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ミュージカル『テイクフライト』 <宮本亜門版>@梅田芸術劇場

2008-01-04 | ステージれびゅー
2008年、ステージの一本目は宮本亜門演出による新作ミュージカル『テイクフライト』。

ブロードウェイの大御所達が脚本、音楽を担当し、二人の演出家に託して完成させる。
ロンドン版と、宮本亜門演出による日本版の内、優れた方をブロードウェイに持って行くという企画ものなのだそうですが、その辺の詳細はパンフレットにも詳しく載っていないのでよくわかりません。
負けた時の事を考えて、載せるのを避けたんでしょうか…。

3つの時代を舞台に、3組の空の英雄達、ライト兄弟、チャールズ・リンドバーグ、アメリア・エアハートが空への夢に向かってひた進む姿を描く、時代を超えたアンサンブルストーリー。

以下、ネタバレ含みます。

舞台上に上下二段ロッカーのように区切ったブースを作り、ブースごとに付けたトビラの開け閉めする事で、手前の広いスペースといくつものブースで各時代、各場所、シークエンスを切り替えていく。
時に手前のスペース上で隣り合う人物が違う時代を演じ、時にブースと手前のスペースを全て使って空を行く飛行機と地上に残されたスタッフを描く。
だけど、使っていない部分の方が遥かに広くて、小さなブースでこじんまりと描くことの多い前半は臨場感に欠ける。
開いていない扉に飛行機等の映像を映して、開いた部分をコックピットに模したり、面白い演出もやっているんだけれど、平坦な壁に映す映像で見せてしまう辺りが逆に安っぽく感じてしまったのは俺だけだろうか。
派手なセットで豪華に見せりゃ良いってわけではないけれど、何もしないよりも安っぽく感じてしまったのは残念。

大して派手な事も無いのに、役者の動きだけが派手なのがブロードウェイスタッフの目を意識したように観えてしまい、なんだかなぁ…。

夢に向かってコツコツがんばっている姿を描く前半。
人間ドラマとして魅力的になるよう、中途半端にブースを使った技で物足りなさを感じさせるくらいなら、手前のスペースでの演技を中心にしても良かったのじゃないだろうか。
全員で歌う曲“夜明け前”だけが際立って良かった印象。

それに引き換え後半の盛り上がりは見事で、ブースをあちこち同時に開けて舞台全体を使いつつ、手前で別々の時代の主人公がハーモニーを奏でたり、待ってましたとばかりのダンスが挿入されたり、前半にはほとんど無かったコメディー色(取って付けたよう)が加えられたり、見事なアンサンブルとなっている。
人間劇としても後半の方が全然面白くて、最後はずっと涙を拭いながら観てしまいました。
最後の背景映像のセンスにはがっかり。
もしも、こちらがブロードウェイ版として選ばれた場合は、背景が合衆国国旗に差し替えられる気がする。

デイヴィッド・チャールズ・アベル率いる生オケも楽しい。

天海祐希は男勝りなアメリア・エアハートにぴったり。
他のミュージカルでも宝塚出身の方が出演していると安心して観れるのですが、天海祐希もさすがに安心して観れた。

今回のメインキャストの内、天海祐希以外の舞台を観るのは2回目。

チャールズ・リンドバーグ役城田優は、昨年観たの『スウィーニートッド』に続き2度目の宮本亜門演出の舞台出演。
あの時、記事に予想した通り、映画に主演する等どんどん人気者になってきました。
今回も歌は安定していたし、派手な顔は舞台栄えするし、なにより演技が舞台にしっくりくるし、益々の活躍が期待できる俳優です。

ライト兄弟の橋本じゅん、池田成志は『犬顔家の一族の陰謀』に二人とも出ていました。
『犬顔家の一族の陰謀』を観て思ったのですが、彼らも舞台ではファンをたくさん抱えたスター俳優じゃないですか。
他の二人の役者達に華を持たせすぎなので、コメディー色出すならもっとそっちの方向で華を持たせてあげても良かったのでは?もったいない。
全体的に、日本語歌詞が曲に乗っていない感が否めないミュージカルだったけど、ライト兄弟のところは特に違和感を感じた。
二人の歌唱力とかいう以前にテキトーに訳されてる感じが…。

脇を固める役者として、アメリア・エアハートの夫役の宮川浩。
凄いですね、歌唱力がずば抜けていて驚きました。

オットー・リリエンタール役のラサール石井も声が良い。
動きは完全に宮本亜門にコントロールされている感じでしたけど。

そんなこんなで、昨日に続いてこれから新春2本目『ビューティー・クイーン・オブ・リナーン』を観てきます。

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