『みちしるべ』 by 阪神間道路問題ネットワーク

1999年9月創刊。≪阪神道路問題ネット≫交流誌のブログ版。『目次』のカテゴリーからの検索が便利。お知らせなども掲載。

『みちしるべ』斑猫独語(49)**茶人好み**<2012.3. Vol.72>

2012年03月06日 | 斑猫独語

茶人好み

澤山輝彦

 日常茶飯事と言う言葉がある。毎日経験する、ありふれたことを言う。飯を食い、茶を飲むことが珍しい事であれば、毎日毎日感動の連続で疲れはて、人の命は短くなるかもしれない。日本人の平均寿命が延びたのは、身のまわりのなにもかもがたちまち日常茶飯事となってしまい、感動する精神が減ってきているからかもしれない。

 のどの渇きをおさえるためなら水でいい。実際私が子供の頃には鉄管ビールなんて言葉を使って蛇口に口をつけて水道水を飲んだ。国語辞典「大辞林」初版には鉄管ビールは採られていて水道の水を洒落て言った語とある。今時の子供たちは過保護に育てられているからこんなことはしないだろうし、大人だってよほどのことがないかぎり恰好をつけるから鉄管ビールは飲まないだろう。もはや鉄管ビールは死語になる運命だ。そこで、お茶なのだ。果汁飲料、炭酸飲料、コーヒーといろんな飲み物が簡単に手に入る時代だが、やはりお茶がいい。後口のさっぱりした所、冷たくても、温かくても、熱くてもいい所、お茶だ。ペットボトル入りの茶が出来てから、テレビで各種おえらい方々の会議の席に茶のペットボトル出されているのが見えるのはご愛敬だ。茶は値打ちがあるのだ。

 アメリカの独立は茶とかかわっている。この茶は紅茶だが、茶は茶なのである。ボストン茶会事件とかなんとかがおこり、本国イギリスと植民地アメリカが戦争をはじめ、アメリカは独立宣言をするのである。茶から始まった独立戦争中、アメリカはイギリスから海上封鎖される。こんな歴史があるからアメリカはいまだにキューバを封鎖し続けているし、経済制裁だとかなんとかで敵対国に封鎖をしかけるのだが歴史だなあ。その茶会、ティーパーティーは今アメリカの保守的な運動にその名をよみがえらせている。彼等はチェンジのオバマを支持しない。アメリカの振る舞いはイラク戦後もあまり変わっていないと私は思う。内政にも我々には分らない問題があるのだろう、そこに茶会が出てくるのだろう。

 日本でのお茶がらみの歴史の一つに、茶壺道中というのがある。徳川家へ献上されるその年の新茶は壺に入れて権力を笠に着た者達によって人々を見下しながら江戸へ向かったのである。時代劇ではそんな道中で一悶着起きるのだ。これのどこまでが史実であったかは調べてみないとわからないが、そこは時代劇の世界だ。そんな時代劇が消えかかっているという。アメリカの時代劇西部劇はもうとうに消えている。これが時代なのだ。

 食後の一服、休憩の一服、それはいいが、同じ茶でも茶道というものを私はあまり評価しない。こんな事を言うと無知だ、粗雑な奴だ、などと笑われそうだが、茶なんて一寸行儀良く飲んだらそれでいいのではないか。実際千利休はこんな歌を残している。

茶の湯とは ただ湯を沸かし茶をたてて

飲むばかりなる もとを知るべし

 私は日常煎茶や番茶をのんでいる。心斎橋(ここだけとは限らないが昔からずっとそう思い込んでいる)のお茶屋さんの前を通ると茶を焙じるいい香りがしてくる。あの時は無性にお茶が飲みたくなる。ここでお茶とお酒のコラボ、私の創作カクテルを一つ紹介する。

 抹茶碗にたてた茶に2~3㏄のジンを入れる、ただそれだけのことである。ほとんど茶である。たくさん飲むと後で酔いがでる。“茶人好み”と名付けた。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『みちしるべ』**ホタル・... | トップ | 『みちしるべ』**クククク... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