『みちしるべ』 by 阪神間道路問題ネットワーク

1999年9月創刊。≪阪神道路問題ネット≫交流誌のブログ版。『目次』のカテゴリーからの検索が便利。お知らせなども掲載。

『みちしるべ』横断車道(16)**<2002.3. Vol.16>

2006年01月06日 | 横断車道

砂場代表とは、いつも歴史談義に花が咲く。たいていは代表の青春時代で、戦後から70年代の政治に話が弾む。しかし、その日は珍しく明治維新の話になった▼一般に歴史を語る際は、その時代の有名人の話になる。明治維新の立役者は数多いるが、多くは遺志半ばで命を落とした。そこで生き残りが英雄とされ、明治天皇もその一人かも知れない。そうした英雄物語が、語られる事が多い▼明治維新の契機は、黒船の来航。そこで英雄たちが、指導宜しく変革をもたらしたのか?時代を考察すれば、商人が台頭し資金力で武家社会を牛耳っていた。封建社会で中心的経済であった米は、貨幣にその座を譲り始めていた。武士階級の底辺では、その日を食詰める浪人や下級武士の不満が。また、農民の多くは小作農であり、最低の衣食住すら無い状態が、蔓延していた▼砂場代表は、これらの小作農や下級武士の怒りのパワー無くしては、明治維新は語れないと言う。名を残した英雄が彼等を率いたと言うよりは、辛抱の限界を超えた庶民の爆発のパワーに、英雄が載せられたに過ぎないと言う▼歴史を語る際には、その時代のパワーの激突関係を見逃す事は出来ない。そうした目で今日の状況を見ると如何だろう。小泉内閣が誕生し、とんでもないフィーバーであったが、田中前外相更迭で一気に人気下落中である。小泉首相は『構造改革』が売り物で、繰り返し言ってきた。そして「抵抗勢力」と発言し、「構造改革」と「抵抗勢力」のパワーの激突のように描いてきた。一見、判り易く見えるが、一面的な見方に過ぎない▼「構造改革」が一人歩きしているが、人によって、その意味は異なる。庶民が考えているのは、鈴木宗男外務族議員のように、自らの私腹を肥やす族政治の解消にある。一方、小泉首相は何を以って「構造改革」と言うのか。小泉氏が銀行族議員である事は、その筋では有名。郵政民営化で郵便貯金200兆円と簡易保険50兆円を、銀行と保険会社に分配するのが小泉氏の持論。その預金量は、日本の巨大銀行の数倍である。銀行が保有する不良債権を政府(整理回収機構RCC)が買取り、税金を注入するのは、銀行にとって棚ボタである。速水日銀総裁でさえ、税金の注入が景気回復に効果が無いと言い切るのに、小泉氏は強制注入などと言う。小泉氏の言う「構造改革」は、世界市場で太刀打ち出来る日本の巨大銀行造りである。信組・信金が潰されるのも、巨大銀行造りへの淘汰に過ぎない▼今日、経済はグローバル化し、その中心にアメリカが存在する。地球上の全てのGDP(国内総生産)を合計しても、30兆ドルしかないのに、流通する金額は300兆ドルもある。大半は株式・債券・社債・国債・為替マネーとして存在し、生産・消費と言った実態経済で流通するのは一部でしかない。株式・債券・社債・国債・為替マネーの多くは、アメリカの巨大銀行やその手先のヘッジファンドが所有する。その一角に日本の巨大銀行を押し込もうとするのが、小泉の「構造改革」である▼もし地球上に1000戸の農村と、1000戸の中小企業団地しか存在しないとしよう。年間の生産量と消費量は、農村・企業団地を合わせて、30億円。そこに預金量300億円の銀行が1つ存在する。農家も中小企業家も1戸あたりの年収は300万円しかなく、銀行との関係では蟻と像である。銀行は全ての農家・中小企業家を資金力で従属させ、利益を殆ど吸い上げてしまうであろう▼アメリカと小泉の目指すのは、地球崩壊に向かう「バブル」そのものでしかない。何故、歴代首相がアメリカの金魚の糞なのであろうか。戦後処理をドイツと日本で見てみよう。ドイツでは、ナチスに協力したものは戦後政治家になる事は出来ず、ナチス党員は時効の無い戦犯として、今でも逮捕される。それとは反対に、日本では戦時外相でA級戦犯であった岸信介氏が首相になった。今の自民党員の多く(歴代首相の多くも)は、親父さんやお祖父さんは戦犯・戦争協力者。戦後日本のソ連化防止の為、アメリカは戦犯とその協力者を無罪放免し、政界の中心に据えた。その恩義は、今も小泉の忠誠心として残存する▼田中角栄は珍しく戦争責任の無い首相。その娘のマキコ氏が、アメリカに媚びたくも無いのは道理。角栄がまだ存命中に経世会を立ち上げて、田中派を奪取した金・竹・小(金丸・竹下・小沢)、今の橋本派が憎い。橋本派と裏では通じる小泉は、橋本派対抗意識の強いマキコ氏に手をやいていた▼小泉が忠誠を誓うアメリカは、現在100%志願兵で成り立つ軍隊を持つ。ベトナム戦当時のように徴兵制は無く、家族・友人・傷病兵の反戦気運は無い。高級軍人が大量に退役し、軍事産業に天下りしている。極めて好戦的になっている。その軍事力と自国のメガバンクの利益追求で、世界の利益を吸収しようとしている▼話は脱線してしまったが、このところ不振の道路族である。が、銀行の収益力に協力すれば、道路建設だって、目が無い訳ではない。道路族は銀行族と何時までも対立してはいない。何処かで折り合う。その時、如何なる環境破壊の道路建設ブームが来るか判らない▼政官財癒着の道路建設行政と、環境破壊を許さない住民運動との矛盾の構図は、小泉内閣の誕生で解消した訳ではない。気を緩める事はできない事を、嵐の前の静けさの中で考えておきたい (コラムX)

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