安保関連、脱時間給…重要法案の駆け引き激化 2015年05月31日 12時35分 読売新聞 より
まず、誰だって驚くと思うのが、冒頭の読売新聞による各重要法案の「成立スケジュール」の異常な速さです。
火山の噴火と実は巨大地震という天変地異で明け暮れた週末を終えて、明日からもう6月です。なのに、公職選挙法改正案と農協法改正案と労働者派遣法改正案は、6月初旬衆院通過と書いてあります。
これ、来週前半には衆院で賛成多数で可決っていうことですよね。このところ異常なハイペースでブログ記事を書いてきたけれども、この3法については勉強不足でまだ論評したことないのに。
しかもですよ、これはずっと書き続けている戦争法案については6月24日の会期末前後には衆院通過で、7月下旬か8月上旬には成立と書いてあるわけです。
まあ、これは政府の予定だとしてでもですよ、あんまりなスケジュールじゃないですか。
そして、さすが安倍政権御用達の読売新聞だけあって、書きぶりが半端じゃない。
まず、戦争法制の成立予定部分についての見出しが
◆「丁寧に審議」
これは、谷垣幹事長の
「基本的な考え方を首相にしっかりと説明してもらい、丁寧に審議を進めなければならない」
という発言から取ってきたようなんですが、中身を見るととても丁寧な審議とは言えません、
読売によると、
与党は衆院での審議時間に関し「80~90時間」を目安としている。曜日を限らず開催できる特別委を設置したが、週3回の審議ペースで野党と合意したのも、「丁寧な審議」を印象づけるためだ。1日7時間、週に21時間審議すれば、6月24日の会期末前後には「80~90時間」に達し、衆院を通過させられると思い描く。この時点で参院の審議時間も考慮して、会期の延長幅を決める方針だ。
政府がもともと「ホワイトカラー・エグゼンプション」と呼んでいたこの制度は、「exemption」が「除外する、免除する」という意味ですから直訳すると事務労働者の除外、つまり事務労働者は労働基準法の残業代の規定から除外するという意味で名づけられています。
この法案は、年収「1075万円以上」などの条件がそろった人を対象に、深夜・休日労働を含む一切の残業代が出ない仕組みですが、この年収要件はいったん法律が通れば政令でどんどん下げていくことが可能になっています。
さて、この法律について私はこれまで残業代ゼロ法案と書いてきました。だって、残業代ゼロになるんですから嘘も誇張もないわけです。
残業代ゼロの労働基準法「改正」法案 先ほど閣議決定 地獄の窯の蓋がいま開く
ブラック企業被害対策弁護団の「ブラック法案によろしく」に完敗した!←残業代ゼロ法案のこと。
ところが、私は今回気づいたわけですが、読売新聞はこの制度のことを
「働いた時間ではなく成果に応じて賃金を決める脱時間給制度を創設する労働基準法改正案」
【法案版】「定額働かせ放題」制度・全文チェック!~「成果に応じた新たな賃金制度」との誤報も列挙!
佐々木亮 | 弁護士・ブラック企業被害対策弁護団代表
40年過ぎた老朽化原発も使えと社説で主張する読売新聞はもはや猛毒だ
読売新聞は文化の日の社説で「早く原発を再稼働して運転しながら点検しろ」と主張する野蛮新聞だ
読売新聞は社説でTPP参加のため土地を奪う目的で、零細農家を補助金の対象から外せと主張する冷血新聞だ
読売新聞が社説で堂々と「核武装のための原発推進」論を展開
専門紙のくせして嘘書く日経が一番のワルかもな。公平なふりしてるし。
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安保関連、脱時間給…重要法案の駆け引き激化
通常国会は、6月24日の会期末まで残り1か月を切ったが、与野党の対決法案が目白押しの状況だ。
安倍内閣が最重要法案と位置づける安全保障関連法案は5月26日に審議入りしたが、早くも攻防が激化。過去に2度廃案となっている労働者派遣法改正案について、与党は近く衆院を通過させるタイミングを計っている。政府・与党は審議状況を見ながら、会期を8月上旬まで延長して、重要法案の成立を図る構えだ。
◆「丁寧に審議」
集団的自衛権の限定行使などを可能とする安保関連法案は5月27日に衆院平和安全法制特別委員会での審議が始まったが、早くも29日の一般質疑で衝突した。岸田外相の現行の周辺事態法の適用範囲をめぐる答弁に野党側が反発。7時間を予定していた審議が約1時間で打ち切られた。
自民党の佐藤勉国会対策委員長は「じくじたる思いだ」と語ったが、与党内には「強引なイメージは良くない。今回は負けた格好でいい」(自民党幹部)と、野党に譲るのもやむを得ないとの見方が大勢だ。
自民党の谷垣幹事長は30日、佐賀市での党会合で、「基本的な考え方を首相にしっかりと説明してもらい、丁寧に審議を進めなければならない」と強調した。
