グナワ・ディフュージョンとアマジグ・カテブ

 今年10月にはカンバセーションさんの企画するイベント「コンダロータ」の一環としてグナワ・ディフュージョンが来日しますので、これのご紹介をしておきます。

 Gnawa Diffusion はフランス・グルノーブルに本拠をおくバンドです。 
 彼らはなかなか洗練された面白い音を出すバンドですが、ラガ・ロックを基盤に「グナワ・ミュージック」とそれに固有の楽器を採用することで、北アフリカにルーツを持つフランス定住者としてのアイデンティティ探求の音楽活動を展開しているわけです。
 写真は現時点での最新アルバム Souk System です。公式サイトでこのアルバムの曲を聴くことができます(GNAWA Diffusionのロゴの下、ぶら下がっている小さなカーテンの下みたいなもの10個を順にクリックしてみてください。06.06.26.)。 (^_^)y

 さてそのグナワとは、北アフリカのアラブ社会のなかの黒人の楽士たちが市場などで演奏していたもので、gnawa という語はギニア Guinea と関係があると言われています。
 本来のグナワは人をゆったりとした気持ちからトランス状態まで高める力をひめた物凄い音楽です。
 少し前にサラーム海上さんがレクチャーをしておられました。 (^_^)y

 メロディ楽器のグンブリは、見た目はゴミ箱に箒の柄をくっつけたみたいなものです。 (^_^;) 打楽器としては鉄製カスタネットのカルカブを使います。両者ともたいへん個性的な楽器です。


 グナワ・ディフュージョンはカリスマ的リーダー、アマジグ・カテブ Amazigh KATEB に率いられています。この人は素晴らしい声の持ち主ですが、かなり政治的意味の高い音楽活動をする人で、その意味でも注目できます。フランス共産党のイベントに招かれて歌ったルイ・アラゴンの Au fond de la nuit がレパートリーになっています。

 そういう政治姿勢は、父 KATEB Yacine --- 名作『ネジュマ』を書いてアルジェリアのフランス語文学の方向性を決めた作家 --- 譲りのものかもしれません。アマジグがアルジェリアからグルノーブルにやってきたのも、白血病でこの町の病院に入院していた父を追ってのことだったといいます。

 ちなみに現在、来日中にアマジグのミニ=レクチャーができないか交渉中です。実現すれば、フランス都市郊外に住むアラブ系移民の意識などについて、興味ある発言がきけるものと思います。
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