尼宝線武庫工区拡幅整備問題
住民のエネルギーとからみ始めた
みちと環境の会 神崎敏則
ー歩踏み込んで
1月30日勤務を終えて「第15回沿道住民の集い」の開始時間ギリギリにかけつけると、見知らぬ老人が一人座っておられた。「遅くなってすいません』ととっさに言ったが、「主催者は普通時間より早く来るもんとちゃうか?」とお叱りを受けた。「ずいぶんお待ちになったんでしょう、すみません」と丁寧な言葉を選んだが、謝る気持ちよりもうれしさの方がまさっていた。
お年よりⅠさんは、新幹線南側の尼宝線東側に接する尼宝市場でお店を46年間営んでいるというⅠさんの思いは明決だ。尼宝市場は尼宝線の道路面よりも1.5mほど低い。現状はその高低差を、歩道部分の市場側よりにある4段の段差と、歩道と車道の間の植え込み部分で解消している。尼宝線の車道が広げられるとこの段差がどうなるのか心配だと言う。道路面がそのままフラットに市場側に寄って市場の直前で1.5mもの段差を設けられると、市場で営業するものにとっては大きな痛手になる。Ⅰさんにとって拡幅問題は重大だ。
昨年12月に兵庫県がおこなった住民への説明会をふりかえると、行政が今後住民の意見を聴く機会を積極的に作るとは思われない。当日も『集い』に参加していたMさんがおもむろに「県に要望書を提出しよう」と提案した。尼宝市場のⅠさん、ずっと継続参加されているAさんも賛成して、その場で要望内容の項目の相談が始まった。「歩道の整備をきちんとやって欲しい」、「環境の問題も盛り込もう」、「住民への説明会を再度求めよう」とトントンと話しが進んだ。要望書は兵庫県知事宛と尼崎市長宛の2本立てとしよう、住民のみなさんに名前を書いてもらって提出者を住民の連名としようと、議論がどんどん前向きに転がり始めた。
たった3週刊で122名もの要望書提出者に
毎月配布しているニュースは2月で17号を数える。今回は配布するだけではものごとが進まない。1軒1軒インターホンを押して話しをして要望書の提出者になっていただくように訴えた。目標は沿道住民以外も含めて50名の連名を達成することだった。
ニュースを配り始めたMさんから早速電話をいただいた。今回初めて話しをした方が「親類がきた時に2階に寝てもらったら、翌朝“とても寝られなかった”とびっくりされた」と訴えられたり、「尼宝線から50mも離れているのに、ここまで振動が伝わってくる」と深刻に言われたり、思いの強さと要望書の提出者になりますという反応の良さに驚いたと話すMさんの声が弾んでいた。
2月16日「第16回沿道住民の集い」には尼宝市場の方3名も参加され、要望書の最終チェックをした。県への提出日を2月22日、尼崎市へは3月3日(議会日程と重なったため3月9日に変更)に決まった。「提出には私らも行きますよ1と尼宝市場のみなさんが言われた。議員にも声をかけてみたいとの話しも出て、各自のルートでお願いできそうな議員には立ち会っていただくように依頼することにした。「尼宝市場の中で名前を書いてもらうから用紙を届けて」と言われ、翌日届けてその二日後にいただきに上がると、25名分の欄が全て埋まっていた。
たった3週聞で122名もの方が要望書の主旨に賛同され署名していただいた。この要望書に自分の名前を出す、その住民の切実な思いが凝縮された。
122名の記名の重みを軽んじるな
2月22日尼宝市場のお二人と3名で兵庫県庁に行き、県土整備部街路課濱係長に会い、要望書を提出した。その場で濱係長は、①住民への説明会は全体でおこなうのではなくて、問題のテーマ毎におこなう方向で検討したい、②知事あての要望書だが事務レベルで対応するので知事からの回答とはならないだろう、と述べた。
3月3日要望書への回答を街路課濱係長に電話で催促すると、「西宮土木に問い合わせてほしい」と振られ、やむなく西宮土本に電話した。電話にでた菅岩課長から「話をしたいので一度西宮土本に来てほしい」と言われ、「画答は文書でもらえるのか」と訊ねると、「その件は会ってお話したい」との返事。「122名が自分の名前を明記した要望書なのだから、その重みを受け止めて、今からでも知事へ要望書を届けるようにしてほしいと申し入れると、「その件も会ってお話したい」と言うのみ。
不用意に言質をとられて文書やニュースにされたくないとの警戒心からなのか、県民に向かって上からモノを言う体質がしみついているからなのかは分からない。でも確かなのは、その対応は122名の記名の重みを軽んじている感覚の顕われだ。とは言え、“お前ら、上からものを言うな”との主張でだけ住民の共感を得る自信はない。仕方なく3月9日午前10時30分に西宮土木に行くことにした。
今の最低限の獲得目標は、住民への説明会を早急に開かせること。ここを突破口としたい。
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