『みちしるべ』 by 阪神間道路問題ネットワーク

1999年9月創刊。≪阪神道路問題ネット≫交流誌のブログ版。『目次』のカテゴリーからの検索が便利。お知らせなども掲載。

『みちしるべ』横断車道(31)**<2004.9. Vol.31>

2006年01月12日 | 横断車道

車を買う時に「現金で買うからまけてくれ」という人がある。販売店にとっては、ローンの方が有り難いのである。お客が長期高額ローンの契約をすると、信販会社は販売店にリベートを渡すからである▼それと同じかどうか、最近不思議に思っていることがある。電車に乗る際にプリぺイドカード(料金前払券)を買っても、何の割引もない。しかし、最近プリペイドカードより便利なものができた。「イコカ・カード」とか、電鉄各社で名前が違う。いずれも改札機を通さずとも、定期券入れに入れたまま、改札機に近づけるだけでOKという優れものだ。しかも、料金後払いで銀行口座から引き落としで、使用頻度により割引がある。前払いに割引がなくて、後払いにあるのは納得行かないのである▼このシステムは、随分以前から検討されており、それは主に券売機・改札付近の混雑を避ける為に考えられたものだ。電鉄会社にとって、現金の取扱量が減って(売上は変わらないが)手間が省けるのかもしれない。銀行にとっても、市場に流出する現金が減り(それは信用取引に置き換えられる)、銀行に滞留する現金が多くなる事で、銀行に都合の良い取引を増やす事ができる▼だが、現代社会における企業に於ける最大のメリットは、乗客情報の入手ができるということであろう。乗客が切符やプリペイドカードを買っている限り、駅の乗降数しか把握できない。ところが、料金後払電子カードを使わせると、個々の乗客の時間単位の移動情報が把握できる。何処で買物を何時頃するのか、というような情報は、家庭にあるパソコンでも検索可能になる。JR西日本のような巨大な鉄道会社でも、年間の総てのデータはDVD−ROMたった1枚に収まってしまう▼それらのデータを、企業子会社や銀行が利用しても、法律に触れることは全くないのだ。今日、クレジットやローンを利用するのは普通になされるようになった。が、それらの詳細な情報は、総て信用情報組織(現在日本には4組織)に登録され、組織の会員となっている金融機関は、自由に取り出すことができるのである。利息制限法をはるかに上回る、違法金利を盗っている犯罪企業のサラ金も、この情報で荒稼ぎしているのである▼最近、知合いのパソコンで不正侵入の検索ソフトを見せてもらった。幸いその時は侵入がなかったが、インターネットに接続している以上、1週間もすれば、たいてい侵入があるのが普通だそうだ。都会では近所づきあいをしないのが、プライバシーの保護と錯覚している人が多いが、携帯電話は盗聴覚悟で使うのが現代の常識なのである。▼道路公団が民営化されれば、ETC(Electronic Toll Collection System電子的通行料金徴収装置)の情報は、無限の広さで利用される事になる。プライバシーの保護というけれど、現代社会でプライバシーなど存在しないというほかはない。道路公団の赤字問題を騒いでいるが、本当の狙いは巨額で取引できる、ETC情報の売却にあるといったほうが良いかもしれない。 (コラムX)

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