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★空花圭一氏の遺志を継ぎ、教育再生へ大同団結を

上の写真は「ゼンボウ」という月刊誌の昭和62年2月号です。「ゼンボウ」は平成10年に廃刊になってしまいましたが、水島毅さんという素晴らしい反共主義者が発行していました。ソ連のことも朝鮮総連のことも過激派のことも詳しく載っていましたが、目玉は日本共産党情報でした。
 
祖国日本を愛するなら、自由と平和と繁栄を大事にするなら、共産党と戦うのは義務と言っていいでしょう。ところが保守派の中にも共産党に甘い人がいます。渡部昇一さんは著書『アメリカが畏怖した日本―真実の日米関係史』(PHP新書)で次のようなエピソードを紹介しています。
サンフランシスコ講和条約に反対した全面講和派のインテリには共産主義のシンパもいたが、腰が引けてくっついた者の方が多かっただろう。昭和20年代にマスコミ界の大スターだった清水幾太郎は、半自叙伝のようなものに当時の心情を告白している。それによると、昭和20年代は「いつ革命が起こるかわからない」という心配があった。革命を起こされたら、ソ連や共産党に逆らった知識人は粛清される。それが怖かった。そして、書くとすれば、昭和7年(1932)のコミンテルンのテーゼからはずれないような書き方をすればいいというような感じがあったらしい。
ソ連や共産党からにらまれないように汲々としていた人々にとって、アメリカの悪口をいう分には殺されそうもないからいくらでも書けたのだろう。
物書きが怖がる風潮は昭和30年代以降も続いた。かつて私も西尾幹二氏から、「あなたはマスコミのことを知らないから共産党を批判している。共産党は深く日本に入り込んでいる。共産党の悪口をいうのはやめたほうがいい」と忠告されたことがある。ソ連が崩壊してからやっと、みんなに勇気が出てきた。

「新しい歴史教科書をつくる会」の元会長、西尾幹二がかつて「共産党の悪口をいうのはやめたほうがいい」と脅えていたというのです。西尾以外にも、共産主義の悪に、プラハの春まで気付かなかったとか、ソ連が崩壊するまで批判できなかったという人がいますが、とても恥ずかしいことです(湾岸戦争まで気付かなかったというのは論外)。
 
話がそれてしまいました。「ゼンボウ」昭和62年2月号の記事は、校長や教頭の団体である全国教育管理職員団体協議会(全管協)顧問の菊池達也さん、元中学校教員で日本教師会関東後援会事務局長の空花(くうげ)圭一さん、全日本教職員連盟(全日教連)副委員長の弘中勝彦さんによる「日教組解体は今がチャンスだ!! 反日教組団体の統一をめざそう」という座談会です。一部を紹介します。

 
 教育正常化団体がまず連絡協議会を結成すること

菊池 さて「混迷の中で我々は何をなすべきか」――という事ですが、日教組から脱退した教師が何故こちら側に入ってこないのか分析してみる必要がある。第一はもう組織はこりごりだから一人でいようという人。第二には組織は必要だが教育者だから組合は避け職能団体をつくるべきだ、という考えを持つ人に分かれている。第三には教育者の特質でもあるノンポリ(無関心層)グループがいる。つまり脱退すれば組合の指令・指示に従うこともなく集会にもいかなくてよい。それに月に約1万円もする組合費を払わなくてもすむ――こういった教師達が日教組をぬけ出ている。もう一つは正常な教職員団体を育成するために政・財界人の協力が現状では弱すぎる。彼らは教育とは金ばかりくってメリットがないとの発想があるが、この際政・財界人の積極的な協力がほしい。次にこれは重要な事だが、“反日教組”というワクの中で我々が活動しているうちは正常な教育団体は大きくなれないと思う。日教組の土俵の中で反対しているのでなく、日教組を超えた正常な教育者の団体をつくる事が必要だ。これを一つのテーゼとして確立すべきだ。いまこそ“超日教組”として打って出る時が来ている。
空花 日教組に入っていないノンポリの人たちが教師としての情熱、使命感を持って研究会グループをどんどんつくれば、当然組合に入らない先生も集まって来る。とにかく孤立している先生をなくして結びつける事が必要だ。
菊池 いまの教育がこれでいいと思っている人は誰もいない。これは組合員でも同じことだ。質的変化を起こさせるための外部からの火つけ役が必要で、誰かがリーダーシップを取ってやるべきであり、そこでいくつかの正常化団体からの呼びかけがあっても、そこに入る意欲が起きないのは何故か。それは日教組も内部で分裂しているが、それをぬけ出てきた人たちの正常化団体もバラバラになっているしゃないか――と思われているふしがある。これではとても入会していっしょにやるエネルギーは起きない。我々がいま統一するための障害を分析する必要がある。
空花 日の丸、君が代、愛国心ではみんな一致している。それにいまの子供たちをどうしたら学力が伸びるようにすべきかといったような教育指導法も若い教師の大きな悩みです。こういった共通の問題を考える研究団体を数多くつくっていくこと。その中でいままで日教組がやってきたまちがった教育方針を、一つ一つ明らかにしていくことです。
弘中 全日教連は、教育の正常化を願い運動している教職員団体です。その中には職員団体も職能団体も一緒に活動しています。活動内容は、一つには教育の専門職として自らの資質の向上にはげみ、一つには安んじて情熱を持って教壇実践できる教育環境の整備と給与、勤務条件の改善に取り組んでいます。これは教職員団体としての理想的な運動です。すでに若い教師もどんどん全日教連に入ってきておりますし、ある県では日教組よりもはるかに多いところもあります(栃木、徳島、山口、香川の各県では全日教連により正常化されている)そこで若い人たちを引きつけるニーズは何か、教育現場で悩んでいる教師のアドバイスをしてあげることが必要です。そこでもう一度我々に正常化団体がこのような情報交換の意味でも連絡協議会をつくる。まず幹部が話し合う中で人間性の触れ合いができ、その中から解決策が出てくるのです。旗じるしが変わらなければいいわけで、まずは接触しなくてはだめだ。ただあの団体はこうだ、うちはこうだと言っていたのではいつまでたってもだめ。日教組だって中では大ゲンカしているが、あれだって外に出る時は一つですよ。これからも正常化を叫ぶ先生がたにこうした道を残しておく必要がありますね。
空花 とにかく平行線でいってもだめで、お互いに話し合うことです。外から見るとどうも――と思っていたのが話し合ってみると共通項がみつかります。そのきっかけを作る人間、いま坂本竜馬のような人間が必要なんですよ。
 
