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プレシャス

2010-04-30 | 劇場映画れびゅー
アカデミー主演女優賞にノミネートされてた百貫デブの女の子のインパクトと、助演女優賞を受賞したモニークがベタ褒めされてたのが印象的な『プレシャス』を観てきました。
★★★★

父からの日常的なレイプによる出産、母による虐待、余りに辛い現実を受け入れられず、妄想の世界に逃げて生きてきた16歳のプレシャス。
「お前は勉強なんてしても無駄!」と言い続けられ、学校には通っているものの教科書は開いたことすら無く、文字を読もうと思ったことは無い…。

これがアメリカの貧困層の現実なのか?(舞台は数十年前です)
プレシャスの母を演じてアカデミー助演女優賞を受賞したモニーク自身も、7歳からの2年間実兄から性的虐待を繰り返し受けていたのだそうで、そんな背景を思いながらこの映画を観ると、世界で最も先進的な国の影の実態が恐ろしくて仕方がなくなってくる。

学校の校長がプレシャスみたいな生徒に対して扱い慣れしていたインターフォンの場面でも面食らったが、代替学校に集まる生徒たちや先生の実態のインパクトはもっとハンパない。
看護師を含めて全員のキャラ立ちっぷりが凄すぎる。

モニークの貫禄の演技はさすが。

マライア・キャリーが無駄にスッピンでソーシャルワーカー役をしてるところは、逆に鼻をつく。
「あなた何系なの?」って質問は、プロデューサーのオプラ・ウィンフリー流のジョークか。

ネタバレ
プレシャスは2度目の妊娠で学校を退学させられたものの、校長に促され代替学校に通い初めてから自分自身と向き合う機会を得る訳ですが、次第に彼女の置かれた不幸な現実が観客に明らかになって引くのとは逆に、彼女は人生に前向きになって行く。

教育自体も大切だけど、教え方ってやっぱあるよなぁ。

はじめは闇雲に意固地になって「子供は自分が育てたい」と言っていたのを、ソーシャルワーカーが諭すように「里子に出した方が良いんじゃ?」と感じて観ていたのが、終盤には確信を持って自分で育てると言ってるように思える程しっかりしたようで頼もしい印象を受ける。

クライマックスでは子供二人を連れて歩く姿がとても凛として感じるんですが、この先彼女はHIVの闘病を続けながら、一人で障害を持つ子供を含めた二人の子育てをしなきゃいけないわけで、ハッピーエンドのようで何も解決していない。
めっさ不安な余韻を残す映画でした。



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2 コメント

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Unknown (KLY)
2010-04-30 15:53:23
客観的には凄く悲惨な話なんですけど、鑑賞後は希望が持てる作品でした。最初にメアリーが何か投げた時は何投げたか解らなかったんですね。後でフライパンと解って、ちとビックリ。

やったことに言い訳の余地はないですが、母親もまた愛されたかっただけなんですよね。でも彼女が生まれ育った時には、プレシャスの時のように手を差し伸べてくれる人がいなかったのかもしれません。
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>KLYさん (そーれ)
2010-05-04 11:10:42
どうもです!
>鑑賞後は希望
この映画の舞台って80年代のアメリカじゃないですか。
HIVの発症を抑える薬ってこの頃はまだ今ほど効くのが無かったんですよね。
なので、この先彼女の困難とそう長くない先に直面する本当の絶望を想像するとかわいそうでかわいそうで…。

壮絶な母親でしたよねぇ。
おばあちゃんも逃げ腰だったし、家庭の事情云々関係なく単に猛女なだけのような気がしますw
あのタイミングでソーシャルワーカーの前で泣いて見せたのも本当かどうか。
フツーな家庭の、うちの妹も相当獰猛ですから…w
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