フランス政府文化使節


 わたしのスタンダール研究でフランスで一番お世話になったフィリップ・ベルチエ先生が来日、先日の中央大学(例の教授殺人事件の起こったところで、その話ばっかり聞かされると先生は言ってましたね)での仏文学会でスタール夫人についての講演をされました。先生も来月退官だそうで、まあ記念の日本旅行みたいなものでしょうか。今週末は別のプロジェクトにも参加されます。

 スタンダール関係では、プレイヤード版小説集第三巻の原稿はほとんどそろっているけれど、セルジュの原稿だけ遅れに遅れているんだというお話を聞きました。
 セルジュの原稿分がなかったらこの本、たいして意味ない(というのは言い過ぎか)ですから仕方ないですね。
 それにこれ、いったん出してしまうと数十年にわたって研究の基本となるテキストになるわけですから、セルジュはいますごいプレッシャーを受けながら詰めの仕事をしていることでしょう。

 ところでこのベルチエさんが、どうもフランス政府招聘文化使節制度の最後の例になるみたいです(という言い方が正確かどうかわかりません。ちょっと事情がややこしいらしいですので。ともかく彼は日本に来れたわけですが)。個々の大学や機関が招聘するケースはもちろんこれからも続くでしょうが、フランス文化省、大使館が日本側の要請に応じて文化人を送る、という制度がなしになるんですね。

 残念ではありますけど、どうもこれは時勢から考えてやむを得ない措置なのだと思います。

 わたしとしては、フランスを別な目で見て、別な「使い方」(言葉は悪いですが)を考えるひとつの機会だととらえたいです。
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