「みちしるべ」も6回目の正月号。だが、めでたい気持ちになれないのは、新潟震災・インド洋津波だけではないだろう。人は将来に希望がある時は、現在が苦しくとも輝いている。近頃、世間では「勝ち組」「負け組」という分類をする。できれば「勝ち組」に、少なくとも「負け組」にはなりたくない。何故、どちらでもない、「みんな同じ組」ではいけないのか▼「オレオレ詐欺」改まって「振り込め詐欺」。詐欺に成功した奴は「勝ち組」。騙された被害者は「負け組」。大物「勝ち組」は法律を悪用する。典型はリップルウッド(米の企業再生ファンド)。政府は旧長銀を「御取潰」にし、不良債権を総て政府が引き受け、良いとこだけをリップルウッドに10億円で売った。その後に不良債権化したものも政府が負担し、〆て国民負担は7兆円。新生銀行となって株式を公開したら、1兆円になった。リップルウッドは短期間に9,990億円も儲けた。その儲けには法律の定めにより、1円の税金も掛からない▼産業再生機構は頼まれもしないのに、不良企業のダイエーを買収した。これも不良債権を取り外し、良いとこだけを、ウォールマートかどこかに安売りするのである。買った側は丸儲け。労せずして巨額の利益。一方、産業再生機構は時限立法の存在。期限がくれば数10兆円という不良債権は国民が負担することになる。リップルウッドやウォールマートは「勝ち組」で、日本国民が「負け組」である▼ならば企業再生(ハゲタカ)ファンドになればよいではないか。しかし、そうも行かない。東京三菱がドタバタ劇を演じてUFJを併合させた。何故か。シティーバンクが東京三菱を買収する動きがあったからだ。東京三菱の株式額面総額は5兆3000億円。シティーバンクの用意できる金額なのである。だから、その額を越える合併が必要になった。それだけの資金力がないとハゲタカファンドもやってゆけないのである。もっとも、一番重要なことは日本政府をコントロールできる実力があることだ。小泉政権はブッシュの手のひら。今がチャンスとばかり、アメリカのハゲタカファンドは日本で暗躍しまわっている▼ハゲタカファンドがいくら活躍しても、社会的富は一切発生はしない。客観的には汗水流して働く人の収入を、消費税などと称して政府に集めておく必要がある。だから利益率が良くない企業は、黒字であっても潰してしまうのである。彼らに富が集積すれば、更に暗躍を拡大する▼かつて、アメリカが日本に公共事業の拡大を押し付けた時代があった。そのために不要な高速道路が全国に建設され、今も続いている。それは今日のハゲタカ戦略の序章であった。それでも貴方は「勝ち組」に拘りたいのか (コラムX)
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