与党は衆院での審議時間に関し「80~90時間」を目安としている。曜日を限らず開催できる特別委を設置したが、週3回の審議ペースで野党と合意したのも、「丁寧な審議」を印象づけるためだ。1日7時間、週に21時間審議すれば、6月24日の会期末前後には「80~90時間」に達し、衆院を通過させられると思い描く。この時点で参院の審議時間も考慮して、会期の延長幅を決める方針だ。
一方、民主党は、政府の答弁や発言の矛盾点を洗い出し、政府への追及を続ける考えだ。首相が辻元清美氏に対し「早く質問しろよ」ととばしたヤジに関し、6月1日の特別委で改めて謝罪させるなど、政府側を揺さぶっていく構えだ。
◆岩盤規制改革も
衆院厚生労働委員会では週明けから、派遣労働者に柔軟な働き方を認める労働者派遣法改正案の採決に向け、与野党の綱引きが激化する。
この法案を巡っては、厚労省の担当課が不正確な内容の資料を使って国会議員に説明したことに野党が反発。塩崎厚労相が謝罪する事態となり、与党側が目指していた5月中の衆院通過は実現しなかった。与党は6月の第1週の衆院通過を目指す考えだが、民主党は「審議が不十分だ」と阻止する構えだ。
厚労委では、働いた時間ではなく成果に応じて賃金を決める脱時間給制度を創設する労働基準法改正案の審議も控えている。民主党など野党側は「残業代ゼロ法案」と反対しており、会期延長した場合でも、今国会中に成立するかどうかは不透明だ。
労働法制同様に、安倍首相が「岩盤規制」の改革と位置づける農協改革の行方も焦点だ。全国農業協同組合中央会(JA全中)が地域農協に対して持つ指導・監査権限を廃止することを明記した農協法改正案は5月14日に審議入りしたが、民主党は対案を提出しており、衆院通過を目指す6月初旬には、与野党間の駆け引きが激しくなりそうだ。
選挙権年齢を「18歳以上」に引き下げる議員立法の公職選挙法改正案は6月4日に衆院を通過し、同中旬に成立する見通しだ。
【残業代ゼロ法案】閣議決定 労基監督官の過半数は「反対」していた
政府は4月3日、一定の年収以上で高度な専門職に就く人を労働基準法の時間規制から除外する、「ホワイトカラー・エグゼンプション」(残業代ゼロ制度)を盛り込んだ労基法改正案を閣議決定した。政府の成長戦略の目玉の一つだが、労働組合などからは「残業代ゼロ」と批判されている。2016年4月の施行をめざす。時事ドットコムなどが報じた。
■残業代ゼロ制度の対象、年収1075万円以上の専門職
残業代ゼロ制度の対象者は、研究開発や金融ディーラー、ファンドマネジャーなど、高度な専門的知識があり、平均年収を3倍「相当程度」上回る人。具体的には法案成立後に厚生労働省が省令で決めるが、年収は1075万円以上と想定されている。
対象者は、労基法の労働時間規制(1日8時間、週40時間など)から除外され、時間規制がなくなるため「残業」の概念がなくなり、深夜労働、休日労働への手当も出なくなる。その上で、働きすぎを防ぐため、下記のいずれかの措置をとる。
- 1、年間104日の休日
- 2、1日のなかで一定の休息時間を確保
- 3、在社時間に上限を設ける
この制度とは別に、一般の労働者の長時間労働対策として、年間10日以上の有給休暇が与えられている従業員に、年5日の有給休暇を取得させることを企業に義務づける。また、大企業で実施されている月60時間を超える残業の割増賃金を50%以上とする規定を、4年後の2019年4月から中小企業にも適用するという。
■「企画業務型」裁量労働制、対象拡大へ
改正案には、想定した時間より長く働いても追加の残業代が出ない「企画業務型」の業務にも裁量労働制を広げることを盛り込んだ。
あらかじめ定めた労働時間に賃金を支払う仕組みの裁量労働制の適用対象を、これまでは企業の中枢部門で経営に関わる企画を作る人などに限っていたが、新商品の企画立案と一体で営業を行う「課題解決型の営業」や「工場の品質管理」業務にも拡大する。
厚生労働省によると、裁量労働制で働く事業場の約45%で、1日12時間を超えて働いている労働者がいるという。今回の対象拡大で、働きすぎの人が増えるおそれがある。
厚生労働省によると、企画業務型の裁量労働制で働く人は推計で約11万人いる。労働時間は1日8時間までが原則だが、制度をとりいれている事業場の45・2%で実労働時間が1日12時間を超える働き手がいる。
(「残業代ゼロ」法案を閣議決定 裁量労働制も拡大:朝日新聞デジタルより 2015/04/03 15:25)
■労働組合、監督官の過半数が反対「長時間、いっそう深刻化する」
労働者保護の根幹をなす「労働時間規制」から除外する制度の創設に、労働組合などからは「長時間労働を助長する」と批判の声が上がっている。
