2012年1月21日付け共同通信によると、東京電力福島第1原発事故で作業員全員が退避せざるを得なくなった場合、放射性物質の断続的な大量放出が約1年続くとする「最悪シナリオ」を記した文書が2011年3月下旬、当時の菅直人首相ら一握りの政権幹部に首相執務室で示された後、「なかったこと」として封印され、2011年末まで公文書として扱われていなかったことが分かりました。
【写真】原子力委員会の近藤駿介委員長が作成した「福島第1原子力発電所の不測事態シナリオの素描」のコピー
とのことです。
菅前首相がこれに触れ、報道されなければ、こんな可能性があったことさえ闇に葬られるところだったわけです。
さらに、2012年1月23日のNHKの報道によると、東京電力福島第一原子力発電所の事故を巡って、避難区域や除染の方針など重要な決定を行ってきた政府の「原子力災害対策本部」の議事録が作成されていなかったことが判明しました。
政府の原子力災害対策本部は、総理大臣を本部長とし、経済産業大臣をはじめ全閣僚をメンバーとするもので、原発事故当日の2011年年3月11日に設けられ、避難区域や除染の基本方針、農作物の出荷制限など原発事故を巡る重要な決定を行ってきました。
NHKが、2011年11月、それまでに開かれた21回の会議について「議事録や内容をまとめた資料など」の情報公開請求を行ったところ、公開されたのは、議題を記した1回の会議について1ページの「議事次第」だけで、議論の中身を記した議事録は作成されていなかったことが分かりました。
NHKの取材に対し、原子力災害対策本部の事務局を務めている原子力安全・保安院の担当者は「業務が忙しく議事録を作成できなかった」と説明しています。
忙しいって、議事録を作るのも業務でしょうが!
(政府の「原子力災害対策本部」 立って説明しているのが悪名高い原発推進大臣こと安全・保安院も統括していた海江田元経産相)
原発事故への対応を巡っては、東京電力と政府が合同で事故対応を検討した「事故対策統合本部」でも主要な会議の議事録が作成されていなかったことが分かっています。
つまり、民主党政権、経産省原子力安全・保安院、東電、関係者が誰も会議の記録を残そうとしなかったというのです。
前の日の議事録もないのに、本当にまともな会議が出来たのか。記憶だけを頼りに会議をしていたと言うんでしょうか。
そして、今後、原発事故が日本でも世界でもまた起こらないとは限りません。
その際、現実に起きてしまったレベル7という最悪の原発事故で、なにが検討され、なにが検討されなかったのか、今後に生かせる教訓はなんだったのかが、これではまるでわからなくなります。
もし記録が残されていれば、これらの記録がいかに重大で貴重だったか。
今回の対処に失敗があっても、それが事故防止や万一起こってしまった次回の事故に生かせれば、まだしも救われるのに、それもできないのでは、これは日本にとっても世界にとっても大きな損失です。
福島の経験は、いわば、福島と日本の人々が命と健康を賭けて得た世界遺産みたいなものです。
それを、政府や官僚が責任逃れのために闇に葬り去ってしまうなんてことは、人類に対する犯罪だと思います。
日本の公文書管理法だって、国民への説明 義務を果たすとともに政府の意思決定の過程を検証できるようにするため重要な会議の記録を残すよう定めています。
ところが、今、ドラマにもなっている沖縄返還密約事件では、文書公開請求裁判で、存在は明らかな密約文書を、なんと外務省か財務省が隠蔽又は破棄してしまって文書が見つからないとして、公開請求が棄却されるというとんでもない判決が出てしまっています。
沖縄返還密約文書開示請求訴訟 原告ら逆転敗訴 外務省が文書を隠すか捨てるかしてしまった!
