美玲詩文堂

ようこそ♪こちらは不定期詩ブログです。
ゆっくり羽を休めていって下さい。
明日羽ばたく為に…。

ポケットの秘密

2008-06-29 23:35:53 | Weblog
ママに急なお使いを頼まれたのをいいことに
買い物を急いで済ませて
彼の許へ走った
だって夕暮れ時には帰らないと叱られるから
走った 走った 走った…
彼は待ってた
待ってないフリして待ってた
そして摘んできた花をぶっきらぼうにくれた
「秘密基地見つけたから
俺たちだけの場所だよ
この花はそこで見つけた
…だから早く帰れ
また明日な」
そう言って足早に去ってく彼の背を
私はいつまでも見送った

夕焼けが空で飽和状態に燃えていたから
私も小走りで家路を目指す

夏支度

2008-06-26 19:59:25 | Weblog
夏が来るから
涼しげな絵葉書を部屋に飾りましょう
団扇も出しておきましょうそうそう
夏にぴったりの音楽も探して集めておかなくちゃ

だって
新聞に載ってたんだもの
畑一面に咲く向日葵が!

「雨に唄えば」と彼と私

2008-06-22 23:38:27 | Weblog
たまにはお洒落しておいでよと言われて選んだ服は
若草色のワンピース
待ち合わせは映画館
ただし彼の部屋
でも定員2名様貸し切り

大昔に流行ったという「雨に唄えば」には
今のセレブも真っ青なくらい素敵な紳士・淑女がいた
身のこなしが上品な男達と
ミニスカなんかはかなくても十分色っぽい女が出てくる話

幸せを謳歌すべく高らかに
どしゃぶりの中歌い踊る男を見て
思わず手を繋いでリズムを取ってしまうのは自然な流れ

映画を見終わった時
彼が緩やかに微笑んで
私のワンピースの膝に頭を乗せた
紳士はそんなことしないんだよと言おうとしたら
「こうしてると雨あがりの草原が目に浮かぶよ」と呟いた

彼は雨音を聴きながら
若草の香りを夢見るのだろうか

白とピンクと空色と

2008-06-16 00:25:21 | Weblog
美術館
そこに一歩足を踏み入れたその先では
白とピンクと空色が
仲良く踊る世界が待っていました。
フリル可愛いワンピースを着た少女達がいつもそばにいるような
優しい気持ちと空間がありました

女は時々少女に戻るのがいいんです
あの3つの色のダンスを私はずっと忘れません

不器用な季節

2008-06-01 23:55:27 | Weblog
私が思春期を迎えた時大人たちは言ったものだ
「君は今まさに青葉の季節にいるね」と

彼らは眩しそうな目をして言ったけれど
青葉は真っ直ぐに伸びている物ほど頑固で固いものだ
下手に触れば葉や茎で手を切ってしまう
指先に血がうっすらと滲み出る様を見ても
まだそう言えるだろうか?

今にしてみれば他愛ないことでも
あの頃の私にしてみれば混沌への小さな入り口だった

もがいてあがいて1人で日々を過ごすのは孤独と同じことで
その正体が混沌であると知るのは遠い先のことなのに
私はその動乱を引きずって
辛い様を大人たちに訴えた
彼らの中には「分からない」という顔をする人もいたが
子供だった私はその態度に傷ついた
「何故分かってくれないのですか!」と

あの頃ほど不器用な季節はなかった

今だったら
真っ直ぐな青葉はそっと手に乗せて鑑賞できるというのに
焦らずにそっと そうっと