「美人の湯」として知られる羽根沢温泉は、新庄市から西の山あい、自然に取り囲まれた緑豊かな場所にありました。
どこまで続くのかと思いきや、いきなり現れた「温泉」という一文字の看板に安堵し、やっとの印象でたどり着いた羽根沢温泉は、4件の宿と一件の共同浴場から成る小さな温泉地でした。
のんびりした空気が流れ、昭和レトロな雰囲気が漂っています。
さて「加登屋」さんのお風呂へ。
羽根沢温泉は大正8年、石油試掘中に温泉が湧きだしましたが、石油自体は湧出量が少なく採算性がないとして本格操業されることはなく、地元に住んでいた加登屋旅館の先祖が採掘権を石油会社から買い取り、一軒宿から徐々に規模を大きくしていったという歴史があります。
戦中の頃には、旅行客がいなくなり一時存亡の危機に立たされれるのですが、客がいなくなった空き部屋を蚕小屋にし、養蚕を行いながら細々と温泉宿を維持してきたそうです。
現在の泉質は、含食塩重曹泉(穏和低張性高温泉)で無色清澄、弱アルカリ性、泉温摂氏47度の「美人の湯」とも言われています。
加登屋旅館さんの内風呂は、男女の間に間仕切りがあり、八画形とでもいうのでしょうか、その形を半分にしたような個性的な形の浴槽で、小さな中庭風の演出のある内風呂です。
湯触りはややぬるっとしていました。
期待通り、さすがに美人の湯と言われるにふさわしい独特の肌触りです。
内湯の温度はそんなに高温ではないはずですが、少しの間に体が温まり過ぎ、長湯したくてものぼせてしまうのが残念なところ。
その日は体調が良くないのか、この暑い季節のためなのか、何度か部屋とお風呂を行き来し、シュート入浴を続けていくうちに、どんどん肌がすべすべになり、プルプルとした肌触り(=ハリ)に変わってくるではありませんか。
本当に良い泉質のお湯です。
ですが歴史の遺産とでもいうのでしょうか、内湯の老朽と共に掃除の行き届かない感があり、それだけは残念としか言いようがありません。
次は、秋の終わり頃に再訪してみたいと思います。
■羽根沢温泉 加登屋旅館
住所 山形県最上郡鮭川村中渡1312
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