 教育界の体質である縄張り根性を捨て、今こそ統一行動を
 
菊池 教育界にも日本人の持つ縄張り根性があるので、これが統合のさまたげの一つになっていると思います。かつて政界の一部に教育正常化団体を統合しようとして職能団体は日本教育会、職員団体として日教連、全管協の二本柱でという構想があった。ところが、この時も研究団体として日本教育研究連合会というのができた経緯がある。日教連と全管協はこの時点では職員団体として一本化する方向で共通の目標には同一行動を取るということで一致したんですが、具体的な行動はなに一つ取れなかった。私の体験から考えると、既製の教育正常化団体を直ぐに結集して新しい組織をつくろうとしてもそれぞれが組織の体質があるので無理だと思う。そこで大きな団体に関係があるが、現在役員でない人(例えば田名後さんのように現在でも教育問題に情熱をささげている人でしかも政・財界に人脈のある人)が個人個人で集まり、その人達に行動を起こしてもらう。そこで各団体が定期的な連絡会を持つ。その次には協議会をつくる。さらに教育とは全国民的なものだから全国の「国民教育会議」 (仮称)に発展させる。これには政・財界、学者、文化人、医師会、父母などあらゆる階層の人脈を入れ文部省もこの国民教育会議を経ないものは実施に移せない――という位の強力な組織をつくることが必要だと思う。こうなれば現在の日教組にも充分対抗できる。これは理想ですが、とにかく我々関係者の連絡会をつくることが早急に必要ですね。
空花 教育の正常化を考えている団体がまだまだ数多くある。が、それぞれがバラバラに毎年全国で研究会をやっている。これらの団体の研究会、集会をまとめてやることだ。
菊池 現実にこれらをまとめていくとき、いま役員として組織に属している人はどうしても機関決定にしばられてしまう。それを防ぐために一段高いところで世話人会(10人位で)をつくりその人たちに各団体に呼びかけ、政・財界工作もやってもらう。この方法からスタートさせてみてはどうでしょうか。世話入会づくりはもうできると思いますがね。
弘中 すでに基本的な合意はあります。今日ご出席の皆さんはすべておわかりだと思います。そこで全国各地にいる我々の考えを支持してくれる先生の考えをまとめるとなると、まだまだ問題がある。しかし、もう出番が来ていることは確かです。
菊池 新しい事業をする時にはどうしても資金が必要だ。その点まだ日教組には財力がある。その意味で政・財界の人たちが本気になって子供たちのことを考えてくれるならば、そして我々教育の正常化団体が情熱を持ち合わせれば、現実に資金のメドもつくと思う。またそこまで活動をほり下げていかなければだめです。
空花 我々の団体の活動が成功した例として元号法制化運動を例にあげましよう。これは青年グループが各県で組織をつくり、それを全国的に拡大させ「元号法制化国民会議」となり法制化が実現した。また昨年11月に行われた天皇御在位60年奉祝行事も青年層がイベントを開催して大成功をとげた。これは他の団体がやった事ですが、教育正常化の団体も21世紀なんて言ってないでいま起こっている事項に向かうべきです。 たとえば今年の沖縄国体で国旗国歌の問題があるのだから、それに焦点を合わせて行動を起こすことも重要です。このようなきっかけにエネルギーをもってぶつかっていくことだ。

別々に活動している教育正常化団体が連携して「反日教組」ではなく「超日教組」の枠組みを作ろう―という素晴らしい提言です。その志を受け継ぎ、全日教連などとともに教育正常化のネットワークを構築しようと努力しているのが日本教育再生機構です。
 
ところがその日本教育再生機構や理事長の八木秀次氏に対して「新しい歴史教科書をつくる会」の一部幹部・会員から妨害が続いています。最近特にエスカレートしています。ただの妨害ではなく、「盗作」だの「中共スパイとの関係」だの「謀略」だの、事実無根、虚偽に基づく誹謗中傷、人格攻撃です。ついには大阪の南木隆治さんたちにも非難の矛先が向きました。
 
くしくも、その攻撃の切り込み隊長は「ゼンボウ」の座談会に登場した空花圭一さん(平成11年3月23日死去)の「不肖の息子」です。渡部昇一さんに「共産党の悪口をいうのはやめたほうがいい」と言ったという西尾幹二の支持者です。
 
もうすぐお盆です。墓前にたたずみ、お父さんの声に耳を傾けてはどうでしょうか。
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