さらに、野田政権は国民の知る権利を保障するのに必要不可欠な情報を、「秘密」と指定して、世に出ないようにする秘密保全法案をこの通常国会に提出する予定です。
「秘密保全法」はF35戦闘機導入のために作られるリーク防止法 中国漁船衝突ビデオ流出は二度となくなる
私は、「最悪のシナリオ」隠しや、沖縄の事件を含めてこれまでの政治のあり方を見れば、そもそも本当に原子力事故対策本部などの議事録が取られていなかったのかは大いに疑問だと思っています。
しかし、記録があるのかないのかも、我々国民にはわからないのです。
今、我が国にとって最も必要なのは、情報を隠す法律ではなく、情報の隠蔽や破棄を絶対に許さない法律。いや、それ以前に、ちゃんと情報を情報として残すことを義務づける法律と言えるでしょう。
政治家と官僚という権力者が国民の犠牲のもとに自己の保身を計るような秘密保全法はますます許されないと言うべきです。
厳罰化が必要だとしたら、それはすでに法整備がなされている秘密を漏らす行為に対してではなく、秘密にしてしまう行為に対してなのです。
公務員情報保全法こそ必要なのです。
航空自衛隊の次期主力戦闘機へのF35選定と秘密保全法 官僚の都合で侵害される国民の知る権利
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東京電力福島第1原発事故から2週間後の3月25日、菅直人前首相の指示で、近藤駿介内閣府原子力委員長が「最悪シナリオ」を作成し、菅氏に提出していたことが複数の関係者への取材で分かった。さらなる水素爆発や使用済み核燃料プールの燃料溶融が起きた場合、原発から半径170キロ圏内が旧ソ連チェルノブイリ原発事故(1986年)の強制移住地域の汚染レベルになると試算していた。
近藤氏が作成したのはA4判約20ページ。第1原発は、全電源喪失で冷却機能が失われ、1、3、4号機で相次いで水素爆発が起き、2号機も炉心溶融で放射性物質が放出されていた。当時、冷却作業は外部からの注水に頼り、特に懸念されたのが1535本(原子炉2基分相当)の燃料を保管する4号機の使用済み核燃料プールだった。
最悪シナリオは、1~3号機のいずれかでさらに水素爆発が起き原発内の放射線量が上昇。余震も続いて冷却作業が長期間できなくなり、4号機プールの核燃料が全て溶融したと仮定した。原発から半径170キロ圏内で、土壌中の放射性セシウムが1平方メートルあたり148万ベクレル以上というチェルノブイリ事故の強制移住基準に達すると試算。東京都のほぼ全域や横浜市まで含めた同250キロの範囲が、避難が必要な程度に汚染されると推定した。
近藤氏は「最悪事態を想定したことで、冷却機能の多重化などの対策につながったと聞いている」と話した。菅氏は9月、毎日新聞の取材に「放射性物質が放出される事態に手をこまねいていれば、(原発から)100キロ、200キロ、300キロの範囲から全部(住民が)出なければならなくなる」と述べており、近藤氏のシナリオも根拠となったとみられる。
東京電力福島第1原発事故で作業員全員が退避せざるを得なくなった場合、放射性物質の断続的な大量放出が約1年続くとする「最悪シナリオ」を記した文書が昨年3月下旬、当時の菅直人首相ら一握りの政権幹部に首相執務室で示された後、「なかったこと」として封印され、昨年末まで公文書として扱われていなかったことが21日分かった。複数の政府関係者が明らかにした。
民間の立場で事故を調べている福島原発事故独立検証委員会(委員長・北沢宏一(きたざわ・こういち)前科学技術振興機構理事長)も、菅氏や当時の首相補 佐官だった細野豪志原発事故担当相らの聞き取りを進め経緯を究明。危機時の情報管理として問題があり、情報操作の事実がなかったか追及する方針だ。
