地球散歩

地球は広いようで狭い。言葉は違うようで似ている。人生は長いようで短い。一度しかない人生面白おかしく歩いてしまおう。

すいか

2008-08-03 22:04:45 | ペルシャ語

هندوانه (ヘンデヴァーネ)

日本で西瓜と言えば、夏の風物詩。風鈴の音が涼しげに鳴り響く縁側で、西瓜をガブリと頂く・・・実際「縁側体験」をしたことがない人でも、この典型的な日本の夏の風景を想い描くことは、容易に違いない。

イランでは西瓜は、新年ノウルーズ(西暦の春分の日)を過ぎた頃から出回り始める。軽トラックの荷台に、転げ落ちんばかりに山積みにされた西瓜は、春の始まりを告げるイランの風景のひとつ。そして人々の購買意欲を増すために、半分にカットされた西瓜がひとつ、必ず飾られている。その色の赤いこと!毒々しいまでに不自然な色の西瓜は、むしろ食欲をなくしてしまいそうなほど。実は春先、まだ十分に熟れ切ってない西瓜を、赤い色素で色付けして売っているというのだ。

イランで西瓜と言えば、シャべ・ヤルダー(冬至の夜)に食されることも述べておかなければならない。昨今でこそイラン南部で冬にも西瓜が収穫されるようになったとのことだが、従来は、夏の最後に収穫したものを食料庫で冬至の夜まで保存していたらしい。
なぜ冬至のように寒い季節に身体を冷やす西瓜を食べるのか。日本人にとっては素朴な疑問である。
諸説あるが、最も有力な説としては、イランの民間療法に従ったというもの。
イランでは食べ物が、身体を温める「熱」の食べ物と、身体を冷やす「冷」の食べ物の2種類に分けられると考えられている。例えば、日本でも身体を冷やすと考えられている胡瓜は、イランでも「冷」。西瓜も当然のごとく「冷」なのだが、おもしろいことに、マイナスのものとマイナスのものを掛け合わせたら+になるという数学の原理がここで働くことになる。寒い(冷)の冬の夜に冷たい(冷)西瓜を食べれば+で「熱」を生み出す。なんとも不思議な民間療法ではあるが、話を聞いていると段々理にかなっているような気がしてくるから不思議だ。

ところで冒頭に書いたように、西瓜をペルシャ語では「ヘンデヴァーネ」と言う。この響き、なんとなく聞き覚えがあると思う方はいらっしゃるだろうか・・・(きっといらっしゃらないと思うが)。実は、日本人女性の「変だわね~」という発言が、イラン人にはどうやら「ヘンデヴァーネ」と聞こえるらしい。これ、実は私がペルシャ語を習い始めた最初の頃にイラン人の先生から教わった事実。「ヘンデヴァーネ」の「ヘンデ(ヘンド)」の部分は、スペイン語の西瓜と同じく「インドから来た」という意味であろう。
ペルシャ語=日本語の「空耳」は数多くあるが、私にとって「変だわね~」は、傑作のひとつであった。(m)

盛夏の季節、色付けなんてしなくても西瓜は真っ赤に熟れている!
アラビア語ギリシャ語英語スペイン語日本語の西瓜もぜひご試食あれ・・・
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8 コメント

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色素で色付けされたスイカというのは (がんさん@大和の国)
2008-08-04 10:06:13
ちょっと勘弁して欲しいって感じですね…。
自然のものが一番なのに…。
縁側や縁台でスイカを食べ、そこらへんに種をペッと飛ばす…。
懐かしいです。
昔は普通でしたが、気が付いてみると縁側なんてお寺に行かないと座ることができなくなりました。
季節のものはいいですね。
スイカに桃、梨も見かけるようになりました。
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Unknown (タヌ子)
2008-08-05 05:35:41
スイカ売りのお兄さん、笑顔が素敵ですね。
色素で色付けしたところで甘味はでないのに、それでも買う人はいるんですね。
マイナス+マイナスはプラスに転じる。
数学的には合ってると思いますが、寒い時に身体を冷やすものを食べたら、余計冷えそうな気がするのですが・・・
スイカは冬には買えないので、冬にはあまり食べたくない『胡瓜』で試してみます。
空耳、『変だわね~』、笑いました。
イランに行ってもスイカだけは買えそうです(笑)
クロアチア語では主語が必要ないので『(~が)ある』というのを、単に『ima』と言うのですが、ついつい、『だから、今何なのよ?』って聞きたくなってしまいます。
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温と冷 (マーク)
2008-08-05 12:30:19
食物を「温と冷」に分けるのは東洋的(漢方?)と勝手に思っていましたが、イランでも同じような考えがあるのですね。

やはり、シルクロードのせい?

聞きかじりでは、コーヒーのように「暑い」ところで出来たものは体を「冷」と聞きました。

それに日本人だって、うなぎを旬ではない夏に食べるくらいですから、スイカを冬至に食べるぐらいは納得???
実は、イランの平賀源内さんが冬至に食べたとか・・・・、なんてあるわけないですね。

アホなコメントで失礼しました(^^;
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がんさん ()
2008-08-07 22:22:52
mitraが散歩中なので、私がヨコから…
まさしく私がトルコの記事で書いた、冒頭、
「イランで見たすいか屋さんに衝撃を受けた私」が、これです!
色をつけて売るなんて!
縁側で、種も気にせず食べるスイカ。最高ですね!
日本人は「涼をとる」ということを忘れてしまった気がします。
果物が美味しい季節ですね~
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タヌ子さん ()
2008-08-07 22:28:34
碧です。
mitraは散歩途中でスイカにありついているでしょうか?
まったく「へんだわね~」ですが、私もイランでスイカだけは間違いなく買えそうだと思います!
熱は熱を持って制すで、暑い夏のお茶は大好きですが、冬に冷たいものはどうでしょうかね~
『だから、今何なのよ?』にも爆笑!
ところ変わればですよね。
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マークさん ()
2008-08-07 22:31:37
マークさんのインスピレーション大好きです。
イランの平賀源内さん!なんかいそうな気がしますよ。
イランはアジアですね。
行ってみてそう思いました。
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すいか (yuu)
2008-08-09 16:56:48
すいか、いまとっても美味しいですよね~!
それにしても、イランでは冬至の夜にいただくとか?
あ~でも日本でもかぼちゃを食べるから共通!?(笑)
面白~い♪
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yuuさん ()
2008-08-09 23:04:29
夏はすいかですよね~汗が引っ込んで、すっとします。
瓜科だから?面白いですよね~
でも寒いときにすいかを食べたら、おなかが痛くなりそうです!
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