で大阪市、堺市の次に人口が多い東大阪市の人口は50万人ですが、市議会の議員数は42人です。ところが人口58万人の新「東区」の議員数は19人で半分以下なんです。これでは東区が東大阪市の住民自治に負けるであろうことは火を見るより明らかです。
たとえば大阪市近隣の中核市5市を参考にすると定数は計242にならないといけないのですが、それが86ですからね。もともと削りすぎなんですが、さらに一つのものを5つに分けたら議員数も5分の1でいいかというとそうではなくて、それなりの基礎人数は要るんですよ。
そもそも、各議会にはそれぞれの分野に絞って検討する委員会が必要です。予算委員会とか厚生労働委員会とか。
ところが総議員数が10人とか20人で委員会作れます?全議員がかぶりまくって全委員会の委員にならないと委員会にならないでしょう??
つまりですね。
維新は議員の報酬額が上がりませんと見せるために、地方自治体である特別区を運営していくのに必要な議員数を全く確保せず、区と区議会が機能しないようにしてしまったのです。
住民の意思を反映して条例や予算を作る区議会が機能不全に陥るのは目に見えているのですから、大阪市を廃止して5つに解体する大阪「都」構想が住民自治をかえって崩壊させることは明白です。
2 区長が直接選挙で選ばれるようになる←でも財源はない
今回の大阪「都」構想の目玉は、これまで24区あった大阪市の区の区長は大阪市長に任命されていたけれども、5つの特別区に再編されると区長は選挙で選べるようになるということです。
これは確かに住民自治の方向への改革です。
この特別区と区長に大きな権限があるのなら。
まず、5つの特別区全体の財源を合わせても、旧大阪市の財源の4分の1にしかなりません。75%は大阪府に行ってしまいます。橋下市長はその75%はまた必ず大阪府が5つの特別区で使うようにするからと言っていますが、その約束を担保する制度は何もないのです。
そもそも、大阪「都」構想というのは大阪市を解体してその財源で大阪府の赤字を補てんしたり、大阪のカジノやリニアなどの土木工事をするという構想です。橋下大阪維新の会自身が大阪「都」でやることはカジノとリニアだと認めています。
橋下市長の大阪都構想と並ぶ切り札 東京・大阪間リニア構想 巨大な利権 莫大な費用 絶望的な利用者予想
毎日新聞に経済無策でCランクと書かれた橋下徹市長と維新の会が、カジノ推進法案にのめり込む利権の実態
大阪市を解体する維新の会の大阪都構想は、大阪市の財源を奪ってカジノや土木事業につぎ込むための口実だ
つまり、大阪市を解体・廃止して吸い上げた財源をまた5つの特別区に戻したりしていたら、元も子もない、大阪「都」構想の意味がないわけで、絶対に戻さないのです。
そもそも、ここを大阪市民がわかっていてくれたら、5月17日の住民投票で賛成票を入れる人なんて誰もいないわけですが、半数の人は橋下マジックにかかっているわけです。誰でも甘い夢は見たいですものね。
ということは。
区長を直接選挙で選べても、その区長が使えるお金は今の25%になってしまうのだから全く意味がないということです。
3 区長が直接選挙で選ばれる←でも権限もない!
橋下市長は大阪市を解体すれば二重行政が解消されるというのですが、大阪市の代わりに5つの特別区ができるのだから二重行政なんて解消しないんですから、言葉のマジックってすごいと思いません?
それどころか、実は、大阪市が廃止になると5つの特別区以外に「一部事務組合」=地方行政の事務の一部を担う組合、というへんてこりんなものを作らねばならなくなり、三重行政になるんです。
大阪「都」構想では、大阪市の仕事は大阪府や5特別区に移るほか、各区で共通する仕事を担う一部事務組合がどうしても必要になります。
例えば住民基本台帳といったシステムの管理や旧大阪市内全域に広がる水道事業、運営が市町村から都道府県に移る予定の国民健康保険もこの一部事務組合が担当します。これは場所は市外にあるけれども大阪市のものだった福祉施設も含まれます。
なぜなら、こうした仕事は各特別区で別々にするのではなく、共同で運営してサービスの公平性や効率性を保つ必要があるからです。
そして、この一部事務組合は一種の自治体という位置づけで、各特別区が負担金を出して運営します。これにも議会もつくり、各区議の中から兼任する議員が選ばれる見通しです。
ね、三重行政でしょ?