文書は菅氏の要請で内閣府の原子力委員会の近藤駿介(こんどう・しゅんすけ)委員長が作成した昨年3月25日付の「福島第1原子力発電所の不測事態シナ リオの素描」。水素爆発で1号機の原子炉格納容器が壊れ、放射線量が上昇して作業員全員が撤退したと想定。注水による冷却ができなくなった2号機、3号機 の原子炉や1~4号機の使用済み燃料プールから放射性物質が放出され、強制移転区域は半径170キロ以上、希望者の移転を認める区域が東京都を含む半径 250キロに及ぶ可能性があるとしている。
政府高官の一人は「ものすごい内容だったので、文書はなかったことにした」と言明。別の政府関係者は「文書が示された際、文書の存在自体を秘匿する選択肢が論じられた」と語った。
最悪シナリオの存在は昨年9月に菅氏が認めたほか、12月に一部内容が報じられたのを受け、初めて内閣府の公文書として扱うことにした。情報公開請求にも応じることに決めたという。
細野氏は今月6日の会見で「(シナリオ通りになっても)十分に避難する時間があるということだったので、公表することで必要のない心配を及ぼす可能性があり、公表を控えた」と説明した。
政府の事故調査・検証委員会が昨年12月に公表した中間報告は、この文書に一切触れていない。
【解説】検証阻む行為許されず
東京電力福島第1原発事故の「最悪シナリオ」が政権中枢のみで閲覧され、最近まで公文書扱いされていなかった。危機の最中に公開できない最高機密でも、 公文書として記録しなければ、次代への教訓を残すことはできない。民主的な検証を阻む行為とも言え、許されるものではない。
民主党は2年半前、政策決定の透明性確保や情報公開の促進を訴えて、国民の信を得たはずだ。日米密約の解明も「開かれた政治」を求める国民の期待に応えるための作業だった。
しかし、今回明らかになった「最悪シナリオ」をめぐる一連の対応は、そうした国民の期待を裏切る行為だ。
シナリオ文書を「なかったこと」にしていた事実は、「情報操作」と非難されても仕方なく、虚偽の大量破壊兵器(WMD)情報をかざしながらイラク戦争に突き進んだブッシュ前米政権の大失態をも想起させる。
民間の立場で調査を進める福島原発事故独立検証委員会が文書の取り扱いをめぐる経緯を調べているのも、そうした民主的な視点に根差しているからだ。ある委員会関係者は「不都合な情報を握りつぶしていたのではないか」と指摘する。
昨年末に中間報告をまとめた政府の事故調査・検証委員会が「最悪シナリオ」に切り込めていないのも問題だ。政府は民間の事故調査を待つことなく、自らが経緯を明らかにすべきだ。
(共同通信)
東京電力福島第1原発事故で作業員全員が退避せざるを得なくなった場合、放射性物質の断続的な大量放出が約1年続くとする「最悪シナリオ」を記した文書が昨年3月下旬、当時の菅直人首相ら一握りの政権幹部に首相執務室で示された後、「なかったこと」として封印され、昨年末まで公文書として扱われていなかったことが21日分かった。複数の政府関係者が明らかにした。
民間の立場で事故を調べている福島原発事故独立検証委員会(委員長・北沢宏一前科学技術振興機構理事長)も、菅氏や当時の首相補佐官だった細野豪志原発事故担当相らの聞き取りを進め経緯を究明。
それと併せて、「内閣総理大臣、閣僚、その他国家、国民の生命財産を保安する行政庁、独占体などの、公務員、職員について、職務専念義務に反する場合に、死刑、無期懲役その他禁固刑など刑事罰を課す」法改正を、要する。
これでは、国民は、安穏として夜も眠りに着けない。日本の行政は、世界で一番と思っていたが、信頼性を損ねた。税金泥棒とは、このこと、、、公務員よ、しっかりしてね!
これでは、政府でも、国政の行政でもなく、もう、誰も信じられなくなってしまった。これから先、真っ暗闇で、
どうする?
そうですね、政府の情報は国民にとっても貴重な財産ですもんねー。
なんだか、日本がキライになりそうです。原発、財政赤字、君が代の強制、歴史認識問題・・・。
サッカー日本代表には無条件に愛国者になれても、この国の政治や司法のそれを見ていると、大キライになりそうな自分がいます(苦笑)
全く、酷いものだ!