『みちしるべ』 by 阪神間道路問題ネットワーク

1999年9月創刊。≪阪神道路問題ネット≫交流誌のブログ版。『目次』のカテゴリーからの検索が便利。お知らせなども掲載。

『みちしるべ』彼我の関係を見極めよう**<2005.7. Vol.36>

2006年01月13日 | 神崎敏則

彼我の関係を見極めよう
一尼宝線武庫工区拡幅整備問題一

みちと環境の会 神綺敏則

 以下の文章は『みちと環境の会』での議論を経たものではなく、あくまでも個人的な考えをまとめたものです。

 諌早干拓工事反対運動の先頭を突っ走っていた故 山下弘文は、若い頃長崎水族館の職員として労働運動にかかわり、その後総評オルグを23年間続けた。その間のしたたかな経験が言わしめたのだろう、1997年、ギロチン処刑を欠々に繰り返すかのように、農水省が諫早湾の水門を遮断した瞬間、「これで勝った」と叫んだ。農水省は滅茶苦茶なことをしたのだと国民の誰もが思うと確信したのだろう。

 規模は比較にならないくらい小さいが尼宝線武庫工区拡幅整備問題でも、行政側は同じことをやってきた。

 今年2月県土整備部土木局・街路課長に『拡幅工事に関する住民説明会の実施』を申し入れし、課長は「5月に説明会を開きます」と約束した。それからの毎月の「沿道住民の集い」の議論は、説明会で県に要求する項目を整理することが中心テーマになっていた。毎回の議論の経過は、広く住民のみなさんにもニュースでお知らせしてきた。住民の要求は具体的で切実なものだった。議論を重ねるほど課題が浮かび上がり、10項目を越える要求事案をまとめてきた。それらは、今回の拡幅整備事業が住民一人ひとりの生活環境に多大な影響を及ぼすことの証左に他ならない。5月開催の約束は6月にずれ込んだが、説明会への住民の意気込みは落ちなかった。6月18日の「第10回集い」の直前に、説明会が6月22日に開かれるとの情報が寄せられた。ところが時間帯は平日の水曜日の朝10時開催で、しかも参加対象者が「福祉協会の単組会長以上」に限定されていた。住民の声を吸い上げてより良い拡幅整備を進めるのが事業主体者であるはずだ。なのに、そこには住民の声を遠ざけようとする姿勢しかうかがうことができない。

 「県はこんなでたらめなことをしている」と、広く住民に知らせようではないか。今回の出来事を以って「勝った」と私が叫んでも、それは何の根拠もない空虚な放言にすぎない。だが、県が住民の前に出て説明することを恐れているのは間違いない。一度住民の怒りに火がつけば大変なことになることを重々承無しているのだろう。矢面に立たずにするりと避けて、寝た子を起こさないように努めているのではないか。私たちがやるべきことは、県とは正反対に、一つひとつのできごとを徹底して住民に知らせていくことだ。こちらも苦しいが、当局はもっと追い詰められている。

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平成17年6月20日

兵庫県県土整備部土木局街路課 御中

第10回沿道住民の集い・参加者一同
代表 大橋 昭

 尼宝線武庫工区の拡幅整備事業の地元説明会に関して参加者限定の開催に抗議し、地元住民全体を対象にした説明会を求める。

 平成18年にも着手されると言われている尼宝線武庫工区の拡幅整備事業に関して、かねてより住民の関心が高まっています。私たちは、昨年9月から毎月「沿道住民の集い」(以下「集い」と略)をおこない、当該拡幅整備事業について話し合いを進め、この6月には10回目の「集い」を開催してきたところです。

 さて、今年1月の「集い」において「拡幅工事に関する住民説明会の実施」を申し入れることが決まり、早速2月3日県土整備部土木局・足立街路課長(当時)以下3名にお会いし同件を申し入れた結果、足立課長は「5月に説明会を開きます」と約束しました。私たちは、説明会において何を訴えるべきかを毎月の「集い」において議論を重ね、その内容を広く住民のみなさんにニュースでお知らせしてきたところです。住民の要求は具体的で切実なものです。議論を重ねるほど課題が浮かび上がり、10項目を越える要求事案をまとめてきました。第10回「集い」でも「事業拡大一辺倒ではない、環境重視の整備をして欲しい」と指摘する発言もありました。住民一人ひとりにとって極めて重要な拡幅整備事業なのです。ところが、6月22日に予定されている「地元説明会」では、参加対象が「福祉協議会単組会長以上」に限定されていることを知り、驚愕しました。

 参加対象者を一部に限定するのであれば、「地元説明会」は単なるアドバルーンにすぎません。そもそも兵庫県は「参画と協働」を謳ってきたはずです。これでは住民の意見を少しでも吸い上げて、より良い整備事業を進めようとする姿勢が全く感じられません。私たちは、このような説明会の開催の手法に強く抗議します。そして参加者を限定した理由を明らかにすること、並びに、地元住民全体を対象にした説明会を改めて開催することの2点を求めます。

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