消防やゴミ処理のために複数の市町村がつくるケースは今でも存在してはいますが、大阪市を廃止する大阪「都」構想の場合は一部事務組合が議会をつくらねばならないほどたくさんの仕事を抱えるため、大阪府と特別区と組合で「三重行政になる」といわれているわけです。
これだけ行政組織が複雑化すれば効率も悪くなり、かえって無駄が大きくなるのは子どもでもわかる理屈ですよね。
しかし、ここで言いたいのは、特別区から大阪府と一部事務組合に権限が取られちゃって、特別区のできることがごく少ない!ってことなんです。
財源もなければ権限もないような特別区の区長や議員を選べても仕方ないと思いません?
どこに住民自治の充実がありますか??
そう、これこそが橋下マインド。
ハシズムの詐欺テクニックなんですね。
大阪市の皆さん。
大阪「都」構想では、政令指定都市最大の財源を誇った大阪市が解体され、機能も財源も権限も奪われた、村並みか村以下の特別区になるんです。
大阪市は旧大阪市になるんですよ。解体・廃止され、なくなってしまうんです。しかも大阪都はできません。
それでも賛成しますか、大阪「都」構想に。
よろしかったら大変お手数とは存じますが、上下ともクリックしてくださると大変うれしいです!
大阪都構想が日本を破壊する (文春新書 1020) | |
藤井聡 | |
文藝春秋 |
ご存知、橋下徹大阪市長の天敵、藤井聡京大教授による大阪市解体反対の最新刊。
どうなる大阪: 「都」になれない都構想 | |
平松邦夫 | |
せせらぎ出版 |
これもご存じ、橋下維新の会の宿敵、平松邦夫前大阪市長による大阪市解体反対の最新刊。
冨田 宏治、 森 裕之。関西学院大教授らによる大阪解体分析、最新刊。自治体研究社刊。
橋下徹 改革者か壊し屋か―大阪都構想のゆくえ (中公新書ラクレ) | |
吉富有治 | |
中央公論新社 |
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下の記事で橋下市長が
「市役所一つと、独立した行政ができる特別区役所が五つあるのとでは、五つの方が丁寧で細やかな調整と対応ができるに決まっている。」
と言ってます。
上のデータを読んでこられた方々なら、また実態と違うイメージ戦略だとお分かりになるでしょう。
嘘も100万回繰り返して言えばなんとやら。
大阪都構想の賛否、キーパーソンは語る
2015年5月2日05時03分 朝日新聞
大阪市をなくして五つの特別区を設けるいわゆる「大阪都構想」を実現すべきか否か――。17日の住民投票に向けたポイントを賛成派と反対派の中心人物に聞いた。
【賛成】橋下徹・大阪市長 大都市戦略、計画できる
――なぜ大阪都構想を掲げたのですか?
「大阪府庁、大阪市役所がこれからの国際競争と少子高齢化の時代に対応できる役所になっていないから。これからの時代に合わせ、機能する役所に作り替えましょうということだ」
――提唱したのは大阪府知事時代でした。
「二重行政の莫大(ばくだい)なムダがあることは周知の事実だが、知事の時に驚いたのは、大阪全体の成長戦略や交通インフラ計画、防災・安全対策など大都市戦略を計画、実行する組織がなかったこと。『大阪市内のことは市役所です』と言われた。大都市戦略が市内で完結していた時代は終わり、市内外にまたがる計画を作って実行しなければいけない。世界の都市間競争に打ち勝つにはスピードと力強さが必要。さらに東京に危機が生じた時には日本を支える、そんな大阪都庁、大阪政府が求められている」
――大阪市長になってその思いは強まりましたか?
「地域特性や住民ニーズが多様化するなか、限られた財源を最大限に活用し、住民に手厚いフェーストゥフェースの対応をするために基礎自治行政が最も重視しなければならないのは『丁寧で細やかな調整と対応』だ。今の大阪市役所の行政は恐ろしいぐらい画一的、硬直的であり、気持ち悪いぐらい中央集権的だ」
――市を五つの特別区に分けるのが解決策ですか?
「市役所一つと、独立した行政ができる特別区役所が五つあるのとでは、五つの方が丁寧で細やかな調整と対応ができるに決まっている。69万人の新『南区』は大きすぎるという批判はあるが、今の大阪市と比べたらよっぽど小さい」
――反対派は住民サービス低下を懸念しています。
「低下しないよう特別区にしっかりとお金を確保するルールを作った。市の施設もそのまま利用できる。反対派は根拠のない不安をあおりすぎだ。法治国家である以上、ルールが守られることを前提にしないと議論にならない。今の日本の制度なら、どんな自治体の形でも通常の行政サービスは提供される。特色が出るのはプラスアルファの部分で、それは格差ではない」
――特別区の財政運営に不安はありませんか?
