美玲詩文堂

ようこそ♪こちらは不定期詩ブログです。
ゆっくり羽を休めていって下さい。
明日羽ばたく為に…。

往 来

2006-06-28 23:59:24 | Weblog
走り抜ける自転車から起こる風と
急ぎ足で歩く人の方から起こる風で
この街の匂いはできている
小さな風の交わりの歴史が
この街を作ってきた
携帯持ちながら漏れるため息と
新しい恋に弾む気持ちでつけた香水の匂い

人いきれの歴史はそのまま
この街の歴史になる

君、ただひとり

2006-06-25 22:04:45 | Weblog
あなたの瞳がそれを捉え
何らかを感じたその姿はあなたそのものです
その何らかがあなたそのものです

どうか
今日感じ取ったその思いに対して
二重線を入れて朱を入れたりしないで下さい
感じ取る思いに正しいも間違いもない
心を大切にすることは
あなた自身を大切にすることです

かげろうの夢

2006-06-22 10:37:07 | Weblog
私は例えば
真夏日の陽炎のような女です
そこいら辺でゆらゆらと
立ちのぼるだけ立ちのぼる
言葉を持たぬまま存在を主張する
そんな女です
陽炎女の見る夢は
「これが私」と説明できるだけの言葉を持つこと
そして揺るぎのない自分になってどこかに根づくこと

私は例えば
蜻蛉のような女です
生き抜いてみせたいのにどこか弱い
人一倍波や嵐や衝撃が恐い
そんな女です
蜻蛉女の見る夢は
ありとあらゆる恐いものに打ち勝って
その時に透明な美しく強い女でいられること

立ちのぼるだけでも恐れるだけでも
何も生まれては来ないから…

言葉を下さい

2006-06-18 23:40:25 | Weblog
誰か私に
言葉を投げかけて下さい
それも魂のこもった言葉を下さい
どうか、どうか…

座り込んでいる私の体の中では
まるで円周率のように
何やら果てしなく言葉が巡っています

だからどうか私に
言葉を投げ掛けて下さい
体内を巡る幾千幾万の言葉と
火花を散らす言葉が
きっとあると思うのです

その時きっと
言葉の小川より更に激しく血が通う
そして私の頬は天然の紅をさす
その時きっと
生きる喜びをかみしめている

だから私に
言葉を下さい

両手一杯の向日葵

2006-06-14 22:28:33 | Weblog
ごほうびにもらった
両手一杯抱えきれぬ程の向日葵の花
太陽を一心に追いつづけるこの花に
私は感謝もしたし勇気ももらった
明日から私も頑張ろうと思えた
大切な大切な花だったのに…

或る日その向日葵は一夜にしてごっそり奪われてしまった
明日からの私を支えるはずの花たちを
一瞬にして失った私は
その場に崩れる事しかできなかった
返せ返せと何万回も叫んだ
夢を奪ってゆくならまだバクの方が礼儀正しいわよ!

来る日も来る日も私は泣いた
その涙の集まりはさながら一枚のレース編みのよう
それならいっそ蜘蛛の住みかにすればいい
窓の外で巣作りを始めた蜘蛛に
私は涙のレース編みをあげた

何日目かの朝が来て
私はようやく朝日の美しさを受け入れる事ができた
外に出た時にお隣さんが
向日葵の種をくれた
今は蒔き時なのか分からなかったけれど
祈りを込めて
地面に種を埋めた

雨 音

2006-06-11 19:46:51 | Weblog
雨が乱調子で硝子窓を叩いてゆく
何かの挨拶のつもりかしら
御用聞きでもなければからかいでもなく
ポツッ・・・
会釈をしていったのかもしれないわね

ポツッポツッポツッポツッ・・・
小気味のいいリズムを規則正しく刻む音
樋から雨粒がコンクリートに落ちる

このリズムにはどんなCDがいい?
今日の雨はロックでもオーケストラでもない
フレンチポップが似合うでしょう

この気だるさを
メロディーで打ち消したくて
今日も私はステレオのスイッチをONにする

孤独の証

2006-06-07 22:29:27 | Weblog
生まれた時から人は
自分の孤独を悟っているのでしょうね
だから生まれ落ちた時に
必死でオギャーと泣くのでしょう
人とのつながりがどうしても欲しくて
いても立ってもいられないから
顔を真っ赤にしてまで
必死にオギャーと泣くのでしょう

そして
孤独は生涯ついて回るものだと本能で知っているから
人は友を求めるのでしょう

赤と黒

2006-06-05 22:48:51 | Weblog
きっと私たち
出逢っても互いにふりむいてはいけないのよ

例えば絵の具の赤と黒
1つ1つは綺麗な強さを持つ色だけれど
混ざれば途端に悲しい程汚くなる
赤を重ねれば重ねる程
嫌な赤味のどす黒さしか残らない
その色味を嫌だと思うならば
結局は黒に塗り潰されてゆくしかない

つまりはそういうこと
私たちは互いを見つめた時に
1つになろうとしたのがいけなかったのね

2色が寄り添って共に歩くべきだった
恋に落ちたあの日から…