アマジーグ・カテブの講演会(10月5日)

 フランスを揺るがした都市郊外の「暴動」は記憶に新しいところです。現代を象徴するこの事件で世界の注目を浴びたフランスのアラブ系移民たち、移民二世、三世たちは今なにを考え、なにを行動に移し、なにを表現しようとしているのでしょうか。
 音楽活動を通じて自らの主張を伝え、アイデンティティ探索を行うアーチストの話を通じて、日本では知る人の少ない彼らの生の声を、CDの音を交えながら聞いてみましょう。


   ~アルジェリアとフランスと音楽と~
     アマジーグ・カテブ講演会

  日時:10月5日(木)19時より21時
  場所:早稲田大学16号館309号室
  講師:アマジーグ・カテブ(音楽グループ
        「グナワ・ディフュージョン」リーダー)
  主催:現代フランス研究会
  協力:(株)カンバセーション
  
  入場無料。通訳付き。



 アマジーグ・カテブ Amazigh KATEB氏はアルジェリア文学の巨匠カテブ・ヤシーヌKATEB Yacineの息子として生まれました。亡命した父を追って16才でフランスに渡り、南東部の中心都市グルノーブルで音楽グループ「グナワ・ディフュージョン」Gnawa Diffusionを結成しました。ラガ、ロックに民俗音楽の要素を融合した独特のサウンドをバックに、移民の子の意識を、アルジェリアを苦しめる問題を、そして世界の現状についての主張を彼の素晴らしい声に乗せて世界に発信しつづけています。
 このグナワ・ディフュージョンが今年10月に開かれる「フェスティバル・コンダ・ロータ2006 ラマダンの夜」に出演のため初来日します。この機会に、リーダーのアマジーグ・カテブ氏が日本の聴衆に直接メッセージを伝えるための場を設けました。父君ヤシーヌの人となりをうかがう機会にもなると思います。

 多数の方のご来場をお待ちします。
 講演会についてのお問い合わせは粕谷(076-234-4064  090-5172-5895)まで。

 なおグナワ・ディフュージョンは10月3日(火)にデュオウードDuOudとの合同コンサートを東京渋谷BUNKAMURAシアターコクーンで、6日(金)に単独コンサートを渋谷クラブクアトロで行います。
コンサートの詳細については以下のサイトをご覧下さい:
http://www.conversation.co.jp/schedule/konda_lota/index.html

  *****

(補足)

講演会の司会は粕谷祐己がつとめます。 f(^_^;)

テレビ取材が来そうな感じです。(^_^)v 
フランス都市郊外に生活する移民二世、三世の若者たちの意識、というものには世界的な注目が集まっていると言えそうですが、日本では既成イメージで理解した気になっているばかりで現実の進展をしっかりフォローできている人が非常に少ないように思います。とくにこういう社会批判や、自らのアイデンティティ探索と絡めた音楽活動を展開しているグループというのは、フランスにはたくさんあるものの、日本の音楽界の現状からはなかなか想像しがたい存在であるように思います。
だから意識の高いマスコミの方は、こういう機会には注目するのでしょう。

コメント ( 7 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
宗教さまざま (アキレス)
2006-09-17 17:03:06
こんにちわ、おひさしぶりです。先生の目のほうはよろしいのでしょうか。以前、石原知事の発言について私見を述べた者です。



東京都美術館で開催されているペルシャ文明展に行きました。半世紀ぶりの本格的ペルシャ文明の紹介という宣伝文句は誇張ではなく、厚みのある展示で感銘を受けました。解説書とともに、ゾロアスター教のアフラマズダ神のマグネットを買い、部屋に飾って悦に入っています。一種の偶像崇拝だからイランでは許されないでしょうに。



古代よりササン朝までのペルシャ文物の展示で、イスラム時代のものは含まれていません。新興のイスラム教を奉じるアラブ軍にササン朝ペルシャは完敗し、ここに古代オリエントの伝統を受け継ぐ帝国は崩壊します。今はイスラム教徒になっているイラン人ですが、「アラブ人はペルシャ文明を破壊したから嫌いだ」というイラン人学生の声を聞いたことがあります。



ローマ法王がイスラム教を批判した発言を聞いて感じたのは、一神教の厳しさです。ビザンチン皇帝とペルシャのイスラム神学者との論争のことも初めて知りました。異論が入ることを許さぬ厳しさは、日本の宗教風土からは想像もつきません。題名を「宗教さまざま」とつけましたが、神は唯一にして絶対の存在であり、宗教が「さまざま」などと曖昧さを許さないのが一神教の本質です。
 