「市の公式資料に載った推計では初期費用で600億円かかっても特別区の財政運営は可能。将来17年間で、約2700億円の財源も積み上がる。市長就任時、単年度で550億円不足していた。今の大阪市でも、そうした不安の中で行政は回っている」
――住民説明会を終えて理解は広がっていますか?
「都構想の制度は中央省庁から膨大なチェックを受け、総務相もチェック済みだ。住民が抱くであろう懸念はすべて対処した。不安は現在の大阪市にもあてはまり、都構想特有のものではない。住民投票で都構想が否決されれば今の府庁と市役所のままとなり、大阪の問題は何も解決しないということを考えてほしい。大阪が変われるラストチャンスだ」(聞き手・井上裕一、野上英文)
■橋下氏から柳本氏へ
橋下氏 大阪全体の戦略を考えるのに、府と市の二つが必要ですか?
柳本氏 「大阪全体の戦略を考えるのは基本的に府の役割で、初めから一つ。ただ、政令指定市と協議して戦略を立てれば、より良い戦略ができるでしょう」
【反対】柳本顕・自民党大阪市議 住民サービス低下する
――大阪都構想は「二重行政の解消」を目的の一つとしています。
「二重であってムダであるなら解消するのはいいことだ。でも我々は現在、二重行政は存在しないと判断している。例えば大阪市内にある府立体育会館は相撲やボクシングなどの興行、市中央体育館は市民の利用が盛ん。稼働率が非常に高く、ある種の『ダブルエンジン』だ。時代によって、ムダな二重行政かどうかという判断は変わってくる」
――賛成派と問題の認識が食い違っていますね。
「大阪府と大阪市を再編すると強調しているが、本質は大阪市がなくなることだ。メリットに具体性はなく、カジノを中心とする統合型リゾート(IR)を誘致したい知事がやりやすくなるぐらい。身近な行政のため区長を選挙で選べると言いながら、その区長にはお金の入った財布がない。そもそも行政のムダは特別区の設置で解決はしない」
――最大のデメリットは何だと考えますか?
「住民サービスが低下するということに尽きる。大阪市民は現在、市内全体からサービスを選べるけど、特別区民になると特別区内に限られる。他地域と連動して使えないこともないが、選択肢は減る。自主財源は4分の1になって原資がなくなる。橋下さんは4分の3を『特別区にまるまる返す』と言ってはいるが、保証はまったくない」
――自民党は府と政令指定市の首長、議員の会議で調整すると提案していますが、うまくいきますか?
「話し合いによって新たな一歩は必ず踏み出せる。府も市も一定の合理化が進み、さらに各自治体が連携を図る時代だ。府も大阪市も周辺市も財政的にしんどいなか、お互いに協調して効率化を進めていこうというベクトルはより強まる。議員が入ることで、暴君が出てきたときにも掌握できる体制になっている」
――住民説明会に出て議論すればよかったのでは?
「本来、特別区設置協定書(都構想案)を政治的に中立で公平にわかりやすく説明する場に賛成派の代表の顔を持つ橋下市長が出ること自体に問題がある。仮に我々が出たとしても、理解が深まるというより、かみ合わない論争になってしまいかねないので、出る立場にないと判断した」
――どう「反対」を訴えていくのですか?
「デメリットは具体的に言える。少しでも分かってもらえたら、自然と反対の意思表示に傾いていくのではないか。自民党支持層も『3割が賛成』と言われているから、反対に変える努力はしなければならない」
――賛成派の大阪維新の会側は、市議の身分を守るため反対している、と批判しています。
「保身のため自民党から維新に行った方々が多い中で、何をかいわんやだ」(聞き手・河口健太郎、野上英文)
■柳本氏から橋下氏へ
柳本氏 大阪への愛はありますか?
橋下氏 「もちろん。何十年も議論されながら、大阪の政治家が誰も本気で解決しようとしなかった二重行政の問題に終止符を打つため、ここまでエネルギーを注ぎ込んでやってきた」
よろしかったら大変お手数とは存じますが、上下ともクリックしてくださると大変うれしいです!
都合悪い事実示されると陰謀論かますネトウヨ思考クン
○大阪の既成政党が大阪を「滅茶苦茶にしてきた」と言っているが「維新」に任せたらもっと「滅茶苦茶にする」かも知れんぞ。