غذای حاضری (ガザーイェ・ハーゼリー)
たっぷりの時間をかけて煮込まれた肉・野菜と、鍋で炊かれたサフラン・ライス。とろとろの煮込み料理が食卓の中心に並ぶ「スローフード」の国イラン。但し外食は、短時間で出来上がるキャバーブ(ケバブ)類が中心だし、一畳ほどの狭い店舗を構えるピザ屋や、トルコ式ドネル・ケバブのスタンドも街角に溢れている。これらは、客席の無い対面式の小さなカウンターで購入するタイプの店が殆どで、イランを代表するファーストフードと言えるかもしれない。
イラン人は老若男女を問わず「ファーストフード」が大好物である。
しかしこの国では、ファーストフードの代表とも言える米国発の有名チェーン店にお目にかかる機会は全く無い。というのも、イランは経済制裁下にあるため外国企業の数が少なく、またイスラーム指導体制を敷く国家政策上、欧米伝来の文物は排斥される傾向にあるからだ。
しかし、イラン人は逞しい。そして、手に入らないとなるとどうしても欲しくなってしまうのが人間の性。「無いのならば作ってしまえ」とばかりに、テヘランの街角にはイラン独自のファーストフード店が立ち並ぶ。そしてこの国らしいのが、明らかに「パクリ」としか言いようがない店名や商品がまかり通っていることだ。
「イランはコピー天国である」と、以前個人ブログに記した(コチラを参照)。このことは食べ物についても言える。写真を見て欲しい。このロゴが何に似ているかは明らかであろう。そう、KFCで知られるケンタッキーフライドチキンだ。店の名前はSFCこと「スーパースター」。カーネルおじさんの像こそ無いが、メニューにあるのはお馴染みのフライドチキンに加え、クリスピーチキンやコールスローサラダ、ラップサンドまであり、そのどれもが完璧なまでにKFCの味がする。
知人の話によると、テヘラン市内に多数存在するSFC以外にも、「マシャドナルド」なる、なんとも間の抜けた名前のファーストフード店も在るらしい。こちらは言わずもがなマクドナルドのパクリであるが、イラン北東部に位置するシーア派の聖地で有名なマシュハド(mašhad)に因んでつけられたらしい。聖地の名前と言えば、イラン産で、中東諸国に輸出されているコーラの名は「ザムザム・コーラ」。こちらは、メッカ近くにある聖泉の名前である。排斥すべき西洋文化(特にアメリカ)の象徴であるファーストフードや清涼飲料水の名前と、イスラームの聖地の名を重ね合わせるセンスに、イラン人のおおらかさ(あるいはいい加減さ)を感じさせられて、なんとも可笑しい。
ちなみに、今回イランのファーストフードについてネットで調べていたところ、SFCのさらに上を行くファーストフード店が存在することを知った。その名もBFC(こちらを参照)。なんと、カーネルおじさんを思わせるロゴまで付いているではないか!
こういった現象は、外国文化の流入が制限されたイランならでは。革命前はアメリカ文化大好きで、(いや、今でも本当は大好きだ)中東の中でも親米派だったイラン。革命後30年経ったからとて、この情報過多の時代 バーチャルな世界のみで満足できるはずもなく、今日もイランの街角では、新たなコピー商品が生まれ出づるのであった。(m)
イランの人々も欧米発のFastfoodを食べる日がいつか来るのかな?
今日も増えてくSFC(笑)を一軒一軒数えながら・・・応援クリックお願いします!
ペルシャの文化を誇りにしている国民で、排他的な部分が強いのかと思っていたら、こんなに軽いノリのお店が点在しているなんて意外です。
BFC、ケンタッキーおじさんのキャラそのものですね。
これって完全に特許法(商標法?)違反ですよね(笑)
現大統領がこういうお店のものを買って食べてたら、結構良い人かも!って思ってしまいそうです(笑)
イラン人は決して排他的ではないんですが、自分の国の文化・文明に対する誇りは、確かに並大抵ではないです。
が、本当のところは外国や外国人に興味津々。外国人と分かるとすぐに話しかけてくる人懐っこさをもっています。
そういえば、外国の文化・文物の取り入れ方が、いくらか日本に似ている部分もあります。もちろん、日本人はあからさまなパクリはしませんが。
AN大統領も、きっとファーストフードが好きに違いありません(笑)。なんと言ってもイラン人ですから
マシャドナルド、あくまでもイラン特有のものであると主張しているかのようです。
SFC.BFCとも、見つけたらおもわすウフフとなりそうです!イランの散歩の味わい方の新バージョンです‼
でも、マシャドナルドはイランならでは!ですね!!
miriyunさん、もしイランを再訪されることがあるようでしたら、SFCやBFCを思い出してくださいね。SFCはテヘラン市内に多数あるので、たぶん探さなくても出逢うと思いますし。
できるだけチョコチョコとコメントしたいのですが、なかなかPCに向かっている間は仕事におわれてまして・・・・(言い訳)
ところで、本題です。
やっぱり「西洋文化」大好き!というのは笑っちゃいました。以前、なんでもイタリアンでもイランの味になってしまう!?なんて話をここで見たような記憶がありますが、SFCはイラン味でなく立派な(?)KFCの味のパクリなんですね?
いやいや、イラン味なら是非とも賞味してみたいと思う今日この頃。
それにしても、聖地の名前やら、何やらを堕落の甚だしい(と聖職者は思っているかな?)欧米文化的商品の名前に付けてしまうなんて、何も言われないのですね。
すぐに「不謹慎だ!」なんて叫ぶ国よりもなんて鷹揚なんでしょう。
なんか、親しみがわきます♪
ああ、私もイランで食べてくれば良かった~
mitraの手料理で満腹だったので、気が付きもしなかったのですよ!
そうそう、以前書いた話(個人ブログです)では、イラン人は外国の料理もイランの味に変えてしまうということでしたが、なぜかファーストフードは、ことSFCは、オリジナルの味が保たれていますね~。但し、肉の質は日本に比べていいし、諸外国の肉と比べてもイランのお肉は美味しいのです(特に鶏肉が)。ですから、同じフライドチキンでも、日本で食べるものよりも味わい深いのですよ。
そしてマークさんが書いてくださった通り、イランに居ると、厳格なのか鷹揚なのか判断付きかねるシーンがいっぱい。きっと様々な側面で、かなり恣意的な意志が働いているのでしょう。喩えて言えば、気分屋の子どもが気ままに選択するようなもの??!
あの時は、ファーストフードまで思いが至らなかった!
確かに、食べていれば、これってネタにはなったよね。
超ご多忙のところ、わざわざ散歩に立ち寄っていただきありがとうございます。
引き続き、お仕事頑張ってくださいね!