厚生労働省の審議会では、経営側が「柔軟で効率的な働き方ができる」とする一方、労働組合側が「残業代がなくなり、長時間労働や過労死を招きかねない」などと強く反対の声が上がっていた。
毎日新聞によれば、残業代ゼロ制度について、労働組合の全労働(森崎巌委員長)が労働基準監督官、約2000人を対象にアンケートを実施したところ、過半数が「反対」と答えたという。厚労省の「身内」の監督官に反対の声が根強いという実態が浮かんだ。
ホワイトカラー・エグゼンプションの導入に「賛成」は13.3%、「反対」は53.6%、「どちらとも言えない」が33.1%で、反対が半数を超えた。
同制度の導入による影響については、「長時間・過重労働がいっそう深刻化する」が73.4%、「長時間労働が抑制され効率的な働き方が広がる」は4.2%、「わからない」が22・4%で、懐疑的な立場が多数を占めた。
(残業代ゼロ:労働基準監督官の過半数「反対」 - 毎日新聞より 2015/04/03 15:00)
■塩崎厚労相「働きすぎを是正、多様なニーズに対応」
塩崎恭久・厚生労働相は、「働き過ぎを是正するとともに、働く人の多様なニーズに対応した働き方の選択肢を設けるもの」として以下のように語った。
塩崎厚生労働大臣は閣議のあとの記者会見で、「改正案は、ワークライフバランスの観点から、働き過ぎを是正するとともに、働く人の多様なニーズに対応した働き方の選択肢を設けるものだ。法案に盛り込まれた『裁量労働制』の適用範囲の見直しや、『高度プロフェッショナル制度』の創設は、経済のグローバル化の進展の中で、日本の労働生産性を向上させ、働く人の意欲や創造性を一層発揮させる。これらの施策は、日本の働き方改革の重要な柱であり、今の国会で早期に成立させてもらいたいし、そのための努力をしたい」と述べました。
(成果で報酬 労働基準法改正案を閣議決定 NHKニュースより 2015/04/03 11:18)【関連記事】
「早く質問しろよ !」
のヤジ・・・・・・・
知性と品性の欠如した安倍総理に「総理」の資格はありません。
あっ、基礎学力も不足してましたね。
特に歴史かな・・・・・
「原爆投下日」と「ポツダム宣言」
“朝鮮半島で南北が再衝突”し九州に危機が迫り、“ソ連が北海道に侵攻”する。
それに託けて関連法案を一気呵成に成立させる。
しっかしこれ、日本の将来に重大な影響を与える超重要法案ですから、十分な審議もせずにそんなに急いで成立をはかると後で禍根を残すことになるでしょう。
というか、安倍政権も読売新聞も本当のことを言ってない。
つまり今後は確実に戦争あるいは武力衝突に遭遇することになり犠牲者が出るということです。
そういう戦争での犠牲を代償にして中国とのより大きな戦争を抑止しようという見取り図だと思います。
そういう見取り図しか果たして道はないのか、それとも他のよりマシな道があるのかどうか。
そこら辺りを十分に考える時間も条件もありません。
何より政府答弁がリスクが高まることはないという嘘っぱち一点張りでは、議論が深まらないのも当たり前と言えます。
これに応えるかのように、現在安保法制の国会審議が行われ、4月28日に日米両政府のあいだで結ばれた、自衛隊と米軍の役割分担を定めた防衛協力の指針(ガイドライン)では、平時における米軍と自衛隊との共同パトロールを可能にする内容が記され、これに沿うかたちで現在、米軍が自衛隊の活動に期待を寄せる南シナ海での哨戒活動について、防衛省が検討を始めているそうです。
そもそも「中国は脅威なのか」という命題に明確に対し、日本のマスコミは南シナ海での複雑な事情を詳らかにしません。ベトナム・フィリピン・台湾が先に埋め立てを行っていることも知らない国民が多いと思います。
国会でも何故かあまりそのことは話題になりません。
5月10日に『巨龍の苦闘中国、GDP世界一位の幻想』を上梓した現代中国研究家の津上俊哉氏は5月28日に行われた国際地政学研究所ワークショップにおいて、
「現状の中国の対日姿勢については、「中国は日本の集団的自衛権の問題に対して、非常に抑制的。グッと堪えて『関心がある』という位の姿勢だ」と解説。「おそらく、文句を言っても結果的に日米協力を強化するだけだという思いからだろう」と分析した。
そのうえで津上氏は、 対中強硬論や中国の脅威を煽る報道ばかりを続ける日本のメディアを批判し、「今後、(対中国で穏健姿勢を打ち出そうとしても)民意が許してくれなくなる事態になりかねない。そうすると1930年代に逆戻りだ」と警鐘を鳴らした。」
(以上IWJより抜粋)
ということです。そんな中自民党は中国の脅威を煽る100万枚のビラを配布し出したというニュースが。
あまりにやることが幼稚ですが、引っ掛かる国民が多いのも事実。マスコミも国会議員もしっかりしてほしいです。