 
 
日本の宗教風土 (raidaisuki)
2006-09-18 11:06:46
アキレスさま



イスラム化されたペルシャ=イランですが、ペルシャ帝国を倒したのはアラブ、ととらえればイランの人のナショナリズムが刺激されるのも理解できます。



日本でも中世には宗教が原因で大きな紛争が起こっていました。江戸時代には宗教的熱情封じ込めが非常に注意深く行われ、その後も戦闘的な宗教が社会の問題になることはありましたが、「思想的に」国民の大部分の支持を得るということはなかったと言ってもいいと思います。



わたしは、たぶんそれには仏教が日本から非常に遠いインドで生まれたものだということが大きい意味をもっていたように思います。

インドで作成された相互に思想の非常に異なる複数の教典がいっしょくたになって日本にやってきたおかげで、日本では仏教は最初から諸説並列状態だったと思うのです。インドから遠い日本では仏典結集をして正典、外典、偽典を分けるという作業もできず、玄奘みたいに直接インドに赴いて疑義をただすということもできず、なんとなく納得いかない、という状態が千年以上続いた、ということではないでしょうか。

それは、日本人が物事を理解しようとするときのためらい、ためらいする態度を造り上げることにもつながったように思います。



一神教というか、テキストと解釈の権威が身近で、結集もたびたび行われた(というか、行われうる)歴史を持つ宗教の人は、非常に無邪気に論理を突き進むのだと思います。

 
 
 
ぜひ参加させていただきます (ヒゲライフ)
2006-09-19 22:36:49
わざわざブログにコメントいただきまして、この講演会を知りました。ぜひ拝聴しに伺いたいと思います。ありがとうございました。
 
 
 
ありがとうございます (raidaisuki)
2006-09-20 11:58:50
ヒゲライフさま

ありがとうございます。m(_ _)m

お待ちしております。



もうあまり日にちもありませんし、わたしも東京にはおりません。早稲田の福田育弘先生にはたいへんご協力いただいておりますが、広報には難儀しておりますので、どうか周りの方々にも周知伝達お願いできましたら幸いです。
 
 
 
Unknown (elly)
2006-09-24 19:58:32
先日のアップリンクの講演では、私が知識が乏しいフランス文学との関わり(ルイ・アラゴンの詩を歌に用いていた等)や、フランス国内での彼らの立場・影響力等を、先生ならではの視点も交え、噛み砕いてお話頂き、拝聴し大変ためになりました。本番ではますます彼らの音が厚みをもって響いてくることと思います。グナワはあまり好きではなかった私ですが、今では、今回の出演者の中で最も楽しみな公演となりました。悲しいことに、私はアマジーク・カテブの講演を聴きに行くことができません。心から残念に思います。でも、フランス国内での移民問題やイスラーム諸国が包含する問題を、普段耳にすることが少ないアラブ・イスラームの側から語られるのを、できるだけ多くの方に聞いて欲しいと心から願っています。数多くの音楽やニュースが溢れる中で、彼らの紡ぎだす音楽と言葉に直に接することができる私達は、本当にラッキーだと思います。音楽にできることはきっとたくさんあるはずですよね!

PS:ラシード・タハの新譜も楽しみです。
 
 
 
追記ですが (elly)
2006-09-24 20:31:35
拙ブログのコンダロータ関連の記事(先日のUPLINK講演記事)にて、追記という形で当講演の案内を書かせていただきました。勝手ながら、こちらの案内文を引用させていただきました。

よろしくお願いいたします。
 
 
 
Unknown (raidaisuki)
2006-09-27 07:26:07
ellyさま

御礼おそくなってすみません。

先日はどうもありがとうございました。 m(_ _)m



アラゴンはかなり思い入れの入ったスタンダール論を書いているので関心があったくらいで、作品についてよくは存じません。文学史を教えるために少し勉強したくらいのものですが、こういうのと音楽とが絡み合っているところを少し知っていると、たしかに音楽もより深い楽しみ方ができるような気がしますね。



実はアマジーグのお父さんのカテブ・ヤシーヌについてはもう少し勉強していたのですが、ほとんどお話しする時間がありませんでした。これはまあ講演会のときにアマジーグ自身の口からいろいろ聞けるものと期待しております。 (^_^)y お越しいただけないのは残念ですが、講演会の内容については、またご紹介する機会もあると思います。



講演会の案内、ありがとうございます。

m(_ _)m

今後ともよろしく。 (^_^)y

 
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