・・・彼女の事情・・・
「G・Wに息子のところへ行ってきたのょ♪」と、目を細めて話す彼女は本当に嬉しそう。
会社の昼休みの広い給湯室での、3ヵ月ほど前のこと。
出入り業者さんの、体は細いけど逞しそうなお母さん。
スポーツ一筋の息子さん(長男)は、家族の元を離れて遠く長野の高校の寮で暮らしているという。
「スポーツ好きなあなたとは話が合うかも」と、
折に触れ、息子さんの近況を私にいろいろ話してくれていた。
ある日、その彼女が浮かない顔をして話す。
「スポーツ推薦で、来春から名古屋の大学の寮に入れることがほぼ内定したんだけど、
二男はともかく、あの子(長男)は私のすべて。あの子がいないと私は生きていけない」のだそう。
なので、仕事を辞め、購入した戸建てすらも手放す覚悟のもと、
一家で息子さんの大学の近くへ越そうかと真剣に話し合っているのだとか。
息子さんがそれをよしとしているかどうかは私にはわからない。
それから数日後、彼女に代わる新しい担当者を紹介された。
「しばらくの間、私だけ空手を休部させていただきたいんですけど・・・」と、
中学生の女の子と母娘で道場に通うお母さんから話があった。
「大丈夫ですよ。」と答えたのは約1年前。
今年の6月、道場で毎年参加している某イベントへ参加すべく、チームのみんなへ迷惑かけないよう、
体力作りを兼ね、2ヶ月間だけ空手に復帰したいとご主人にお願いしたそうで、
その申し出に、「もちろん大歓迎です!」と答えた。
イベント終了後、
「やっぱり空手がやりたいです。
でも、稽古の時間に家に残す夫と息子(高校生)二人での晩ご飯を考えると申し訳ない気持ちになり、
あと一歩がどうしても踏みきれなくて。」と悲しそうに話すお母さんに、生意気で無責任だと思いつつも話した。
「“母親だから家にいて当たり前”と自分を追い込むより、
お母さん自身が何かひとつでも好きなことをやって輝いていることのほうが、子どもとしては嬉しく
最終的にはご家族のためにもいい結果になるんじゃないでしょうか。
いくら“好きなことをやる”とはいえ、お家のことやお仕事の合間の限られた範囲内でのことなのは、
誰よりもご家族が一番わかってくれているように思います。」
次の瞬間、「こんな都合のいい話を許していただきありがとうございます。」と、
私の手を取り、体に抱きつくようにして彼女は涙をこぼした。
(ぃえぃえ、そんな大それた話しじゃないんですけどね~ ( ̄  ̄;) ・・・)
母がゆえに?、やりたい空手を我慢した1年間はよほど辛かったことでしょう。。。と推察。
それから毎週、端正なお顔立ちの“お母さん”のきらきらした笑顔と
少し前までグレかけていた娘さんの、今は真っ直ぐで以前より幼くさえ感じるかわいい笑顔に出会う。
好むと好まざるとにかかわらず、人にはいろんな事情がある。
いい悪いはともかく、みんな一生懸命なだけなんだと思う。
そんな彼女たちを見ていて・・・。
ふと、自分と自分の親を振り返る。
兄弟の中で、「あなただけがすべて」と言ってくれなくて ありがとう。
「自分のことは自分で決めていいんだよ」と好きに決めさせてくれて ありがとう。
『親の人生は子の人生じゃなく、子の人生もまた親の人生じゃないから』と言ってくれて ありがとう。
ヘンなプレッシャーをかけられなかったおかげでか?
厳格な父に似ず、勤勉な母にも似ず、こんなぐ~たらで我儘に育ってしまって申し訳なく思うけど
自分のやりたいことのために周囲を巻き込んだり振り回したりしてほんっと申し訳なく思うけど
どんなに忙しい毎日の中にでも、些細なことであっても楽しいことのひとつやふたつは見つけられて
雨の日に滑って転んでしまったら自分から笑っちゃえー!的な
反省もしない代わりに( ̄-  ̄ ) ンー、悲観もしない
ある意味いい加減で、ある意味楽観的な自分でいられること。
今日も元気で日々を過ごせることに感謝。
ブログ村 自作詩・ポエム