『みちしるべ』 by 阪神間道路問題ネットワーク

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『みちしるべ』**災害時における公園の重要性について**<2011.3.&5. Vol.68>

2011年05月03日 | 川西自然教室

災害時における公園の重要性について

川西自然教室 田中 廉

 3月11日は夜明けまでテレビに釘付けであった。津波のすさまじさには声も出なかった。翌日も津波の被害と原発事故で、一日中TVはつけっぱなしであった。大震災より1ケ月が過ぎようとしているのに、いまだ行方不明者が1万人以上である。亡くなった多くの人たちのご冥福と、肉親、友人を失った人々、傷ついた人たちの苦しみが癒されることを祈ります。いまだ肉親の行方が分からない人たちの心境を思うと胸がつぶれる思いである。原発事故で故郷を離れなければならなくなった人たちの悔しさと不安はいかばかりであろうか。又、災害援助に携わる多くの人たち、原発事故で危険を知りつつ被害軽減のために努力されている現場の人々に深く感謝をしたい。多くの人々がいまだ体育館、公民館、教室などで避難所生活を送っている。避難所はプライバシ-が守られにくいこと、占有面積が少ないこと、同じ空間で生活するので風邪などが蔓延しやすいことなど問題点が多くあり、一刻も早く落ち着いた人間らしい生活ができる住宅に移ることが望まれる。

 町が再建されるまでには何年もかかる。多くの人が住みなれた町の近くの仮設住宅を望んでいると聞く。しかし、早急に、多くの仮設住宅を建設するには難しいようである。問題は三つ有る。第一に仮設住宅の必要数が圧倒的に足らないこと。第二に仮設住宅を建設する場所が非常に少ないこと。第三に膨大な廃材、ごみの捨て場が少ないことである。報道を見ているとまとまった面積の場所を確保するのは非常に難しい。広い面積の私有地を利用するのには何人もの地権者から承諾を得なくてはならず、時間とコストがかかる。まとまった面積の公的な場所があれば、もっと早く仮設住宅は建設され、被災者はより快適な生活を、町の再建はよりスムーズに進むだろう。東北地方の苦境を見るにつけ、公的な公園の大切さをつくづくと思う。

 今、兵庫県では仕分け作業により西武庫公園を尼崎に譲りたいと提案したそうだ。数年間は経費の半分は県が負担するという条件付であるが、尼崎は経費がかかるからと断ったという。これで県が譲渡を諦めて公園が存続すれば言うことは無いが、一番心配なのは民間に売却されることである。私有地になれば、特に建物が建てばこの場所を県、又は市が災害時に自由に使用することはできない。私は公園は市民の憩いの場であるだけでなく、災害時の避難場所、仮設住宅用地として、県民に貢献する非常に大切な場所だと思うので県が管理することを強く願う。面積7.2haはいざという時に非常に多くの仮設住宅が建設できる、不幸にして災害にあったとしても、かなり多くの人が仮設住宅に住むことができる。住んだ人の通勤に便利な場所にこれほど広い面積を持つ公園は、他の都市では中々見つからない私たちの大切な宝だと思う。維持経費が問題になるのであれば、管理棟は閉鎖し、緊急時の仮設住宅部材や、救命道具類の保管場所とするのはどうだろうか? 今回のような災害時に少しでも役に立つであろう。その場合、部屋は締め切っておくと、収納物が傷むので窓は蛇腹にして風通しを良くするなどの工夫が必要であろう。 また、樹木も面積が7.2Haと広い公園であれば多くの木はそのまま自然の樹形で育てればよく、芝生は管理が大変なので草地にして年数回の草刈だけで済ませる。極力管理に人手をかけないようにして人件費を減らすなどのスリム化を測りなんとしても公園を維持して欲しい。被災地の人々の苦労を思いながら、以上のようなことを考えた。

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